退院時には介護保険サービスが途切れずに利用できるルールを!

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退院時には介護保険サービスが途切れずに利用できるルールを!

入退院ルール策定が重要 ケアマネや医療職で協議を 在宅医療充実へ通知

厚生労働省が1日に出した介護保険最新情報のVol.695は、在宅医療の充実に向けて自治体が推進すべき施策をまとめた通知を広く周知する内容だ。

入院と在宅生活のスムーズな移行を支えるため、地域ごとに“入退院ルール”を作っておくことが重要と改めて説明。病院や診療所の医療関係者、ケアマネジャーなどが協議して実態に見合った中身にすべきとし、都道府県に必要なサポートを行うよう要請している。

今回の通知は、医療計画の見直しなどを見据えて検討を重ねてきたワーキンググループ(在宅医療及び医療・介護連携に関するWG)が、昨年12月に公表した「議論の整理」に基づくもの。WGによる調査の結果では、独自の合理的な“入退院ルール”の策定に力を入れている積極的な地域が少なくない一方で、必ずしも十分でないところがあると報告されていた。

通知ではこのほか、医師や看護師、薬剤師、ケアマネジャーなどの専門職がそれぞれの課題を共有できる機会を設けたり、人生の最終段階の医療・介護を話し合う「人生会議」の理解を深めたりすることについても、都道府県に必要な支援を行うよう呼びかけている。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg341.html

在宅医療の充実に向けて

厚生労働省は、「在宅医療の充実に向けた取組の進め方について」介護保険最新情報のVol.695(*1)を通知した。

(*1)介護保険最新情報Vol.695
http://www.care-mane.com/pdf/feature/q&a/vol695.pdf

内容は在宅医療の充実に向けて都道府県において取り組むべき事項について整理したもので、在宅医療の提供体制の確保と充実に向けた進め方等について検討・推進・構築を行うように、市町村・関係団体・関係機関等に周知するものだ。

在宅医療の充実は自分らしい暮らしを住み慣れた地域で続けるために重要であり、療養生活を行うことを可能にしてくれる。
今回の通知では都道府県全体の体制整備や在宅医療への円滑な移行、都道府県全体の体制整備、在宅医療に関する人材の確保・育成、住民への普及・啓発などが記されている。

実際には「いつの間にか退院していた」ケースも

そのなかに療養の場が病院から在宅へ円滑に移行されるために入退院ルールを決め、かかりつけ医を持つことなどが重要だとある。

介護の現場では、利用者が「いつの間にか退院していた」という場面が実際にある。担当ケアマネや介護サービス事業所などが知らないうちに利用者が在宅へ戻っていて、介護保険サービスが途切れてしまい介護に困窮した家族から連絡が入り退院したことを知るのだ。

担当ケアマネや介護サービス事業所も入院中に様子を伺うため適宜病院や家族へ連絡を入れているが、何かの事情で急な退院となった場合「いつの間にか退院していた」ということが起きている。

今回の通知にある入退院のルールとは具体的にどのようなものか現時点では定かではないが、利用者が関係している各担当者に連絡を入れる・退院支援会議や担当者会議などを行いサービス開始の目途が立ってから退院とするなどのルールが決められれば「いつの間にか退院していた」ということが避けられ、介護保険サービスが途切れることなく在宅へ戻った瞬間から利用できる。

医療と介護のリレーが上手くいくような仕組みを

また、ルールの中に情報を共有できる書面を用意することが必要だ。
退院後に初めて介護保険サービスを利用する際に診療情報提供所、看護サマリーやリハビリサマリーなどの書類の提出を求められる場合がある。

これらの書類があることをほとんどの利用者や家族は知らないため、担当ケアマネが決まっていないまま退院した場合ほとんどの者は書類をもらわずに退院している。
そのため後から診断書を取り直す、健康診断を受けてもらうということも起きている。

これらの書類が一つになった書面がルールとして作成されて退院時に病院から渡されれば、各介護保険サービスの利用がスムーズに行われると考える。
また、在宅へ戻ったあとはこの書面をかかりつけ医が管理し、状態や療養生活を行う上での注意点などの変更があれば随時訂正していくといった形にすれば、介護保険サービスを提供している事業者も利用者の状態把握がすぐにできて安心だ。

病床の機能分化の影響で早期退院が求められるようになり療養の場が在宅へ移行してきている今、医療と介護の間でルールができ情報共有がスムーズに行われることは非常に有意なことである。

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