要介護2だと特養には絶対に入所できない?

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要介護2だと特養には絶対に入所できない?

Q. 要介護2の認知症の母を介護しています。薬を飲みを忘れたり、鍋を火にかけたまま忘れてしまったりしており、自宅での介護に限界を感じています。要介護2だと特養に入所できないと噂で聞いたことがあるのですが、絶対に入所することができないのでしょうか。

A. 特例がありますので、該当すれば入所は可能です。

平成27年度の介護保険法改正により、特別養護老人ホーム(特養)の入所は、原則として要介護3以上の方が対象です。この改正前までに入所していた要介護1.2の方はそのまま継続して入所できていますが、新たに入所を希望される方は要介護3以上となりました。これにより、介護保険の更新の時に「この先のことを考えて、どうしても要介護3以上がでるようにしてほしい。」といった家族の不安の声を聞くことも増えています。

しかし老人福祉法では要介護1.2の方に対しても特例を設けています。それは、利用者が自宅で日常生活を送ることが困難で、家族も入所を希望している場合が前提です。入所の勘案要件は次の通りです。

・認知症であることにより、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態。
・知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態。
・家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態で、在宅生活が困難な状態。
・単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態。
引用:介護老人福祉施設 (参考資料) – 厚生労働省

このうちのいずれかに当てはまる方は、要介護1.2の方でも特養への入所が可能となります。

また、いったん特養へ入所したら何があってもずっといられる訳ではありません。定期的に施設の専門職員たちがカンファレンスをおこない、自宅でも生活できそうだと判断された場合や、介護保険の更新で要介護1や2になってしまった方などは、退所ということもありえます。特養の入所は、あくまでも何らかの支障があり自宅で生活することが困難な方が入所するところとお考えください。

因みに現在の要介護1.2の方の特養入所者は入所者全体の10%ほどに激減しています。このことから、さきほどの特例にあてはまるとしても、深刻な虐待以外は同条件で要介護の高い方がいれば、そちらの優先順位の方が高くなるということだと察します。対策としては、認知症や精神障害により日常生活に困難がある場合は、介護保険の区分変更を申請することをおすすめします。介護認定はさまざまな視点から多角的に判断して介護度を決定しますので、必ず介護度が要介護3になるとは限りませんが、要介護3になる可能性もゼロではありませんので、担当のケアマネージャーと相談してみてください。

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