サービス提供責任者の任用要件〜保有資格より実務経験が必要では?

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サービス提供責任者の任用要件〜保有資格より実務経験が必要では?

2級ヘルパーのサ責、4月から完全廃止へ 訪問介護の運営基準を見直し 厚労省

厚生労働省は来年度から訪問介護の運営基準・報酬の一部を見直す。

サービス提供責任者の任用要件をさらに厳格化し、初任者研修の修了者や2級ヘルパーが担うことを例外なく禁じる。10日に介護保険最新情報のVol.693を出した。告示などの改正を行うとアナウンスし、「4月1日から適用する」と明示した。

この厳格化は、今年度の介護報酬改定をめぐる議論で決められたもの。サービスの質の向上につなげる施策の一環だ。2級ヘルパーらがサ責を務めている事業所に配慮し、厚労省は1年間の経過措置を採用。「現に従事している人」に限って今年3月31日まで認めるとしていた。

今回の見直しではこの経過措置が廃止される。これに伴い、2級ヘルパーらがサ責に就いている事業所を対象とした減算もなくなる。厚労省は2015年度の改定で、介護福祉士などに任せていく観点から減算を「所定単位数の70/100」まで拡大していた。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg313.html

サービス提供責任者の任用要件が変更

自宅に訪問して日常生活に必要な介助や介護を行ってくれるのが訪問介護であるが、この訪問介護の事業の責任者を担うサービス提供責任者の任用要件が2019年4月から変更となり、今後は初任者研修・ヘルパー2級修了者がサービス提供責任者として業務を行うことはできなくなる。

それに伴い初任者研修・ヘルパー2級修了者がサービス提供責任者として配置している場合の減算についても廃止になるとのことだ。(*1・P11)

(*1・P11)平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000196994.pdf

訪問介護のサービス提供責任者とは、ケアマネが作成するケアプランを元に訪問介護(ヘルパー)のサービスを利用する利用者の具体的な計画を作成し、ヘルパーの割り当てや時間調整、多職種との連携、本人や家族へサービス内容の説明と同意を得るなどの業務を行う者である。

サービス提供責任者の采配ミスがヘルパーの負担に

これ以外にも多岐に渡る業務があるが、サービス提供責任者は保有資格より経験がものを云うと考える。
サービス提供責任者は利用者とヘルパーの性格を考慮しマッチングさせることや、サービス内容により適切な時間配分を見極めること、ヘルパー個人の業務遂行能力を把握していないといけない。

現在ヘルパーの業務に携わっている者からは、「計画されている時間と業務内容が合っていない」「担当する利用者の変更が多く落ち着かない」という声を聞く。

ひどいケースだと、計画では1時間の生活介助を行う予定になっているが30分で終了してしまい、帰る訳にもいかず残りの30分の時間を潰すのが大変であるといったものや、計画では30分の食事介助と生活介助となっているが嚥下機能が低下しているため食事介助だけで30分かかってしまい、生活介助は黙ってサービスで行ってきているといものがある。

これらはサービス提供責任者の計画ミス、もしくは計画の見直しを怠っているから起きることである。
ヘルパー個人の能力が関係する部分もあるが、それらを勘案しても上述したような不具合が起きるのは避けるべきである。

実務経験も任用要件に含めるべきでは

このようなことを防ぐには、サービス提供責任者の計画能力が要である。
なかでもサービス内容ごとによる時間配分とヘルパーの能力と性格の把握は、その事業所においての経験が必要不可欠だ。

今回の資格要件の変更の目的はサービスの質の向上につなげる施策の一環とあるが、保有資格だけでは賄えない部分が大きい。
本当のサービスの質を求めるのであれば、実務経験もサービス提供責任者の任用要件に含めるべきであると考える。

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