老人ホーム入所の契約書にある保証人と主介護者の違いは?

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老人ホーム入所の契約書にある保証人と主介護者の違いは?

Q. 母の施設入所を検討している者です。契約をしようとした際に、保証人と主介護者という項目がありました。この2つの違いについて教えてください。

A. 施設により解釈が違いますが、保証人は利用者の生活にかかわる全ての責任を負う人で、主介護者は主に介護(生活の面倒をみている)をしている人(キーパーソン)です。

施設の契約書には、保証人、主介護者(キーパーソン)、連帯保証人、身元保証人などさまざまな表記がされています。しかも1人の署名捺印で良い施設もあれば、2名以上の署名捺印が必要な施設もあるなど、決して統一されていないのが現状です。なので、ここでは一般的な施設の保証人(身元保証人)と主介護者(キーパーソン)についてご説明します。

保証人(身元保証人)とは、利用者の生活全てにおいて責任を負う人ですが、具体的には入所費用の支払い義務、緊急時の延命治療に関する行為の同意、施設重要事項に定める規定の同意、施設入所の契約と同意などです。
※費用の支払い義務については連帯保証人として分けている施設もあります。

主介護者(キーパーソン)とは、利用者の生活にかかわる面倒を主体的にみている人で、具体的には施設のケアプラン(施設サービス計画書)の説明と同意や、病院の付添い、必要な衣類を持ってきてほしいなど細かなお願いをします。実際施設側としては、施設入所の費用に滞りがなく、緊急時や必要時に連絡が取れれば誰が保証人で誰が主介護者でも問題はありませんし、施設によっては保証人と主介護者が同一者でもかまわないというところもあります。

ただし、ごくまれにですが、家族間で利用者の今後の行く末に関して意見が食い違いが出てきてもめごとになるケースもありますので、やはり家族や関係者でよく話し合って誰が保証人になるのかを決めるのは大切なことです。特に、延命治療に関する部分は家族間でも意見が分れることが多いので、保証人が誰になるか、延命治療の内容を本人の希望もふまえながらよく相談して決めることが重要です。
※医療行為については家族の同意がないとできません。緊急を要する場合、あらかじめ同意している延命治療に関する書類に書かれている内容をもとに治療が施されますが、救急搬送されたあとは病院であらためて病院の延命治療に関しての書面をやり取りします。

また、認知症などで判断能力が不十分なため、成年後見制度を利用している方の場合は、身元保証人や契約者は不要という施設もあります。
※成年後見人は利用者(成年被後見人)の代弁者であって、施設入所の保証人や契約者、延命などに関する医療行為については代理権がありませんので、入所にかかわる書類上のサインは、保証人覧などではなく、利用者の名前の後に成年後見人〇〇〇と記入して成年後見人の捺印をするケースが多いです。

上記のことから、とにかく施設に入所できれば良いと安易に契約書などに署名捺印をするのではなく、入所する施設職員に保証人などの役割の範囲をよく確認し、本人をふくめ家族や関係者で話し合って署名捺印をすることをおすすめします。

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