第1号被保険者の介護保険料が軽減!満足する介護サービス利用に繋がるか

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第1号被保険者の介護保険料が軽減!満足する介護サービス利用に繋がるか

今回は、2019年10月から実施される第1号被保険者の介護保険料の軽減と介護保険サービス利用料について考察してみた。

高齢者の介護保険料を軽減へ 政府決定 1千万人超が対象 来年度から実施
政府は17日、低所得の高齢者を対象とした介護保険料の軽減措置を来年度から拡充する方針を正式に決めた。消費税率の10%への引き上げで得られる財源から、介護保険の給付費とは別枠で約650億円の公費を新たに投じて実現する。麻生太郎財務相と根本匠厚生労働相が閣僚折衝で合意した。

拡充の対象となるのは、住民税が非課税で年金収入の少ない高齢者や生活保護の受給者など。65歳以上のおよそ3割、約1100万人が該当する。

低所得の高齢者にはこれまでも、個々の経済状況に応じた介護保険料の軽減が実施されてきた。現行では最大で、毎月の支払いが基準額の55%まで割り引かれている。

政府は来年度からこれを最大70%まで拡充する。給付費の増大で保険料のアップが続くなか、消費増税とあわせて低所得者の生活支援を強化するよう求める声が出ていた。実際に軽減される負担額は、住んでいる市町村やその人の収入などによってそれぞれ違ってくる。

政府は消費税率を8%へ引き上げた際、生活保護の受給者を含む約650万人を対象とした軽減措置の拡充を先行して行った。今回の拡充も以前から計画されていたが、増税自体の延期に伴い繰り返し見送られた経緯がある。

高齢者の介護保険料の全国平均額は、今年度から2020年度までの第7期で月5869円。制度がスタートした当初(第1期:2911円)の約2倍となっており、給付費がさらに膨張していく今後も上がっていく見通しだ。

https://articles.joint-kaigo.com/article-9/pg96.html

基準額は市町村によって異なる

国は65歳以上の第1号被保険者の介護保険料を軽減する措置を決定した。
実施は消費税が8%から10%に引き上げられる来年度10月からで、(*1)対象者は市町村民税が非課税の第1段階から第3段階の世帯である。

(*1)介護保険の1号保険料の低所得者軽減強化
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/iryokaigo06.pdf

基になる基準額は市町村ごとに算出されるため介護保険料は全国一律ではないが、掛け率は次のように変更となる。

  • 第1段階被保険者 基準額×0.45→0.3
  • 第2段階被保険者 基準額×0.75→0.5
  • 第3段階被保険者 基準額×0.75→0.7

市町村の基準額は、介護サービス利用の見込み量や65歳以上の人数によって決まる。
このため介護サービスの利用が多い市町村は介護保険料の基準額が高く、介護サービスの利用が少ない市町村は基準額が低くなる。
要は元気な高齢者が多い市町村は基準額が低くなり、介護保険料が安いということである。

実質どの程度減額する?

では、基準額が6,000円と算出された市町村を例に、実際どのくらい介護保険料が安くなるのか見てみよう。

  • 第1段階被保険者 基準額6,000円×0.45=2,700円→×0.3=1,800円 差額900円
  • 第2段階被保険者 基準額6,000円×0.75=4,500円→×0.5=3,000円 差額1,500円
  • 第3段階被保険者 基準額6,000円×0.75=4,500円→×0.7=4,200円 差額300円

実際に計算してみると、一人当たりはわずかな金額である。

国は病院の機能分化を進め、在宅医療・介護を推進している。
地域での生活の継続を支えるように早期に在宅復帰をさせ、「介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らせるよう、介護・ 医療・予防・生活支援・住まいが一体的に提供される地域包括ケアシステムを構築する取組みを行う」としている。

目に見えた恩恵を受けられる日は来るのか

しかし、介護職員の処遇改善などで増大していく利用者の介護保険利用料。
介護保険のサービス利用料を負担することが難しく、本来必要なサービスを利用できない利用者がいる中、今回の措置内容ではデイサービスを週1回増やすことさえ不可能だ。

介護保険料が安くなるのは勿論ありがたいことであるが、恩恵を受けられるのは65歳以上の約3割と半数にも満たない。
また、利用料の増額がたて続くだけで、介護サービスが足りていない者の救済に至らないのが残念でならない。

今後も介護保険料は⾼齢化による自然増になっていくが、個人にできるのは元気で歳をとっていくことに尽きる。

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