失語症でも老人ホームで馴染むことはできますか?

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失語症でも老人ホームで馴染むことはできますか?

Q. 脳梗塞の後遺症で、左片麻痺と失語症のある父の介護をしています。今まで母が自宅で介護サービスを利用しながら父を看ていたのですが、この度体調を崩してしまい、介護することができなくなりました。娘の私も県外に住んでいて介護することができないため、施設入所を検討しています。しかし失語症だとほかの入居者と話すことができないので、施設の雰囲気に馴染めるか心配です。失語症の父の言いたいことをわかってもらうことはできるのでしょうか。

A. 施設では時間をかけてコミュニケーションを図り、利用者の理解に努めます。

脳梗塞の後遺症などで失語症になってしまい、言葉が話せなくなったり、文章の組み立てができず思ったことを相手にうまく伝えられなかったり、思ったことと違うことを口に出したりといった症状で苦しんでいる方がたくさんいます。自分の思っていることが伝えられない中で、慣れない環境に身を置くことは本人も不安ですし家族も心配な気持ちでいっぱいでしょう。

失語症の方に対して施設では、入所当初は家族からYES・NOの簡単な意思表示のサインをうかがいます。(首を縦に振る、手を挙げる、「あー」の発語がYESのサインなど)そしてYES・NOで答えられる質問を投げかけ、意思表示がしやすいようにします。

その後、本人もさまざまな単語を話してくれるようになったら、〇〇と言ったときは何を求めているのか、決まった物を手に持った時は何を希望しているのかなど、何度も繰り返しながらコミュニケーションを図っていきます。

またはコミュニケーションボード(50音が書かれているボード)や携帯電話、YES・NOカードや絵カードなど、本人が伝えやすい道具も使用します。筆談ができる方は筆談を行いますが、失語症の方は筆談もうまく表現できない場合もありますので、本人の意図を考えながら行います。そして何度も聞き返し、理解できる努力をします。

失語症の方も何度も同じことを聞き返されて大変ですが、お互い理解しあえた時は嬉しさでいっぱいです。このようなことを繰り返しながら入所の期間が長くなれば、次第にツウカーの間柄になっていきますのでご安心ください。

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