未来イノベーションWG始動|2040年の介護の変容は?シニア世代への過大な期待?

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未来イノベーションWG始動|2040年の介護の変容は?シニア世代への過大な期待?

技術革新で医療・介護現場をどう変えるか 厚労省・経産省、2040年の検討開始

2025年の次の未来、2040年を見据えた医療・介護のあり方をめぐる議論が本格化している。厚生労働省と経済産業省が25日、共同で「未来イノベーションWG」を始動させた。

急速な進化を遂げるAIやロボット、IoTなど第4次産業革命のテクノロジーをどう実装していくか? 社会構造が大きく変容していく今後、維持・実現していくべき価値観は何か? 

WGでは今後、そうした大きなテーマを有識者とともに掘り下げていく。3月にも報告書を出す。厚労省はそれを、来夏にまとめる新たな「医療・福祉サービス改革プラン」に反映させる計画。経産省は研究開発戦略の策定、ムーンショット型プロジェクトの立ち上げ、民間投資の活性化などに活かす考えだ。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg329.html

未来イノベーションWGの始動

2040年、現役世代1.5人に対して高齢者1人になると想定される社会構造の変化を見据え、「未来イノベーションワーキンググループ(WG)」が2019年1月25日に始動した。

その趣旨は、「未来の社会保障改革の新たな局面と課題(*1)を念頭に置き、医療福祉分野の在り方を考える際には将来見込まれる社会・地域の変化や技術革新を見据え、バックキャストして中長期的な戦略を構築していくことが必要であるため、WGにて必要な検討を行うこととする」としている。

(*1)次世代ヘルスケア産業協議会・次世代医療機器開発推進協議会・次世代医療 ICT 協議会 未来イノベ―ションWGの設置について(案) 平成31年1月25日 未来イノベーション WG 事務局
http://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_innovation/pdf/001_02_00.pdf

20年後に変容している医療介護サービスを想定し、必要な技術とサービスを抽出するとのことだ。

具体的な取り組みのなかには、介護助手等としてシニア層を活かす方策の検討、介護施設における業務フローの分析・仕分けを基に、①介護助手②介護ロボット(センサーを含む)③ICTの活用等を組み合わせた業務効率化のモデル事業を2019年度中に開始し効果を検証のうえ、全国に普及とある。

WGが始動したということは、2030年に入ると15歳~64歳の現役世代の減少が拡大していくなかで、介護業界においては刷新的な改革を行っても、現在より人手不足は顕著化していると国は予測していると考える。
そのためシニア層を活かす方策やICTやロボットなどの活用を展開し、人手不足を補う案に辿り着いたと考えるが、介護業界で働きたいと思うシニア層がいったいどの位いるだろうか。

シニア層の活用がはたして現実的なのか

引退後に介護業界で働くならば、定年年齢を引き上げてもらい、元の仕事を続けたいと思う者も多いはずだ。
また、システムが多様化しているICTの横展開が、十分活用できるようになるのかも心配なところである。

「臭い物に蓋をする」ではないが、人気のない仕事は暇をもてあましているシニア世代へ回そうと考えている一時しのぎとしか思えない。
実際施策を考える政治家や有識者達は、自らも引退後に介護現場で仕事をしたいと思っているのだろうか。

そこで活用したいのが若い世代である。
現在中学校や高校では、社会体験を行う授業の一環で自分の希望するさまざまな職場体験を行っている。
この社会体験ボランティアを活かさない手はない。

介護体験ボランティアとしていつでも参加できるような仕組みを作り、行ったボランティアの時間数はポイント制で授業の単位数として認められれば積極的に参加する生徒もいる。
実際に単位数が足りない生徒を対象に、夏休みや冬休みの間にボランティア活動をさせてほしいという問い合わせが学校側からもある。

この対象生徒を全生徒にし、いつでも介護現場でボランティアを行えるようにすれば、なかには介護の仕事に興味を持つ者も出てくるかもしれない。

若い世代の取り込みも急務

2040年に親の介護をしている可能性の高いシニア世代が、体力も必要な介護の仕事に就くとは到底考えられない。
ICTやロボットなどの優れた技術も必要であるが、介護の仕事は人と人との繋がりが原点にあるため、人なしでは行えない業種である。

これらのことから2040年に向けて、ICT化できる業種はシニア層に行ってもらい、介護業界は若い世代が担うという根本的なシフト転換が必要である。
20年後の医療・介護の変容のインフォーマルな部分では、親の介護を必死で行っているシニア世代が大勢いることも視野に入れて検討して頂きたい。

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