
SOMPO、「新しい介護を創造する」ラボを開設 目指すは人とテクノロジーの共生
SOMPOホールディングスが5日に新たな研究所を開設した。プロジェクト名は「Future Care Lab in Japan」。「人間とテクノロジーの共生による新しい介護のあり方を創造する」と意欲的だ。
国内外の先端技術の実証などを進め、実際に活用できる有効なソリューションの開発につなげる。現場の生産性を飛躍的に高め、介護職員の負担軽減やサービスの質の向上を実現したいとした。AIやロボット、IoTなどで代替できる業務を整理しつつ、「人が本来やるべき介護を改めて定義する」との考えも示している。
従来の人間だけに頼る介護の仕組みは限界に達している − 。研究所の公式サイトではそんな問題提起も行っている。介護のニーズが膨らみ続ける一方で、サービスを担う人材の不足はさらに深刻化すると指摘。「だから今こそ、テクノロジーを介護の現場に届けたい。人間の温かみとテクノロジーの革新性が介護を変えていく」と綴っている。
メーカーなどとの共同研究・共同開発にも取り組んでいく。ラボは介護施設の居室、設備をリアルに再現した作りとした。「技術シーズにとっては、現場に適合した製品・サービスの研究を行う最適なテストサイト」と説明している。ラボで生み出す成果はSOMPOケアの施設で活かしていく。「新しい介護をコンセプトとした新棟」も計画しているという。
「新しい介護のあり方を創造」
介護付ホームや在宅老人ホームなどを展開しているSOMPOホールディングスが、2月5日に「Future Care Lab in Japan」と称する研究所を東京都品川区に開設した。(*1)
(*1)Future Care Lab in Japan
https://www.futurecarelab.com/
ここでは介護施設の居室・設備を実際の配置や機能をそのままに再現し、「人間とテクノロジーの共生による新しい介護のあり方を創造する」としている。
介護の人手不足の深刻さが今後も増していく状況を打開するために、テクノロジーを駆使し介護を提供する側も受ける側も便利で簡単・快適な暮らしができるようになることを目的としている。
実際の介護現場でIoT化してほしいことは?
そこで介護現場でテクノロジー化されると良いことは何であろうかと考えてみた。
人の手を必要とせずに完全にテクノロジー化しても問題がないことは、玄関の施錠・個別の室温管理・見守り・予定管理・記録などであろうか。
玄関の施錠と見守りは重複する部分もあるが、施設でなら離設防止、在宅なら施錠忘れ防止だ。
現在多くの施設では玄関の自動ドアをロックし、来訪者のある度に職員が開け閉めを行っている。
しかしどれだけ注意していても利用者が面会者などと外に出てしまうということが年に数回の頻度で起きる。
玄関の施錠のテクノロジー化で、利用者が玄関を出ようとするとブザーなどで知らせてくれるシステムになれば完全に離設が防止できる。
在宅の場合はデイサービスで送る際、身体機能が低下している利用者の場合は玄関を上がったところまで見守りをするが、玄関の施錠のために利用者はまた玄関に戻り鍵を閉め、そのあと玄関を上がる時に転倒したということがある。
または玄関を施錠しないままにしている者もいて物騒である。
これらも玄関がテクノロジー化されていれば防げることだ。
個別の温度管理、予定管理も最適化を望む
個別の室温管理についても、全館統一の系統で冷暖房が管理されている施設の場合は利用者の体調に合わせた個別の温度管理が難しい。
各部屋に冷暖房機器を設置していても、利用者が寝たきりの場合などは快適かどうか日に何度か身体状況をみて判断し温度設定を変更している。
在宅の場合は真夏に冷房を使用せず、暑い時期でも何枚も肌着を着て熱が籠り熱中症になってしまう者もいる。
高齢になると体幹温度が下がり「寒い」と感じやすく、夏場の暑い時期でも暑さを感じないため高齢者自身での室温管理は難しい。
また、リモコンの操作などが理解できない者もいる。
湿度を含めた室温管理がテクノロジー化により利用者の体調に合わせて適切に行われれば、療養時に快適にすごせるだけでなく、病状の回復の手助けや感染症予防などにも役立つと考える。
予定管理のテクノロジー化では、施設利用者の受診予定や在宅利用者のサービス利用日などを知らせるシステムがあると良い。
施設利用者の受診予定をうっかり忘れ、必要書類を持たずに病院へ向かってしまった。
デイサービスの日を忘れていて支度が間に合わないなどといったことも防げる。
実用化に繋がる研究開発に期待
これまでにも同様のシチュエーションをカバーするようなシステムは多々開発されていると思われるが、今一つ浸透されていない。
それは細かい部分までテクノロジー化されていないからである。
人の動きや体調、気持ちを臨機応変に全てに対応できるシステムは未だ登場していない。
どれも必ず人の手が必要か設定が難しく、最終的には「それなら今まで通りで良い。」となってしまうからだ。
介護事業も行っているSOMPOホールディングスの「実際に活用できる有効なソリューションの開発」で、実用化に繋がる研究開発がされるのは楽しみである。