今回は、2019年の大型連休(GW)に伴う利用者の困りごとと介護現場の稼働状況について考察してみた。
来年の10連休、現場で起こり得る課題は? 医師会「急変に備えて体制作りを」
来年のゴールデンウィークに予定される10連休、介護や医療の現場ではどんな問題が生じ得るのか? 日本医師会が都道府県支部と連携して調査を進めている。5日の定例会見で明らかにした。混乱を未然に防ぐため、各地で予想される事態を前もって把握しておくことが目的。年内にも結果をまとめて公表する。関係者に広く活用してもらう考えだ。
会見で小玉弘之常任理事は、「高齢者など在宅で療養している患者の急変に備えた体制作りが必要」と説明。介護の現場を念頭に、「急な状況の変化にも対応できるよう、前もって近隣の診療所や病院などと調整しておくのも一案」と話した。
今回の調査の実施には、10連休で直面する恐れのある課題やそれを解決するための方策などについて、ここで改めて考えてもらう狙いもある。すでに厚生労働省や総務省消防庁などとの情報連携も行っているという。
新天皇の即位に伴い、来年は4月27日から5月6日までの10日間が休日となる。特別法案は4日、与野党の賛成多数で可決され衆議院を通過した。今国会で成立する見通し。衆院内閣委では可決の際、国民生活に支障を来さないよう万全を期すことを政府に求める付帯決議が採択されている。
施設自体は休日のないケースが多い
介護現場では、基本大型連休を取得するのが困難である。入所施設の場合は24時間365日稼働しているので、そもそも施設自体の休日が無い。
通所サービスの場合は、土日や祝祭日全てが休みの事業所はほとんど無い。連休は正月とお盆の時期に3連休~4連休(その年のカレンダーによる)になる事業所があるが、最近では入所施設同様、365日稼働している事業所も増えている。
訪問サービスの場合も通所サービスと変わりない稼働状況である。(*1)
(*1)介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/
利用者にはどんな事態が想定される?
今回の10連休で利用者にしわ寄せがくるとすれば、祝祭日が休みの事業所を利用し在宅で暮らす利用者である。
訪問サービスの場合は介護訪問員に10日間も来てもらえない、通所サービスの場合も同様、10日間サービスを利用できなくなる、といった事態が想定される。
このため一番困るのが、自宅で家族の介助があってもお風呂に入れないといったケースである。
もし10日間もお風呂に入れないのであれば、精神的にも辛いだろう。
また、一人暮らしの利用者で、食事の準備や掃除や洗濯などの生活援助サービスを利用している利用者も不安だろう。
そんな時は、祝祭日も稼働している事業所のサービスを一時的に利用することで回避するしかない。
入所施設の場合は年間休日のシフト制で稼働しているため、祝祭日の理由で人員が少なくなることはないが、有給休暇で休みを取得するなど、人員が薄くなる施設も多くなるかもしれない。
緊急病院の受け入れ態勢の強化を
しかしサービス内容に影響というほどのことは起きない。決まっていた入浴日の曜日が変更になったり、レクリエーションが短時間になったりということ位であろう。
また、面会時間の変更などの協力を求められる場合がある。入所施設の場合、一番困るのは利用者よりシフトを作成する担当者であろう。
ところで、今回の10連休で日本医師会の常任理事である小玉氏が懸念している緊急事態の対応であるが、介護現場というよりは、救急病院の受け入れ態勢を整えておくべきではなかろうか。
これは介護サービスの利用者だけでなく、誰にでも必要なことである。
医師も介護士のように、休みがなく人手不足で過酷な職業であると痛感する。