「中野区あんしん住まいパック」身寄りのない高齢者の利用は可能か?

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「中野区あんしん住まいパック」身寄りのない高齢者の利用は可能か?

単身高齢者の賃貸入居で新制度 中野区 見守りや死後の原状回復費を補助

中野区は今月から、単身高齢者・障害者の賃貸住宅への入居を支援する新たな制度をスタートさせる。民間の見守りサービスを安価に受けられるよう費用面から支援していく。入居者が亡くなってしまった場合、家財の後片づけや原状回復などにかかる費用を家主に補助する。中野区によると、こうした自治体の取り組みは全国で初めてだという。

中野区に1人で暮らす高齢者の人口は、2015年の時点で2万1915人。推計では2030年までに3万人を超える見通しだ。一方で、家賃の滞納や孤独死などへの懸念から高齢者らが賃貸契約を断られてしまうケースは多い。オーナーの不安を解消し、よりスムーズに入居できる環境の整備が急務だ。

新たな制度では、区が協定を結んだ事業者が安否確認の電話を週2回かけていく。その結果は登録した親族や友人などにも共有されるため、もし異変が起きれば誰かがすぐに察知できる。初回の登録料(1万6200円)は中野区が全額を補助。本人の負担は月額利用料の1944円のみとなる。

入居者が亡くなると、葬儀や後片付け、原状回復などの手配を中野区が実施。これらの経費として最大で100万円を家主に補償する。

制度の対象者は、区内の民間賃貸住宅に単身で住んでいる、あるいはこれから住み始める高齢者など。前年の所得額が256万8000円以下(単身高齢者の公営住宅入居資格と同等)という要件もある。今年3月までにおよそ40件の利用が見込まれている。

中野区の酒井直人区長は、「区民が孤独死しないよう、まずは見守りによって支えていく形で対策に取り組むべきと考えた」と説明。「この制度は入居者、オーナーの両者にとってメリットがある」としている。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg309.html

入居拒否のセーブに繋がるか

東京都中野区が、2019年1月から画期的な支援制度を開始した。
「中野区あんしん住まいパック」と名付けられた単身高齢者等の住宅確保支援制度の目的は、単身高齢者や障害者であることを理由とした入居拒否を解消するとともに、比較的安価で利用しやすいサービスが付加された民間賃貸住宅の普及を図ることである。(*1)

(*1)単身高齢者等の住宅確保支援制度 「中野区あんしんすまいパック」 の導入について
http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/102500/d026612_d/fil/kaikensiryo20181220.pdf

また、空き部屋となっている民間賃貸住宅の有効利用促進の効果も見据えるとしている。

サービスの概要は、住まいに関する3つのサービスを1つのパッケージにして、民間事業者「ホームネット株式会社」が提供するパッケージを、民間賃貸住宅へ入居希望の高齢者や障害者が利用するというものだ。

3つのサービス

①見守りサービス
②利用者が亡くなった際の葬儀対応・費用補償
③利用者が亡くなった際の残存家財片付け・費用補償

※引用:単身高齢者等の住宅確保支援制度「中野区あんしんすまいパック」の導入について

このサービスを利用することで、高齢者や障害者が賃貸住宅の入居を希望した際に民間賃貸住宅オーナーの不安を解消できるため、入居拒否がセーブされる。
さらに、「中野区あんしん住まいパック」の加入費用の全額(16,200円)を中野区が補助し、利用する者は月費用(1,944円)のみとしている。

単身高齢者は年々増加傾向に

平成30年度版高齢者白書(*2)によれば65歳以上の単身高齢者は年々増加し、平成28年に全体の27.1%にまで登っている。

(*2)内閣府平成30年度版高齢者白書 高齢化の状況
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_1_3.html

単身高齢者の孤独死など課題は中野区の話だけではなく、全国の課題でもある。
これに先駆け、まさにこれからの高齢化社会に向けた画期的な制度であると考える。

しかし、身寄りのない単身高齢者の利用が気になるところだ。
それは保証人になってくれる身内や知人がいない高齢者は後見人などがいない場合、介護保険サービスの利用でさえ拒否されることがあるためである。

保証人がいないケースが心配

賃貸住宅契約の時の連帯保証人はホームネット株式会社のグループ会社、エルズサポート株式会社が運営する賃貸債務保証(連帯保証人不要)などを利用できそうだが、一方の「中野区あんしん住まいパック」の保証人についてはどうであろうか。

こちらも月額の利用料が発生するサービスであるため、利用料が徴収できない場合の保証人が必要であると思われるが、身寄りのない単身高齢者は保証人になってくれる者もいない。
この場合は保証人不要で、パッケージ内容の葬儀や家財片付けの費用補償から中野区が支払う形になるのだろうか。

もしくは万が一の時の連絡先に指定した最大5名の中から保証人を選択することになるのか知りたいところである。
しかし連絡先に指定した相手が保証人になる場合は、連絡先としての登録を拒む者が出る可能性があるためできるだけ避けたい。

この「中野区あんしん住まいパック」の保証人と安否確認の連絡先に中野区を選択できるのであれば、賃貸住宅のオーナーが懸念している孤独死への不安が全面的に解消されると考える。
そして、高齢者の中野区への移住者が増えることになりそうだ。

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