200億円を投じる「保険者機能強化推進交付金」評価指標や配点の大幅変更へ

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200億円を投じる「保険者機能強化推進交付金」評価指標や配点の大幅変更へ

介護予防の「インセンティブ交付金」、アウトカム指標を拡充へ 厚労省

自治体による高齢者の自立支援・重度化防止に向けた取り組みなどを後押しする「インセンティブ交付金」− 。見直しの方向性がみえてきた。

社会保障審議会・介護保険部会の27日の会合で、厚生労働省が基本的な考え方を提示した。

来年度から評価指標や配点を大幅に変える。より具体的な成果を問うためにアウトカム指標を増やす。健康づくりの“通いの場”の開催など、重点施策を推進する観点からさらにメリハリをつける。市町村に対する支援を一段と強化するよう都道府県に求める。多くの自治体が既にクリアしている指標も改め、もう一歩進んだ動きへ発展させるよう促していく。

今後、年内にもこうした方向性を固める計画。新たな評価指標や配点の中身は、予算編成過程でセットされる財源の規模も踏まえて決定する。年度末にも自治体へ通知する予定。

(引用元より一部抜粋)

https://www.joint-kaigo.com/1/article-13/pg1108.html

「保険者機能強化推進交付金」で高齢者の自立支援などのサポートを

2019年9月27日に行われた第82回社会保障審議会介護保険部会において、新たな「保険者機能強化推進交付金」を設け、高齢者の自立支援、重度化防止等に関する取組みを推進していくとした。

各自治体個別の取組みの達成状況を評価できるように、評価指標は客観的な指標にするとのこと。市町村の主な指標は以下の通り。

①PDCAサイクルの活用による保険者機能の強化
地域包括ケア「見える化」システムを活用して他の保険者と比較する等、地域の介護保険事業の特徴を把握しているか等

②ケアマネジメントの質の向上
保険者として、ケアマネジメントに関する保険者の基本方針を、ケアマネ ジャーに対して伝えているか等

③多職種連携による地域ケア会議の活性化
地域ケア会議において多職種が連携し、自立支援・重度化防止等に資する観点から個別事例の検討を行い、対応策を講じているか
地域ケア会議における個別事例の検討件数割合はどの程度か等

④介護予防の推進
介護予防の場にリハビリ専門職が関与する仕組みを設けているか
介護予防に資する住民主体の通いの場への65歳以上の方の参加者数はどの程度か等

⑤介護給付適正化事業の推進
ケアプラン点検をどの程度実施しているか
福祉用具や住宅改修の利用に際してリハビリ専門職等が関与する仕組みを設けているか等

⑥要介護状態の維持・改善の度合い
要介護認定者の要介護認定の変化率はどの程度か

※引用:保険者機能強化推進交付金<参考資料> 令和元年9月27日 厚生労働省老健局

市町村では190億円が達成状況により分配され(都道府県は10億円)、分配された交付金は高齢者の自立支援や重度化防止などを一層推進するために活用していくことになる。十分に評価された市町村は好循環になるが、そうでない市町村は悪循環に転じてしまわないか心配だ。

上記引用資料によると、2018年度の指標を基に、今年1番多く交付金が交付されたのは東京都で1,793,359(千円)。逆に少なかったのは鳥取県の71,388(千円)である。
※都道府県別市町村合計

交付額の算定方法は第1号被保険者数も関係してくるため人口の多い東京都が多いのは分かるが、一人当たりの交付額にしても神奈川県や岡山県の604円に対して、佐賀県は304円であり、約1/2の額だ。

一般市民としては、できるだけ「保険者機能強化推進交付金」を多く獲得してもらい、充実したサービスを提供してほしいと思う。

細分化された評価指標が業界への救いの一手となるか

特に評価得点率が悪かった項目は、介護人材の確保の32.7%である。市町村介護保険事業計画への任意記載事項となった介護人材の確保や資質向上のための取組みを行っているかを評価するもので、抜き打ちテストのようだ。

また、地域密着型サービスの得点率も38.7%と低い。保険者独自の取組みや、実地指導の実施回数、地域密着型通所介護事業所での機能訓練・口腔機能向上・栄養改善を推進するための取組みの状況が評価内容である。

各項目の得点配分は10点前後が多い。2018年度は全部で612点満点のため単純計算で約60項目ある。これが2019年度は692点満点となる。得点が引き上げられた項目もあるが、評価される項目数も増えることになると考える。

また平均して得点の高い項目は、ハードルを上げたり項目の内容が細分化されたりしていくため、自治体は息をつく暇もない。ほかにも報告書の作成や提出資料の準備などを行うため、業務過多になりそうである。

個人にできることは、健康でいることと65歳になったら住民主体の通いの場へ参加すること。要介護状態になったらできる限りその状態を維持または改善できるように努力することだ。

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