住民主体の通いの場、参加率わずか4.9%〜まずは民間企業のサービスや今ある社会資源を最大限に活用すべきでは

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住民主体の通いの場、参加率わずか4.9%〜まずは民間企業のサービスや今ある社会資源を最大限に活用すべきでは

介護予防の通いの場、専門職の関与を推進 新たな評価指標を設定 交付金と連動へ

厚生労働省は7日、住民主体の“通いの場”を柱とする介護保険の「一般介護予防事業」をめぐる有識者会議で、今後の展開に向けた中間報告の案を提示した。

疾病・重症化の予防や体操などの効果を高める観点から、医師や保健師、理学療法士、管理栄養士といった専門職がコミットする機会を増やしていく構想を描いている。現状で全体の5%にとどまっている高齢者の参加率を上げるため、個人のインセンティブとなるポイント付与の仕組みを推進していく計画も盛り込んだ。

加えて、何らかの役割を持って“通いの場”で活躍してもらう有償ボランティアを拡げたり、民間企業やNPOなど多様な主体との連携を強化したりする方針も書き込んでいる。

こうした取り組みを発展させていくため、市町村にPDCAサイクルを回していってもらう考えも打ち出した。プロセス評価やアウトカム評価の指標を新たに定め、これに沿った継続的な改善を求めていく意向を示している。

有識者会議の委員は中間報告の案を大筋で了承した。

(引用元より一部抜粋)

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg720.html

通いの場への参加促進、引き続き支援が必要

2019年8月7日に、第4回一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会が開催された。国が目標に掲げた「2040年までに健康寿命を3年以上延伸する」に向け、さらなる方策が必要だとしている。

魅力的な通いの場の創設や参加促進、通いの場における医療専門職との連携の推進、介護予防に関する事業全体のPDCAサイクルに沿った推進方策などを検討していく。(*1)

(*1)一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会 中間取りまとめ案
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000535963.pdf

現在、住民主体の通いの場の参加率は4.9%であり、通いの場への参加促進の支援について引き続き検討が必要だとしている。そのために個人へのポイント付与の促進やPDCAサイクルの好循環、通いの場に限らない幅広い取組みを展開していきたい考えだ。

そこで、要支援の認定を受けていない者や、基本チェックリスト非該当の健康だと思われる高齢者が参加したくなる住民主体の通いの場とはどんなものか考えてみたい。

現在設置されている通いの場に魅力を感じていない可能性も

国では、自治体の介護保険担当部局以外が行う、スポーツや生涯学習に関する取組みや、公園や農園を活用した取組みなども介護予防に繋げていくのが適当だとしている。しかし世の中には、他人との交流が苦手であったり、趣味を持たなかったりなど、多種多様な者が多く存在する。

現在の参加率が4.9%ということは、魅力的な通いの場が少ないということだ。今後、農村や公園などへ通いの場を広げていったとしても、思ったような参加率の改善は見込まれないのではないだろうか。

もっと多岐に渡る通いの場が必要であり、そして種類を増やすと同時に、個人の性格や生活スタイルに合わせて考える必要がある。例えば時間や日にちだ。興味の湧く通いの場があったとしても「毎週〇曜日の〇時」に行けるとは限らない。

また人付き合いが苦手な者は、通いの場へ行くこと自体が苦痛である。人付き合いに抵抗がなくても、人間関係を築いていくことが面倒だと感じている者もいる。そのニーズを網羅するためには、住民主体の通いの場より、民間の企業や介護保険事業所を活用すべきである。

民間の企業のサービスなら、映画やお風呂、カラオケにボーリングなど、選びきれないほど豊富な種類があり、通いたくなる魅力的な場所が誰にもひとつくらいありそうだ。そして交付金のポイント制度を活用しながら、継続的に参加できる仕組みを作り上げていく。

映画館なら映画を見た後に感想を述べ合う機会を設け、それに参加した者へポイントを付与できる。お風呂なら、お風呂上りに行う食事会への参加者、カラオケやボーリングはグループになって楽しんだ参加者へポイントを付与する。現在でも「シルバーの割引制度」などを行っている民間企業なら、アイデアも豊富に出てきそうだ。

現存する社会資源の適切な活用で賄えないものか

また、介護保険事業所ならば、デイサービスを元気な高齢者にも開放すればよいだけだ。ほとんどのデイサービスでは体操やレクリエーションを毎日行っている。時間は午前や午後、事業所によって異なるが、近所に1ヶ所くらい通いやすいデイサービスがあると思われる。

そこで利用者と一緒に体操やゲームを楽しむことができる。介護保険事業所の人手不足解消のために元気な高齢者のボランティアを募るだけではなく、元気な高齢者も日常的に通える場所になれば良いと考える。

健康かそうでないか、要介護などの認定を受けているのかどうか、障害があるのかどうかなど、そういった壁をなくしていくことも大切である。介護保険事業所の運営は税金で賄われている。全ての国民が自由に利用できる施設であってほしいと願う。新しい社会資源の創設も大切だが、今ある社会資源を120%活用することを考えてみるのもよいのではないだろうか。

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