2016年新規がん患者、65歳以上の罹患率は73.8%〜がん患者の介護保険サービスについて

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2016年新規がん患者、65歳以上の罹患率は73.8%〜がん患者の介護保険サービスについて

今回は、がん疾患をかかえた者が介護保険サービスを利用する場合の時期と、どのような種類のサービスが最適であるか考えてみたい。

新規がん患者、2016年は99.5万人 初の全数調査 トップは大腸

厚生労働省は17日、2016年に初めてがんと診断された人が全国で99.5万人にのぼったと公表した。

この年に施行された「がん登録推進法」に基づき、すべての病院に報告を義務付けてデータベースに蓄積する「全国がん登録」による初の集計。従来の「地域がん登録」による報告が任意だったため、患者の実態をより正確に把握できるようになった。国は国立がん研究センターとともに、医療・ケアの質の向上など対策の強化に役立てていく方針。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg316.html

2016年、65歳以上のがん罹患率が73.8%に

平成25年に成立し平成28年に施工された「がん登録等の推進に関する法律」は、がんの状況を登録・把握・分析し、がん対策を推進するために設けられた法律である。
この「がん登録等の推進に関する法律」の2016年1月1日~12月31日までの集計結果が発表された。(*1)

(*1)全国がん登録の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000468976.pdf

集計結果によると2016年に初めてがんと診断された人は全国で99万5132人であったとのこと。
年代別の罹患率を見ると45歳未満4.7%・45〜64歳21.6%・65〜74歳31.3%・75歳以上42.5%である。
このことから高齢者のがん疾患をかかえた者の数が多いことが分かる。

がん患者に介護保険サービスをどう活用すべき?

介護保険サービスは介護保険の認定を受けなくては利用できないが、介護認定は介護にかかる時間がどれくらい必要かにより介護度が算出される仕組みである。
これはがん患者であっても介護の必要がなく、自立した生活を営むことができている場合は介護度が出ないということだ。

介護保険の対象となる特定疾病の選定基準の考え方(*2)をみると良くわかるが、そこには医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至っている末期がんが介護保険の対象者となっているが、がんの特徴として死亡1ヶ月前くらいまではある程度自立した生活が送れる。

(*2)特定疾病の選定基準の考え方
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html

このため末期がんと診断されていても介護保険サービスの必要性を感じない時期には、介護保険の申請をしない者もいる。
結果、がん患者が介護保険を利用する時は状態が不安定になり残された時間が少ない場合が多い。

末期がん患者の介護保険サービスで必ず必要になるのは、介護ベッドなどの福祉用具と入浴介助を行ってもらう訪問入浴と考える。(※末期がん患者の訪問看護は医療保険が適用される)
また、ベッドから起き上がることが難しくなるころには訪問介護も必要になると予測する。

精神面における支援も

そして一番大切なのが、死に対する恐怖や肉体的な苦痛に対する精神的な部分の支援である。
これはケアマネをはじめとするがん患者に関わる全ての者たちがチームになり、本人や家族の気持ちに寄り添い支援をすることだ。

複雑な心境を辿りながら死に向かう本人を支えるために、家族だけではなくチームで支えていくことができる介護保険サービスを利用することは本人にとっても最良である。

がん末期は急速に状態が悪化することがある。
本人にもがん告知をしている場合なら早い段階で介護保険サービスの利用をはじめることが、本人とチームの絆も深まりケアの質の向上にも繋がると考える。

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