来秋の介護報酬改定(増税対応でプラス0.39%)現場の対応は追いつくか?

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来秋の介護報酬改定(増税対応でプラス0.39%)現場の対応は追いつくか?

今回は、加算の改定により介護事業所が行う事務作業について考察しみた。

来秋の介護報酬改定、増税対応でプラス0.39% 新単価は来年1月にも公表へ
政府は17日、消費税率の8%から10%への引き上げで嵩む施設・事業所の出費を補填するため、来年10月に介護報酬改定を行って全体を0.39%引き上げることを正式に決めた。各サービスの基本報酬と一部の加算を少しずつ増額する。麻生太郎財務相と根本匠厚生労働相が閣僚折衝で合意した。

各サービスの基本報酬や加算の新たな単価は、増税に伴う現場の追加負担の分析などを基に定められる。厚労省は来年1月にも具体的な単位数を公表できるよう準備を進めるとした。改定前と同量のサービスを使えなくなる高齢者を生まないよう、毎月の限度額(区分支給限度基準額)もあわせて引き上げる方針だ。

この改定にかかる来年度の経費はおよそ200億円。公費から100億円が投じられ、残りは40歳以上の毎月の保険料や利用者の自己負担で賄われる。

また、障害福祉サービス等報酬や診療報酬も同じ趣旨で引き上げられる。障害福祉サービス等報酬が全体でプラス0.44%、診療報酬がプラス0.41%とされた。いずれも実施は来年10月となる。

この日の折衝ではこのほか、来年度の社会保障費の自然増を4800億円に抑えることも合意された。概算要求の段階では6000億円と見込まれていたが、高所得の会社員が支払う介護保険料の引き上げや薬価の引き下げなどで1200億円が圧縮される。

https://articles.joint-kaigo.com/article-9/pg95.html

3年連続で加算の改定に

2019年10月1日から、消費税率が8%から10%へ引き上げされる。
これに併せ、介護事業所の負担にならないように0.39%加算の引き上げを行い、事業所の出費を補填してくるということであるが、2017(処遇改善加算の改定)・2018(介護保険改定)8月(負担割合3割の導入)・2019(新処遇改善と消費税率に伴う加算の見直し予定)と3年連続で加算の改定が行われることになる。

介護保険サービスが措置から契約制度に変わり、早や19年になろうとしている。
これは利用者の尊厳が尊重される制度であり、利用者は自由にサービスを選択することができる。
そのため利用者は、利用するサービス事業所間と契約を取り交わすことになる。

改定に伴う事業者や職員への負荷

さて、国は改正の度にサービス事業所が行っている事務作業を知っているのであろうか。
介護保険制度の中に規定されているので知らないはずはないが、相当の作業量を伴う。

もちろん改定になった部分のデータを書き換えれば良いだけであるが、それを利用者分と事業者分の2冊1組で印刷する。
また、契約書だけでなく重要事項説明書も料金を掲載しているので新たに作成することになる。
改正になる内容を文章にして簡略化している事業所もあるが、いずれにしてもこの後の作業が大変である。

それは、各利用者や家族への説明と同意を得ることである。
この説明と同意は大変時間がかかる作業で、家族と都合が合わない、スムーズに連絡がとれないといった場合は2~3か月の期間を要する作業だ。
その理由は電話だけでは用を足さないからである。

説明は電話でもできるが、変更後の内容が書かれた新たな契約書類に、事業所と利用者・家族のサインと押印が必要になる。
保証人や緊急連絡先の記名を伴う場合は、最低3名の署名と押印を求めるため更に時間がかかる。

決定の遅延で残業も

介護保険制度では、料金(加算)の変更がある場合は変更の1か月前までに利用者に知らせる必要があると明記されていて、実際契約の際にその旨の内容を利用者や家族へ説明をしている。
しかし、介護保険改正の年などは、最終決定の連絡がくるのが3月に入ってからである。

改定が4月からなのにそれでは到底間に合わないと現場の悲痛の声があがっている。
このため施設職員総出で残業をし、契約書類を作成している事業所が多い。

書類ができた後は事業所ごとに本人や家族へ連絡をとり、スムーズに新たな契約書類の説明とサイン・押印が行えるようにしている。

  • 訪問サービスの場合・・訪問時に家族に来てもらうに連絡をする
  • 通所サービスの場合・・送迎時に家族に会えるように連絡をする
  • 入所サービスの場合・・家族に面会に来てもらうよう連絡をする

今回の介護報酬の引き上げは、2019年1月に公表してくれるということだが、決定は遅延のないようにお願いしたい。

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