ケアマネ協会・柴口会長「介護支援専門員は絶対不可欠な存在」
「我々介護支援専門員の役割も益々重要度が増してきている」
日本介護支援専門員協会の柴口里則会長は公式サイトに掲載した年頭所感にそう記している。介護ニーズがさらに増大する2025年に向けて、ケアマネジャーが地域包括ケアシステムの中核的な役割を担っていくことになると指摘。質の高いケアマネジメントの提供や他職種による連携・協働の推進、終末期の医療・介護を考える「人生会議(ACP)」の開催などにあたり、「人間の尊厳を最大限に尊重した生活に寄り添う存在として、絶対不可欠な存在」と書いた。
協会運営については、「適材適所の人材を登用し、『全員参加型』の組織づくりを引き続き行っていく」と説明した。このほか、厚生労働省や協会などのアンケートに協力することも要請。「皆様一人ひとりの声が大切。会員一人ひとりの声をしっかり国にあげていき、我々介護支援専門員が日々利用者や地域のために、必要な存在であることを伝えていくための一番の方法」と呼びかけた。
柴口里則会長による2019年の年頭所感
一般社団法人日本介護支援専門員協会の柴口里則会長が、2019年の年頭所感を公式サイトに記した。その中で、平成30年に行われた介護保険法の改正では、地域包括ケアシステム構築の推進や自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現と、多様な人材の確保・生産性の向上などの見直しが行われ、ケアマネの役割の重要度が増してきているとしている。
また、介護ニーズが増大することが想定されている2025年に向けては、ケアマネが地域包括ケアシステムの中核としての役割を担う絶対不可欠な存在になっているとも記された。(*1)
(*1)「年頭所感」一般社団法人 日本介護支援専門員協会
http://www.jcma.or.jp/news/association/post_908.html
確かに地域包括ケアのコーディネイト役であるケアマネは、介護保険制度において要の存在である。
しかし期待が寄せられる分、平成24年に開催されたケアマネの資質向上と今後のあり方に関する検討会(*2)では、業務の遂行能力が不十分だと指摘された。
(*2)介護支援専門員(ケアマネージャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会における議論の中間的な整理(案)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002rz0x-att/2r9852000002rz39.pdf
ケアマネの業務負担について
そのため平成28年度からは、介護支援専門員の試験合格後に87時間の実務研修を受ける形となったのだが、実際実務研修に参加していた者達は、今後ケアマネとして業務に就くことを悩んでいる者が多かった。
その理由は、ケアマネの担う役割が大きくなりすぎているからである。やりがいのある尊い業務ではあるが、地域包括ケアシステムの要として、自分は実力不足ではないかと感じるケアマネがいるのも現実だ。
ここで、地域包括ケアシステムの5つの構成要素を再認識したい。
「自助・互助・共助・公助」からみた地域包括ケアシステムの「自助」では、
・自分のことを自分でする
・自らの健康管理(セルフケア)
・市場サービスの購入
とある。
また、5つの構成要素では「本人家族が理解し心構えを持つ」ともある。
国は、この「自助」の部分をもっと推進するべきだと考える。そもそも介護保険制度は、自分で選択し自分で決定する措置から契約へ移行したのである。
ここでいう「自助」とは、自分の身の回りのことだけなのだろうか。
当事者が作成するケアプランがあったらどうか
そこで、こんな仕組みを提案したい。
ケアマネは、利用者の課題解決と自立支援に向けて日々業務にあたっているが、本人や家族の意向が上手く引き出せないこともある。
これが、本人が作成する自己ケアプランであれば、ニーズや目標の設定が容易であり、本人や家族もこれからの生活について前向きに捉えることができるだろう。
受け身であった利用者が積極的になるだけで、ケアマネの業務負担が軽減されるのは間違いない。
そうすることによってできた時間で、もっと利用者の生活に寄り添う存在になれれば、実力不足と感じるケアマネも減るのではないだろうか。