SOMPOケア、リーダー級介護職員の賃金引き上げしていく方向へ|他職種の賃金引き上げも待たれるところ

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SOMPOケア、リーダー級介護職員の賃金引き上げしていく方向へ|他職種の賃金引き上げも待たれるところ

SOMPOケア、リーダー級の介護職員の賃金を看護師と同等に 2022年から

介護付きホームなどを展開する大手のSOMPOケア株式会社は26日、リーダー級の活躍をして現場を支えている介護職員の社員の賃金を、2022年までに看護師と同等の水準まで引き上げると発表した。

人材の獲得競争を制して事業の展開につなげることが狙い。人手不足は深刻化する一方で、いかに解消していくかが経営上の極めて大きな課題となっている。

SOMPOケアは、「十分な介護技術、知識を持つ社員に対して、その専門性の高さを評価して納得感のある処遇とする」と説明。職場環境の改善やキャリアアップの仕組みの進化、ハラスメントの撲滅などに引き続き注力する意向も示した。

新たに公表した計画では、今年10月からの賃上げを「第1段階」と位置付けている。新設される介護報酬の新加算(特定処遇改善加算)を使うほか、年間で約10億円の会社財源を別途投入する方針だ。

これにより、各地域でトップクラスの賃金水準を実現していくとした。

リーダー級の介護職員の社員は年間で最大約80万円、それ以外の介護福祉士などの社員は最大約65万円アップする。訪問介護や通所介護などのパートタイマーの時給も110円増やす。夜勤手当も改めて設定し直す考え。リソースは人材確保が特に困難な地域、業態へ重点的に振り向けるとした。SOMPOケアが提示したモデル年収は以下の通り。(引用元参照)

賃上げの「第2段階」は2022年からの予定。「リーダーを担う社員の処遇を看護師と同等の水準まで引き上げる」と明記している。

https://kaigo.joint-kaigo.com/article-12/pg908.html

SOMPOケアが介護師と同じレベルまでリーダー級介護職員の賃金を引き上げていくと発表

2019年8月26日、SOMPOケアが2022年までに介護職員の賃金を看護師と同じレベルまで引き上げると発表した。今年の10月から徐々に賃上げを行い、2022年には看護師と同水準の賃金で働く介護職員のリーダーが出てくる。

介護職員の人手不足による人材確保が主な目的であり、地域でトップクラスの賃金を実現していくとのことだ。そのためリーダー職だけでなく、一般の介護職員やパート勤務の者の賃金アップも予定されている。

これだけの賃金アップが行われれば、介護職員のみならず他職種や他業界からも働き手が流れてきそうだ。良い人材が集まり質の高い介護が行われ、評判が上がり入居希望者も増えていくと考える。また、周辺の介護サービス事業者も影響を受け、人材確保のため賃上げを実施していけば、介護職員の人手不足が改善されていく。

他職種との賃金バランスも気になるところ

しかし次に懸念されるのが、生活相談員や支援相談員、介護支援専門員(ケアマネ)の不足だ。厚生労働省の「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」に掲載されている、介護従事者等の平均給与額の状況によると、看護職員の賃金と相談員の賃金の差は5万円以上、ケアマネとは2万円以上の差がある。(*1・P10)

(*1)厚生労働省平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/dl/30gaiyou.pdf

介護職員の賃金が看護職員と同レベルになると、相談員やケアマネを目指す者が減少すると考える。これまでは、介護現場の業務が身体的に辛い、スキルアップをしたい、高賃金を得たいなどの理由で相談員やケアマネになる者が多かったが、今後は身体的に辛い者以外は介護職員のまま落ち着きそうだ。

さらにケアマネは2018年度から受験資格が厳しくなり、保健師・看護師・社会福祉士・介護福祉士などの基礎資格を取得後に5年以上の実務経験が必要なため、受験者数が激減している。
そのため人手不足になるのも目前だ。介護支援専門員協会の柴口会長もそのことを懸念し、ケアマネの処遇改善を国に要請していくとしている。

平成30年の厚生労働省職業安定局の資料の職業別有効求人倍率を見ても、介護サービスの職業より介護関係職種の方が、有効求人数が上回っている。(*2・P14)

(*2)平成30年4月23日 厚生労働省職業安定局「雇用を取り巻く環境と諸課題について」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000062121_1.pdf

介護関係職種はケアマネだけに限らないが、300万件以上の求人があるのだから驚きだ。(*2)

賃金差が解消され、業務内容で職業選択できる未来に

介護職員の次にケアマネの処遇が改善された場合、次はリハビリ職員や栄養士、社会福祉士など、皆声を上げていくと考える。介護サービスは他職種連携であり、ひとつでも専門職が欠けてはいけない。

個人的には介護に関わる職種の賃金差をなくし、賃金で職種を選ぶのではなくそれぞれ個人が得意とする分野の職種を選べる環境にすることで、専門性がより発揮され質の高いサービスの提供に繋がると考える。

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