フィリピンの入国試験「即定員」で日程追加へ|フィリピン人が日本の介護現場での就労を希望する理由とは

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フィリピンの入国試験「即定員」で日程追加へ|フィリピン人が日本の介護現場での就労を希望する理由とは

外国人受け入れ拡大、フィリピンの試験「即定員」で日程追加 厚労相

今月から新設された在留資格「特定技能」に基づく介護現場への外国人の受け入れをめぐり、根本匠厚生労働相は16日の閣議後記者会見で、フィリピンで実施している入国試験の回数を急遽増やす方針を示した。

フィリピンのマニラでは今月13日と14日に初の入国試験が行われた。受験申し込みの受け付けが始まったのは3月20日。その日のうちにすぐ125名の定員がいっぱいになった経緯がある。

根本厚労相はこうした動向について、「初日で申し込みが上限に達するほど多くの希望者がいる。世界の数ある国の中から、日本の介護現場で働くことを選んで頂いたということ。非常にありがたく感じている」と語った。

そのうえで、「受験会場の規模などの課題もあった。次の試験はいつなのか、早く開催して欲しい、という要望が多く寄せられている」と説明。当初は第2回を6月に行うとアナウンスしていたが、5月と6月で計3回実施するプランに変えたと報告した。

具体的な日程は以下の通り。3回の定員の合計は745名程度とされている。

第2回:5月25日〜27日
第3回:6月15日〜16日
第4回:6月22日〜24日

根本厚労相は会見で、「今後も追加の試験を実施する検討を進めていく」と言明。「日本の介護現場で働こうと希望する方が、1人でも多く受験できるようにしっかりと準備を進めたい」と述べた。厚労省は現在、日本国内やインドネシア、ベトナムなどでも入国試験を開催できるよう調整を進めている。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg556.html

フィリピンにおける入国試験回数の増加へ

2019年4月から在留資格「特定技能」に基づく介護現場への外国人の受け入れが始まった。
根本厚労相は16日の会見で、フィリピンで実施している入国試験の回数を急遽増やす方針を示した。

理由はフィリピンで行われた初の入国試験の受験申し込みにおいて、申し込み初日で125名の定員が埋まってしまった経緯があるからとのこと。(*1)

(*1)介護分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html

根本厚労相の「ありがたい」という発言に同感だ。
日本において、介護の仕事をしたいと考えるフィリピン人が多いことに感謝の意を表したい。

以前、日本の大手ホテルチェーンでベッドメイキングのチーフマネージャーをしている女性に話を聞いたことがある。

「これまで何ケ国もの外国人スタッフと仕事をしてきたが、フィリピン人女性は忠誠心があり家族思い。明るく仕事熱心で、なかには日本人スタッフよりも仕事ができる者もいる。」といった、ポジティブな内容だった。

実際、フィリピン人の1名はサブチーフとして昇進していた。

そのチーフマネージャーによると、日本語のできる者が多く仕事を教えやすいのと、日本人のような気遣いが習慣づいているため意思の疎通が図りやすいのが良いと話していた。

フィリピン人が日本を選ぶ背景は?

上記のように日本人管理職に喜ばれるフィリピンの人材であるが、何故フィリピンの人々は日本で働きたいと思うのか考えてみたい。

まずは現在日本に在留しているフィリピン人の数だ。

法務省の2017年の在留外国人統計によると、平成29年末現在における在留外国人数は2,561,848人で、そのうち在留資格別の「定住者」ではフィリピン49,773人・「日本人の配偶者等」ではフィリピン26,401人と、いずれも各国の中で2番目に多くなっている。(*2)

(*2)法務省2017在留外国人統計(旧登録外国人統計) / 在留外国人統計
http://www.moj.go.jp/content/001271378.pdf

これから日本で働くために試験を受けた(受けようとしている)フィリピン人の中には、すでに家族や親戚・友人・知人などが日本に在住していて、来日しやすいという環境も希望者が押し寄せた要因と考える。

他にもフィリピン人が日本で働きたいと考えられる理由がある。

国際労働財団の「フィリピンの基本情報」によると、フィリピンの人口は2013年に1億人を超え、今後2050年に約1億5,100万人、2100年には約1億7,300万人に達すると予測されている。
また、国民の平均年齢は23.5歳と若く、若年人口比率が高い。しかも25歳未満が52.6%、25歳~64歳は43.03%、65歳以上が4.5%だ。(*3)

(*3)公益財団法人国際労働財団「フィリピンの基本情報」
https://www.jilaf.or.jp/country/asia_information/AsiaInfos/view/25

非常に若い世代が多いのだが、経済状況を見ると経常収支は25億ドルの赤字にとどまり、これを支えているのは、アジアや中東などで働く1,000万人を超える在外フィリピン人からの送金であるとしている。
送金が国の経済の約1割を支えているとは驚きだ。

そのためフィリピンでは、仕事は海外において出稼ぎでするという風潮になっているのではないかと考える。
しかも若い世代が多いことで、海外で働くことに夢や希望を持ちやすく、行動にも移しやすい。

いずれにしても理由はどうであれ、フィリピンをはじめ各国の人々が、日本の介護の現場で働いてくれることに感謝する気持ちに変わりはない。

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