「老衰」が死因の第3位に浮上〜今後増えるであろう自宅での看取り介護に必要なサービスとは?

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「老衰」が死因の第3位に浮上〜今後増えるであろう自宅での看取り介護に必要なサービスとは?

老衰、死因の第3位に 高齢化など要因 脳血管疾患を抜く 人口動態統計

質の高い介護サービスの重要性もますます高まっていくとみられる。

厚生労働省の人口動態統計によると、2018年の死因の1位はがん、2位は心疾患、3位は老衰だった。老衰が3大死因に含まれるのは、1960年代以降では初めてだという。半世紀以上なかったことだ。

戦後の1947年をピークに減少を続けてきた老衰は、2000年を超えた頃から再び増加に転じていた。2018年に老衰で亡くなった人は10万9606人。死亡者全体に占める割合は8.0%となり、7.9%だった脳血管疾患を上回っている。

医療サービスのレベルがさらに上がったこと、長く生きる人が増えたことなどが主な要因とみられる。老衰による死亡は年齢が高くなるほど多くなる傾向にあり、95歳以上では死因のトップだ。

今後も長寿命化が進んでいけば、老衰で亡くなる人がさらに増加する可能性がある。施設や在宅での看取りの充実、医療と介護の連携の深化が一段と問われそうだ。必要な人材の確保などサービス提供体制の基盤強化が大きな課題となる。

2018年の他の3大死因をみると、1位のがんが死亡者全体に占める割合は27.4%。日本人の3.6人に1人ががんで亡くなっている計算だ。

2位の心疾患は死亡数・死亡率ともに増加傾向が続いている。2018年の死亡者全体に占める割合は15.3%だった。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg681.html

死因の3位に「老衰」が浮上

厚生労働統計一覧の平成30年人口動態統計月報年計(概数)の概況(*1)によると、2018年の死因の3位に老衰が浮上している。年代別にみると、90歳以降では2位、95歳以降と100歳以降では1位だ。

ちなみに、がん・心疾患・脳血管疾患が死因の上位3位を占めるのは55歳~84歳まで。85歳以降の3位は肺炎となっている。

(*1)平成30年人口動態統計月報年計(概数)の概況 死亡数・死亡率(人口10万対)性・年齢(5歳階級)・死因順位別
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/dl/h7.pdf

高齢化が進むにつれ、今後も老衰や肺炎といった、高齢者独特の死因が増加していくと考える。

これまで日本では、病院で最期の時を迎えることが当たり前のように考えられてきたが、近年は医療機関の機能の見直しなどもあり、病院以外の場所へ変わろうとしている。(*2・P6)

(*2)意見交換会資料【テーマ1】 看取り 参考資料
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000156003.pdf

そのため、自宅で看取り介護を行うケースも、今後増加していくと予測される。

看取り介護に向けて整えておくべきことは?

看取りケアとは、人生の終盤で医療行為をせず(もしくは出来ず)、緩和ケア(痛みや苦痛を取り除く行為)を行うことである。看取り介護は、看取られる者の生活面や精神面をサポートすることと捉えていただきたい。

そこで、自宅で看取り介護を考えている家族に、整えておきたいサービスを伝えたい。まずは介護保険の認定を受け、ケアマネ・訪問看護・往診をしてくれる医師を探すことが必要である。もし、既に余命宣告を受けている場合であれば、認定調査や主治医意見書など書類が整わない状態でかまわないので、すぐにケアマネを依頼することをおすすめする。

介護保険の利用開始日は、介護度が出てからではなく、介護保険の認定を受けたいと自治体へ申請をした日に遡及することができるため、介護度が未定のままでもサービスは利用できる。特に末期がんなどの疾患では、1~2ヶ月位の期間を要する介護保険の認定結果を待っている間に状態が急変することもあり、介護度の結果を待ってはいられない場合もあるからだ。

ケアマネを決めておけば、必要なサービスの情報を教えてもらえる。すぐに必要がないとしても、電動ベッドや車いすなどがいつでもレンタルできるように準備をしておけば、いざという時にスムーズに導入できる。

本人が穏やかな最期の時間を過ごすために

また末期がんの場合は、医療保険で訪問看護を利用できるため、ケアマネが決まらなくても、家族が訪問看護事業所に直接申込みすることが可能だ。往診をしてくれる医師(病院)についても同様である。

訪問介護は、医師と連携を図り、状態観察や緩和ケア、入浴介助や清拭、本人や家族の心の相談支援を行うなど、療養生活全般をサポートしてくれる。また、亡くなった後のエンゼルケアも実施する。

そして、必ず利用する必要があるのが往診である。その理由は、緩和ケアの指示や健康相談を行うためでもあるが、医師に死亡確認をしてもらうことも大きい。往診医は、死亡時刻を確認して死亡診断書を作成する。往診してくれる医師がいないと、亡くなった後に警察の現場検証が必要になるからだ。

本人が穏やかな最期の時間を過ごせるようにも、上記で取り上げたケアマネ・訪問看護・往診医に家族も加わり、ひとつのチームになって看取りを行うことが必要である。

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