とろみ3段階の自動販売機 衛生管理は自販機会社が実施!介護施設などで展開へ

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とろみ3段階の自動販売機 衛生管理は自販機会社が実施!介護施設などで展開へ

とろみ付き飲料の自販機! 介護職員の負担を軽減 施設などで展開へ
とろみ付きの飲み物も提供できるカップ式の自動販売機が新たに生まれた。

嚥下障害に対応した食品の開発・製造などを手がけるニュートリーが、自販機の設置・運営管理などを展開するアペックスと共同で開発した。一般的に手作業で行われるとろみ剤の撹拌を自動化。介護職員らの負担軽減につながるとしている。

全国の病院や介護施設などを対象とし、2021年までに2万台の設置を目指す。商業施設などへの導入もニーズに応じて検討していく。

とろみ付きの飲み物は、高齢者の誤嚥などを防ぐために施設や在宅の介護現場で幅広く使われている。粉状のとろみ剤を飲み物に入れ、スプーンでかき混ぜながら固さを調節…。日常的な作業の1つだ。

新型の自販機では、医療機関が使っている専用のとろみ剤「ソフティアS」を使用。着想からおよそ2年をかけ、自動でのムラのないとろみ付けを実現したという。飲む人の嚥下機能に合わせ、固さは3段階で調節できる。まず「とろみあり」のボタンを押し、「薄い」「中間」「濃い」から選択。その後で飲み物の種類を選ぶ。ホットとアイス、どちらでもとろみ付けができる。とろみ無しの飲み物を出すことも可能。

先月31日から既に、日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックに設置されている。ニュートリーの担当者は、「高齢化で嚥下機能が低下する人も増えていく。そうした社会的ニーズに応えたい。人手不足が深刻な介護現場などの負担軽減にもつなげていきたい」としている。

https://articles.joint-kaigo.com/article-9/pg32.html

職員の手間の解消

「とろみ」付き飲料の自動販売機が開発され、2018年10月から日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックに設置された。介護現場でも、利用者一人一人の状態に合わせ「とろみ」の量を測り飲料を提供しているが、自動販売機で作れれば職員の手間が省ける。病院への設置がひと段落した頃には介護施設への設置も検討されているとのこと。

品質管理・衛生管理などのメンテナンスはアペックスの社員がルート巡回して日常的に実施してくれるのであれば、職員や面会者用の自動販売機を削ってでも導入してもらいたい代物だ。

「とろみ」をつける必要性とは

そもそも「とろみ」とは、脳梗塞後遺症や加齢にともない嚥下(飲み込み)機能が低下した利用者に使用する粉末剤である。
飲料に「とろみ剤」を適量いれて混ぜると、水分にとろみが付く。「とろみ」を付けると水分が気管に入りにくくなり、誤嚥性肺炎を予防できるのである。

健常者でも「むせる」ことがあると思うが、嚥下機能が低下していると水分を摂取する度に「むせる」。
本人も咳が止まらず苦痛な時間である。このため「とろみ」を使用するのであるが、利用者によって「とろみ」の量は異なる。

今回の自動販売機は3段階に「とろみ」の量が調節できるとのこと。詳細が不明なため何gの量が投入されるのかは定かではないが、大抵は3段階の量で対応できる。

予想される問題点は?

問題はカップ式ということだ。脳梗塞などで利き手に麻痺がある利用者や、手の震え(振戦)、握力が低下している利用者の場合、取っ手がしっかりしたカップに移し替えなくてはならない。
また、職員も移し替えを行う時に、取り違えをしないように注意が必要だ。

他にはカギが掛けられるのかどうか、または電源を落とすことができるのかどうかも気になるところである。
施設に自動販売機を隔離できるスペースがあれば良いが、そうでない場合は夜間帯など職員が目を離した隙に、利用者が抽出ボタンを操作して飲料を取り出すことを防ぐためだ。
取り出した飲料で火傷を負うことは避けたい。

リソース不足への新たな一手となるか

しかしデイサービスなどの通所の現場では、到着後のお茶出しに一役買ってくれそうだ。
「とろみ」の量だけではなく、利用者の好みの温度・濃さ・嗜好などを把握して提供する朝一のお茶出しの煩雑さは、職員が送迎に出ていて人手が薄いため尋常ではない。

ただし、比較的軽度で自分で飲料ボタンを押せる利用者が多い通所の現場では、糖尿病疾患など食事制限のある利用者が、砂糖入りなどを飲み過ぎてしまわないように見守りが必要だ。
介護現場への設置は2021年以降の予定とあるが、しっかり説明を聞き、予測される「ヒヤリハット」を解決してからの設置になりそうだ。

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