高齢者、熱中症対策の実情〜水分補給はトイレの回数が増えて負担に?夏でも厚着してしまう?

更新日:
高齢者、熱中症対策の実情〜水分補給はトイレの回数が増えて負担に?夏でも厚着してしまう?

熱中症に注意! 気温上昇で真夏の暑さに 厚労省、対策リーフレット配布

夏本番を前に厳しい暑さを迎えるなか、万全の対策を取るよう改めて呼びかけている。

23日は日本列島の各地で、30度を超える真夏日が観測され、熱中症とみられる患者の搬送も相次いだ。気象庁によれば、暑さは週明け頃まで続く見込み。平年よりかなり高い最高気温を記録する地域が多く出ることも予想されている。

厚生労働省は今回、熱中症の予防策や注意点をまとめたリーフレットを新たに作成。介護の現場などで活用してもらうことを想定し配布している。

やはり高齢者の場合は十分な注意が必要。暑さや水分不足を察知する感覚機能が低下していたり、体の調節機能が衰えていたりすることがある。

厚労省はリーフレットで、扇風機やエアコンを動かして温度を調節すること、通気性が良く吸湿性・速乾性のある衣服を着ることなどが効果的だと説明。天気のいい日は日中の外出をできるだけ控え、外出時は日傘や帽子を使うことも勧めている。加えて、「こまめに水分の補給を」と重ねて注意を促した。

現場で熱中症の症状が疑われる人を発見した時はどうするべきなのか? 厚労省はリーフレットで、

○涼しい場所へ避難させる
○衣服をゆるめ、からだを冷やす
○水分・塩分、経口補水液などを補給する

の3つの行動を推奨しており、「自力で水が飲めない、意識がない場合は、すぐに救急車を」と指導している。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg599.html

介護現場でも熱中症対策を実施。しかし水分補給を嫌がる利用者も?

厚労省が2019年5月22日に、熱中症予防のリーフレットを厚労省ホームページに掲載した。(*1)

(*1)熱中症予防のために
http://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/05/R1_0521nettusholeaflet.pdf

熱中症に対し、高齢者や子ども・障害者・障害児は、特に注意が必要だとしている。

介護現場では暑い季節に関わらず、一年を通して常に水分の提供に気を配りながら利用者の支援をしている。

入所施設などでは、最低でも1日に10回程度の水分補給を促しているのではないだろうか。通所施設でも、1行動の都度、水分提供を行っている。

しかし利用者のなかには水分を摂りたがらない者もいる。理由はトイレが近くなる(頻尿)からである。

トイレが近くなるということはトイレ動作をその回数分行うことになるのだが、それが億劫だと感じるとのこと。
歩行がスムーズで、下衣の上げ下ろしを自分で行える者は良いが、介護が必要な者はトイレに行く動作一つが大変なのである。トイレに行くのを我慢して失禁をしてしまう者もいる。

高齢者の体感温度の低さがネックになることも

しかし熱中症予防のために水分補給は必須であるため改善策を講じるのだが、どれも今一つであった。時間で声を掛けトイレ誘導を行うが、タイミング良く出るものでもない。

リハビリパンツを勧めるという案もあったが、それも自立支援と相反してしまう。また、トイレ動作が楽に行えるように動作方法の指導を行うなどもしたが、自分のやりやすい方法があるため新しい方法はあまり馴染まないようだった。

ハード面での解決を考え、手すりの位置や便座の高さ調整(踏み台を付けるなど)を講じたこともあるが、やはり水分を好まない利用者は積極的に水分摂取をするようにはならなかった。

また、自宅へ訪問した時に感じるのが、どの家も暑いということだ。エアコンは点いていたとしても、30℃の設定などになっているため暑い。また、エアコンを使用していない家もある。
これは、「足腰が痛くなってしまう」「自然の空気でないと気分が悪くなる」という理由が多い。

一人暮らしの利用者宅へ訪問した際は、日中はエアコンを使うように話をするが、リモコンの使い方が良く分からないと言う者もいた。
自動で運転するように設定をしたこともあるが、別の関係者が訪問した時にエアコンは点いていなかったと聞いた。

着る物についても、真夏に肌着を5枚着ている利用者がいた。「本人は寒いから着た」と言っていたが、熱が身体にこもり体温が上昇していた。
看護師の話によると、高齢者は体感温度が低いため、本人は本当に寒いと感じているとのことだった。

屋内でも十分な対策を

厚労省の同ホームページに「平成30年7月1日~平成30年9月30日の重症入院患者数」が掲載されていた。(*2)熱中症年齢別入院患者数は、60代を超えると急増している。しかも発生場所の半数が屋内である。

(*2)協力医療機関における熱中症入院患者数(7月1日~9月30日)報告分
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000379113.pdf

今年も暑くなりそうだが、「屋内にいるから安心」「喉は乾いていない」とは思わずに、涼しい空間作りを心がけ、水分補給をこまめに行うことを忘れず熱中症予防をしていきたい。

Designed by Freepik