老人ホームや介護施設でもポータブルトイレを勧められるのはどうして?

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老人ホームや介護施設でもポータブルトイレを勧められるのはどうして?

Q. 介護初心者です。父が脳梗塞を患い、右側に麻痺があります。ケアマネさんからはポータブルトイレを買うように言われているのですが、私はトイレまで歩いて行ったほうがリハビリになるのではないかと考えています。また、部屋が臭くなることも嫌なので、できればトイレで用を足してほしいと思っているのですが、部屋でポータブルトイレを使うのはどうしてでしょうか。

A. 転倒のリスクなどを防ぐ目的だと思われます。最近ではポータブルトイレにも色々種類があるので、ケアマネに相談してみてください。

ポータブルトイレをお部屋で使用するのには、様々な理由があります。例えば、けがや病気、寝たきりなどで足腰が弱ってしまった人の場合、トイレまで歩いていこうとすると転倒するリスクが高くなります。特に夜間の場合、介護者が少なくなり、利用者一人ひとりに対する見守りが手薄になりがちです。そんな時に足元が不安定な方が無理してトイレまで歩いていこうとすると、転倒しそうな時に支えてくれる人がいないという状況があり得るのです。

そしてポータブルトイレは、足元が不安定な人が今後トイレに行けるように練習する道具にもなります。立って、方向転換して、下衣を下して便座に座るという工程だけでトイレを済ますことができ、一番不安定になる「歩く」という工程が省かれています。また、ポータブルトイレには手すりもついていますので、より安全に自分の力で用を足すことが出来るようになります。

立ったり座ったりと、今後歩く際に必要な力をつけることができるので、繰り返し練習することでトイレまで歩いて行けるようになるかもしれません。排泄は誰もが人の世話になるのが嫌がる動作の一つです。もしも歩行が不安定な人がポータブルトイレを利用できなければ、終日オムツを装着せざるをえないなど、自尊心が傷つくことも考えられます。臭いが残ったり、部屋の美観を損ねたりと問題がありますが、ポータブルトイレも利用者のニーズに対応した多種多様なタイプが出ていますので、ケアマネージャーに尋ねてみてください。

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