来秋創設の新加算、居宅介護支援は対象外に〜施設ケアマネに加算の分配はあるのか

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来秋創設の新加算、居宅介護支援は対象外に〜施設ケアマネに加算の分配はあるのか

今回は、新処遇改善加算とケアマネについて考察してみた。

ケアマネと介護福祉士の賃金、逆転へ 来秋創設の新加算、居宅介護支援は対象外
10年以上の職歴を持つ介護福祉士らの賃上げに向けて来秋に新設する加算について、厚生労働省は22日に開催した審議会で、既存の「処遇改善加算」を取っていることを算定要件に組み込む方針を固めた。自動的に居宅介護支援は対象外となる。ケアマネジャーより高い給料を得るベテラン介護福祉士が生まれていく見通しで、キャリアデザインを改めて描き直す人も増加しそうだ。

ケアマネは蚊帳の外
国が新加算を作るのは来年10月。深刻な人手不足の解消につなげることが目的だ。現場を支え続けている人を優遇するのは、長く頑張っても収入が上がっていかない現状を改めるため。将来の生活をイメージしやすくすることで、新規参入を増やしたり離職を防いだりする狙いがある。

費用は毎年およそ2000億円。8%から10%に上がる消費税と40歳以上の保険料、サービスの自己負担で賄う。厚労省は施策の効果を高めるため、このリソースをベテラン介護福祉士らに集中投入する計画。居宅介護支援や訪問看護を除外するほか、施設でも介護職以外を後回しにする意向を示している。居宅は蚊帳の外に置かれ、施設で恩恵を受けられたとしてもごく僅か − 。ケアマネはそうした状況となる見通しだ。

(中略)

ケアマネ、さらに減少も
勤続10年以上の介護福祉士について平均で月8万円相当の賃上げを行う − 。政府は新加算のインパクトをそう説明してきた。実際の効果はサービスの種類や個々の事業所によって異なるが、月5万円以上のアップでケアマネと同等、あるいはそれ以上の収入を得るベテラン介護福祉士も現れる。居宅のケアマネの中には、施設のケアマネより低い給料で働いている人も少なくないのが実情だ。

国の集計によると、今年度のケアマネ試験(実務研修受講試験)の受験者は全国で4万9312人。13万1560人だった昨年度の37.5%にとどまる激減となった。「ヘルパーなどを除外した受験資格の厳格化が主因」。厚労省はそう解説するが、異なる見方を持つ現場の関係者は多い。求められる役割や仕事・研修の量が増えていること、介護職員との給料の差が小さくなったことなどが背景にあると囁かれている。

ベテラン介護福祉士との給料の逆転が顕在化すると、ケアマネを目指す人が一段と減ったり介護職に戻る人が増えたりする可能性が高い。現下の人手不足の解消に寄与するメリットがある一方で、公正・中立なケアマネジメントの確保やサービスの質の維持・向上の観点で課題が生じる懸念もある。AIの発展・普及の進捗状況とあわせ、今後の動向に大きな注目が集まりそうだ。

https://articles.joint-kaigo.com/article-9/pg63.html

施設ケアマネと居宅ケアマネ

10年以上のベテラン介護士対象の新処遇改善加算により、給料が大幅に増加する介護士が出てくる。
今まで低い給料で働いてきた介護士にとっては嬉しい改定であるが、新処遇改善加算の分配方法によってはベテラン介護士以外から不服が出てきそうだ。

また、これまで介護士として働いていたが、身体的に無理が出てケアマネになった者や、施設ケアマネの採用ができず施設の方針で介護士からケアマネになった者は後悔の念を持つだろう。

グループホームを除く介護保険施設では、施設ケアマネの配置人数を利用者100人に対して1人以上を基準としている。(*1)
これに対して在宅で暮らす方を支援する居宅ケアマネは、利用者35人に対して1人が配置基準である。(*2)

(*1)介護保険施設について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001dzdp-att/2r9852000001dzhk.pdf

(*2)居宅介護支援
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000170291.pdf

この両者の差は、利用者が直ぐに会える施設内にいる施設ケアマネの方が、利用者の解決すべき課題の把握(アセスメント)や施設サービス計画の実施状況の把握(モニタリング)が容易であるからであろう。
他にも施設利用者のモニタリングの頻度については「定期的に」とはあるものの、「入所者の心身の状況等に応じて適切に判断するものとする」 とあり、居宅利用者の「1ヶ月に1度」という規定と比べると緩い。

施設ケアマネの配置基準による負担

こうしみていくと、施設ケアマネの担当人数は多いが、多職種との連携が上手くいけば仕事内容は楽そうだと思う者もいる。

しかし、施設ケアマネの「100人を担当」は相当な労力を有する。
施設サービスの目標を達成するためにアセスメントを行い、専門的な意見を求める担当者会議を開催し、専門職間の調整を図り計画書を作成して、モニタリングをする。
シフト制で勤務している専門職などと連絡調整を行うのも一苦労である。

これを1人の利用者に対し3ヶ月に1度行った場合、休まず働いても1日1人以上をこなさなければ追いつかない。
イレギュラーな事態を除けば、むしろ毎日1回以上の頻度で担当者会議が行われる施設ケアマネの方が業務量は多い。

ケアマネ離れが加速する懸念も

もちろん居宅ケアマネも月に1度のモニタリングは苦労があるが、担当者会議の頻度は施設ケアマネに比べれば少ないはずだ。
100人を担当している施設ケアマネは、担当者会議の会議録やサービス計画書の作成、モニタリングの記録が追いつかず、毎日数時間のサービス残業をしているというのが実状である。

腰痛や関節痛などで現場を離れケアマネになった元介護士や、施設の方針でケアマネになった元介護士は、今回のベテラン介護士の新処遇改善加算をどう感じているのか。
資格業務のため交代する者がいないケアマネ業務の仕事量は予想以上である。

今回の新加算、居宅のケアマネは対象外であるが、せめて施設の方針で施設ケアマネになった元介護士には加算を分配しないと、今度はケアマネ離れが進むことになるだろう。

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