東京都がセーフティネット住宅を対象とした新しいモデル事業を開始〜高齢者の安否確認サービスで不安を解消なるか

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東京都がセーフティネット住宅を対象とした新しいモデル事業を開始〜高齢者の安否確認サービスで不安を解消なるか

孤独死の不安を軽減 東京都、セーフティネット住宅の展開へ見守り費を補助

ひとり暮らしの高齢者などが安心して暮らせる住まいの確保に向けた施策の一環。

東京都は今年度から、賃貸住宅の見守りサービスにかかる費用を補助する新たなモデル事業を開始する。入居者の孤独死や孤立など、家主を慎重にさせるリスクを減らす有効な施策の展開につなげていく狙いだ。

高齢者や障害者などの入居を拒まない住宅として登録された「セーフティネット住宅」を対象とする。

この登録制度は、2017年に施行された改正住宅セーフティーネット法に基づくもの。高齢者などが賃貸契約を断られてしまう問題への対策で、増加する空き家を有効に活用するという側面もある。東京都によると、「セーフティネット住宅」の見守りサービスを補助する試みは全国初だという。

東京都は既に見守りサービスを提供する2社を選定した。費用は1戸あたり月1500円から1850円程度。この半額を事業者に補助し、残りを入居者が支払う仕組みだ。サービスのメニューには、安否確認に加えて孤独死した場合の原状回復補償なども含まれる。

都内で登録されている「セーフティネット住宅」は、今年7月18日現在で636戸(登録のみの空き家含む)。東京都は2025年までに3万戸へ増やす計画で、今回のモデル事業を今後の登録拡大に活かしたい考えだ。

https://kaigo.joint-kaigo.com/article-12/pg902.html

東京都が賃貸住宅向けの見守りサービスを開始

東京都が、高齢者が入居している賃貸住宅の見守りサービスを開始。自宅でひとり不安をかかえながら生活している高齢者と、孤独死などを懸念している貸主が安心できるサービスだ。(*1)

(*1)東京都住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅における見守りサービス支援モデル事業実施方針
http://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.jp/bunyabetsu/jutaku_fudosan/pdf/modeljigyo_bosyu_01.pdf

対象は、都に登録している住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅(セーフティネット住宅)に住む、60歳以上の高齢者である。見守りのサービス内容は、訪問・電話・メール・機器装置などを使い最低週に1回の頻度で安否確認を行うとしている。費用は都が補助をするため、1世帯あたり月に最大でも1,000円である。(*2)

(*2)東京都住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅における見守りサービス支援モデル事業補助金交付要綱
http://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.jp/bunyabetsu/jutaku_fudosan/pdf/modeljigyo_bosyu_04.pdf

今回はモデル事業として1期が2019年7月~2021年3月末まで、2期が2020年7月~2022年3月末までだが、このサービスが普及するようになれば、有料ホームなど特定施設への入居を早い段階から考えなくてもいいことになる。

自宅暮らしの高齢者にとっては嬉しいニュースでは

持病があってひとりでいるのが不安、離れて暮らす親が心配、といった本人や家族の意向で、要介護認定にあたらない自立の者も有料ホームへ入居しているが、その必要がなくなるのだ。また家賃にもよるが、自宅で暮らしている方が生活にかかる費用が抑えられるというメリットもある。

有料ホームにとっても支援の少ない自立の者で居室を埋めるより、要介護認定を受けている者が多い方が、介護保険を利用して支援ができるため運営にいいと思われる。特に東京都では高齢者向けの住まいや施設の数が、全国で3番目に少ない。(*3・P3)

(*3)都道府県ごとに見た介護の地域差 (厚生労働省提出資料)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/wg_dai1/siryou4-3.pdf

さらに自立の者は介護保険施設やグループホームなどは入居できず、有料施設でも全てが自立の者を受け入れている訳ではないため、入居できる施設が限られている。これらのことを考えても、今回の見守りサービスは喜ぶ者が多いと考える。

見守りの頻度や緊急対応については気になるところ

ただし、週1回以上と定められている見守りの頻度と、異常があった場合の対応がどうなっているのかが気にかかる。自由度は有料ホームより高くてよいが、見守りが週に1回では不安が拭いきれない。「最低週に1回」とされた頻度が、選定された事業者によってもっと頻回に行われることを願う。

また、緊急時に誰がどうやってサポートしてくれるのかも、命にかかわるような場合には重要であるため、しっかり確認しておきたいところだ。どのような方法で見守りが行われ、万が一のときにはスムーズな対応が受けられるのかが、見守りサービスの普及に繋がっていくと考える。

最後に、有料ホームを検討している方への参考として一言。最近では前払金や敷金などが不要の、月払い形式の施設が増えている。月々の費用も15万円以内というリーズナブルな価格の施設もあり、以前より利用しやすい傾向にある。

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