外国人介護士に必要なのはコミュニケーション力とサポート体制〜日本語を学べる機会の提供も

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外国人介護士に必要なのはコミュニケーション力とサポート体制〜日本語を学べる機会の提供も

外国人介護職員、初日から配置基準に算定可能 慣れれば1人夜勤も

外国人労働者の受け入れ拡大に向けて今月から新たに創設された在留資格「特定技能」− 。厚生労働省は介護の独自ルールを解説する通知を年度末に出した。

施設などの人員配置基準に就労と同時に算定することができると説明。技能実習生などは半年後からの算定としているが、入国前の試験などで必要なスキルを持っていると確認されていることから、働き始めたその日から職員とみなす扱いで構わないとした。そのうえで以下のように付言している。

「ただし、一定期間、他の日本人職員とチームでケアにあたるなど、受け入れ施設における順応をサポートし、ケアの安全性を確保するための体制をとることを求めることとする」

厚労省は近く、この一文の詳しい解釈をQ&Aなどで示す予定。“一定期間”は半年を目処とする方針だ。担当者は「他の日本人などと同じように、仕事に慣れるまではしっかりと支えて欲しいという趣旨」と話す。こうした条件をクリアしていれば、就労後半年以内の1人夜勤も禁止はしない方針だ。

□GHや小規模デイも対象

厚労省は今回の通知で、「特定技能」のビザを持つ外国人が働けるサービスの種類を明確にした。

こちらは技能実習制度と同じ。特養や老健、特定施設などはもちろん、グループホームや通所介護、地域密着型通所介護、通所リハビリテーションなども含まれている。訪問介護や定期巡回・随時対応型サービスなど訪問系は対象外。小規模多機能は“通い”と“泊まり”だけなら受け入れ可能だ。

受け入れ人数には事業所ごとに上限が設けられており、「日本人の常勤介護職員の総数まで」とされている。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg532.html

介護分野での外国人材の受け入れについて

2019年3月29日に厚生労働省老健局より介護分野における在留資格「特定技能」による外国人材の受入れについての告示がなされた。(*1)

(*1)厚生労働省老健局「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令及び 特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令 の規定に基づき介護分野について特定の産業上の分野に特有の事情に鑑みて当該分野を所管する関係行政機関の長が定める基準」について
http://www.care-mane.com/pdf/feature/q&a/vol712.pdf

告示の内容は外国人受け入れ可能事業所と人員配置基準についてである。

上記によると、介護分野の外国人受け入れ可能事業所は、訪問入浴や訪問介護などの訪問系を除くほとんどの事業所である。

また、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、ケアハウス、有料老人ホームは外部サービス利用型を除く事業所とし、小規模多機能型居宅介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、複合型サービスは訪問以外の業務に従事することとしている。

人員配置基準については就労と同時に職員等とみなす取り扱いだ。
職員不足が続いている事業所では、日本人と同様に就労当日から人員配置基準に含めることができるということは、さまざまな加算要件にプラスになるのでありがたいことである。

適切なコミュニケーションがとれる環境とサポート体制を

外国人介護士を受け入れる事業所は、外国人介護士の働く環境をサポートし、日本人と同様に関わっていくことが大切だ。
また、外国人介護士も日本語を更に学習しコミュニケーション力を高めていくことが必要である。
利用者とのコミュニケーションが上手くいかなければ業務に支障をきたすからだ。

介護の現場では、うまく喋れない利用者やコミュニケーションを図りづらい利用者も多い。
失語や滑舌の悪さが影響し聴き取りづらい、思った事と相反する事を口にする、上手く気持ちが伝えられないなど、日本人の職員でも利用者が「何を言いたいのか分からない」場面は多くあり、職員たちは頭を悩ませる。

利用者にとっては日本人の介護士も外国人介護士も同じ事業所の職員だ。
外国人介護士にだって大切な事を伝えるであろう。「あの人に〇〇と言ったのにどうなっているの?」などというのはまだ良い。

懸念するのは、例えば「足が痛い。」と外国人介護士に伝えた認知症の利用者がいたとする。
利用者ははっきり喋れないため、外国人介護士は「足がかゆい。」と聞き取り居室を後にした。
しかし、実際は骨折をしていたということもありえる。

認知症の利用者は、動かなければ傷みが出ないため骨折していることを忘れてしまう。
ベッドに横になっていれば、傷みがないため訴えることはしない。そのため骨折の事実が分かるまでに時間を要してしまうということも起こりうる。

同様のことが数回起きれば、外国人介護士のモチベーションは下がり離職に繋がってしまうだろう。
今回の告示にあるように、外国人介護士のサポートは必須だ。

日本語学習機会の提供も重要

なお、今回の「一定期間」についても、人員がいないから早く独り立ちをさせるなどという事は避けていただきたい。

最後に、外国人介護士を受け入れる事業所の方に役立つHPを見つけたので、私の主観ではあるがご紹介したい。
独立行政法国際交流基金が運営している「JFにほんごeラーニングみなと」だ。(*2)

(*2)独立行政法国際交流基金「JFにほんごeラーニングみなと」
https://minato-jf.jp/

日本語に不安のある外国人介護士が、自己学習として無料で日本語を学ぶことができる。(有料レッスンもある)
業務の時間を少し割いて、こうした日本語を学ぶ時間を提供するのはよさそうだ。

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