管理栄養士が活躍できる場の拡大が必要〜データヘルス推進特命委員会が政府へ提言

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管理栄養士が活躍できる場の拡大が必要〜データヘルス推進特命委員会が政府へ提言

自民特命委「栄養士の活躍の場を広げて」 介護報酬による後押しを提言

自民党のデータヘルス推進特命委員会(委員長・塩崎恭久元厚生労働相)は30日、これまでの議論を集約した政府への提言をまとめた。

介護分野では、重度化の予防などで成果をあげていく観点から「栄養は重要な要素」と指摘。適切な栄養リハビリテーションや栄養管理を実施していくため、「報酬面を含めて、管理栄養士などの活躍の場を広げていくことが必要」と意見した。介護報酬の加算の拡充などで後押しすることが念頭にある。

加えて、介護報酬によるインセンティブで「自立支援型」のサービスを展開していくことも要請した。政府が来月にまとめる今年の「骨太方針」や成長戦略への反映を目指す。

提言ではこのほか、エビデンスに基づいて自立支援につながるサービスを提供する「科学的介護」の推進を求めた。オンライン診療がより有効に機能していくよう、高齢者を在宅で支える看護職員・介護職員への研修を充実させることの必要性も指摘している。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg607.html

管理栄養士、活躍の場を拡大へ

2019年5月30日に、自民党「データヘルス推進特命委員会」の政策調査会が行われた。

リハビリ病棟の患者の多くが低栄養状態であり、体重低下・筋力低下・嚥下障害がみられる。報酬面を含めて、管理栄養士などの活躍の場を広げていくことが必要だとした。

確かに施設では管理栄養士が栄養コントロールを行い、栄養バランスの整った身体に良い食事が提供されるが、在宅では配食サービス以外に栄養面のコントロールを行えるサービスがないと思われる。

疾患により退院時に本人や家族が栄養指導を受けるが、自宅で病院の指導内容通りの食事を作り続けるのは大変である。

一人暮らしの場合など、自身で行う食事制限には限界も

以前、大腸がんを患った利用者が通所サービスを利用したときに、食事制限の多さに驚いた。基本的には何でも食べて良いとのことだが、約半年以上かけて通常の食事に戻るような栄養指導を受けていた。

例えば、大豆類は薄皮をはがして食べる・繊維質の多い食材は避ける・ご飯はお粥・肉はささみ・イカやタコ貝類は避けるなどだったと記憶している。この利用者は娘と同居していたため、限られた食材の中でも栄養のある食事を摂れていたが、料理が苦手な一人暮らしの利用者だったら困難だ。

また、施設に入所した利用者で、こんな例もある。在宅で息子夫婦と同居をしていたが、日中独居のため自由に好きな物を食べることができる。そのため糖尿病にも関わらず食は加速し、さらに肥満が目立つようになって主治医から注意を受けた。そして本人も、椅子から立ち上がることや歩くことがままならなくなってしまった。

意を決し、血糖コントロールとダイエット目的で施設に入所になったのだが、1年で約15kgのダイエットに成功した。施設では本人の身長や年齢などから、3食の食事とおやつで1日1,200kcalで提供していた。

管理栄養士の活躍には、当事者の家族の協力も不可欠

逆に栄養失調状態で入所してくる利用者もいる。血液検査の結果で低栄養状態だと分かるのだが、高齢になるほど栄養素の吸収力が落ちるため、高タンパク質やビタミンなどが含まれる食事を意識して取らなくてはいけないと、管理栄養士が計画書を作っていた。

こうした療養食は、施設入所の場合「療養食加算」を算定して栄養改善を行う。通所にも「栄養改善加算」があるのだが、家族の協力が必要なため、あまり浸透していない。

栄養面に関することは、もちろん本人の意識が大切であるが、自宅での家事の担い手である家族の協力も不可欠である。低栄養改善の効果が得られる、管理栄養士の活躍の場を作りだすのには労力がいりそうだ。

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