保護者の抱く介護職の悪いイメージを払拭できるか?小学生ボランティアにもポイントを!

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保護者の抱く介護職の悪いイメージを払拭できるか?小学生ボランティアにもポイントを!

介護職のイメージ、中高生より保護者の方が悪い傾向 「勧めたくない」が増加

介護や福祉の仕事にどんなイメージを持っているか? 中学生や高校生、その親などにそう尋ねた調査の結果が公表された。

子供より大人の方が否定的な反応が目立ったと報告されている。「介護や福祉の仕事を勧めたくない」。そう考えている親が以前より増えていることも明らかにされた。

この調査は昨年11月に三重県の福祉人材センターが行ったもの。対象は県内の中学2年生、高校2年生、その保護者、教職員で、以下の通り回答(※引用元参照)を得たという。

□教職員から最も厳しい評価

結果をみると、賃金・給与が「良い」「やや良い」と答えた割合は中学生が32.8%、高校生が30.6%だった。これに対し、中学生の保護者は12.8%、高校生の保護者は15.5%。教職員はさらに低く、中学が4.2%、高校が5.5%にとどまっている。

社会的評価についても同じだ。「良くない」「あまり良くない」との答えは中学生が7.2%、高校生が12.3%。中学生の保護者は34.1%、高校生の保護者は34.3%だった。教職員はさらに多く、中学で38.3%、高校で45.8%にのぼっている。

保護者や教職員の回答ではこのほか、「仕事のやりがい」についてポジティブな見方を持っている人が非常に多い傾向がみられた。その一方で、「働きやすさ(労働時間・休日等)」や「精神・身体の負担」についてネガティブな見方を持っている人が大勢を占めている。

□保護者に選ばれる職業に

介護や福祉の仕事を子どもに勧めたいか? 保護者や教職員にそう尋ねると、「子どもが希望すれば勧めても良い」を選ぶ人が多数派となる。

ただし、「あまり勧めたくない」と答える親も少なくない。中学生の保護者が26.6%、高校生の保護者が29.9%。ともに4人に1人を超えていた。5年前に実施された前回の調査と比較すると、それぞれ10ポイント前後多くなっている。賃金や労働時間、精神・身体の負担といった待遇面の不安が大きいとみられる。

教職員の場合、「あまり勧めたくない」と答える人は保護者より少ない。ただ「勧めたい」との回答も少なく、中学・高校ともに1割前後にとどまっていた。

調査結果の報告書では人材確保に向けた提案として、「子どもだけでなく保護者にも選択してもらえる職業にしていくことが重要」と指摘されている。

この調査結果は、今月6日に開催された厚生労働省の「介護現場革新会議」に報告された。

三重県ではこれを踏まえ、介護や福祉の仕事の魅力を発信していくパイロット事業がスタートする。事業を通じて保護者や教職員が持つイメージの改善にも取り組むという。厚労省は得られたノウハウを全国に広く横展開したい考えだ。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg626.html

福祉の仕事、子供よりも保護者のほうがイメージが悪い?

三重県福祉人材センターが中高生とその保護者と教員を対象に行った「福祉の仕事に関する意識調査報告書」において、福祉の仕事に対するイメージが明確にされた。(*1)

(*1)福祉の仕事に関する意識調査報告書
http://www.miewel-1.com/jinzai/miryoku/doc/H30report.pdf

子供はやりがいがありそうだが負担感があるとし、保護者は心身の負担感や賃金面でも良いイメージを持っていないようだ。

また5年前と比べて、保護者は子供に福祉の仕事を勧めたくない傾向が高まっているとの結果が出ている。(*1・P42/54)

福祉の仕事に興味・関心があると答えた子供もいるのだが、そう答えた者の多くは、周囲に福祉従事者がいる、もしくはボランティア体験等をしたことがある子供たちであった。世の中魅力的な仕事があふれている。色々な可能性を秘めた子供たちに、介護という職業に興味を持ってほしいというのも無理な話しである。

実際、他業種から介護業界で働くようになった大人たちでさえ、祖父母や親の介護を経て、もっとできることがあったのではないかという後悔にも似た思いでやってくる者が多い。自身もその一人であるが、一緒に働いていた仲間たちも、同年代の者は同じような事情であった。

ボランティアだとしても子供がいると利用者も笑顔に

ところで、子供たちに介護職という職業に興味を持ってもらうという事についてだが、中学生ではなく、小学生からボランティア活動を始めてはどうだろうか。自身のいた施設では、職員の子供やその友達が良くボランティアに来てくれていた。確か小学5年生の子供たちだ。

小学校高学年にもなると、現場でも歓迎されることがある。特にレクリエーションではそれが際立つのだ。小学生も少し遠慮がちに利用者に接するのだが、利用者たちは孫と遊んでいるようで可愛くて仕方がない様子である。

普段は口数が少ない利用者も、小学生たちがいる日はよく口を開いておしゃべりをする。もちろん小学生たちに目もくれない利用者もいるが、それでも職員はコミュニケーションを図ってもらえて大変助かるのだ。

中学生になると、ドライヤー掛けやコップ洗いなど、業務的なことまで手伝ってくれるのだが、年頃ということもあり少々恥じらいが出てくる。利用者は中学生に気を使って自ら話しかけるようなことがあまりないので、小学生の方が、親近感が湧くと考えられる。

ボランティアの対価を明確にするのも一つの策では

また、小学生のうちから介護施設でボランティアをしていれば、高齢者と接することに違和感を感じなくなると思うのだが如何だろうか。土曜日など学校が休みの日には、積極的に小学生ボランティアを受け入れるべきだと言いたい。利用者たちは、クラシック音楽を聴いたり太極拳を行ったりするより、子供たちの傍にいる方が生き生きとしている。

中学生は社会学習(授業)の一環での来所のほか、ボランティアを行うとボランティア実績を書いてもらえる。高校生は単位をもらえる。今後はシニアボランティアにもポイントを付与する自治体が増えそうだが、小学生にも商店街などで使えるポイントを付与してあげてほしい。

ボランティアをして自分でお小遣いになるポイントを得るのであれば、介護職に良い印象を持っていない親も、快く参加させてくれるはずだ。小学生にとっては社会のマナーも学べて、一石二鳥である。

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