AIが収集した知見でケアプラン作成を支援へ〜ウェルモ、コニカミノルタとアライアンス締結

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AIが収集した知見でケアプラン作成を支援へ〜ウェルモ、コニカミノルタとアライアンス締結

AI×IoTで介護のケアプラン作成を支援 ウェルモ、コニカミノルタと協業

ケアプランの作成をサポートするAI「ケアプランアシスタント(CPA)」を開発しているウェルモは22日、コニカミノルタとアライアンスを締結したと発表した。

AI×IoT。そう構想を表現している。

高いセンシング技術を持ち、見守りなど施設向けのソリューションを提供しているコニカミノルタの力を借りる。利用者は居室でどんな生活を送っているのか? そうしたビッグデータをCPAに与え精度の向上につなげていく。居宅だけでなく施設も導入してくれるAIに育てたい、という思惑もある。

この日の記者発表会では、コニカミノルタに加え、あいおいニッセイ同和損害保険やLINE Venturesなどから新たに11.7億円の資金を調達したことも報告。これを組織体制やプロダクトの強化に充てるとした。

ウェルモの鹿野佑介CEOは、「テクノロジで日本の介護をより良くしたい。アクセルを強く踏み込んでいく。この領域でフロンティアを切り開きたい」と意欲をみせた。

□欠けている視点を補うAI

ケアマネジャーの「知らない」をなくす − 。これがCPAのコンセプトだ。どうしても生じる“カバーしきれない知識”を補完し、学習・情報収集の負担を軽減する点が最大の特徴といえる。

ウェルモがAIに学ばせているのは、質の高いケアマネジメントを実践するプロセスで欠かせない既存の膨大な知見だ。看護やリハビリなど医療の領域も幅広く含まれる。

CPAはこれを基に、ケアプランの第2表の作成を支援する。利用者の状態が入力されると、「解決すべき課題」の選択肢を提示。どれかが選ばれるとすぐさま書類に反映する。ケアマネはアセスメント結果などを踏まえ、必要に応じてブラウザで加筆、修正するだけでよい。

以下、長期目標、短期目標、サービス内容と同様に埋めていく。各項目では選択肢の根拠、参考情報などがあわせて示される。自分が見落としていた視点を発見し、それを吸収しながら仕事を進められる設計だ。

ケアプランの作成で求められる専門性は多岐にわたり、日々の業務で忙しい中その全てをカバーするのは極めて難しい − 。そうした問題意識が開発のベースにある。国の調査結果(*)によると、「自分の能力や資質に不安がある」と答えたケアマネは45.9%とかなり多い。

* 厚労省「平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」

(引用元より一部抜粋)

https://kaigo.joint-kaigo.com/article-12/pg906.html

ウェルモ、ケアプラン作成支援サービスのさらなる強化へ

介護福祉領域における意思決定補助⼈⼯知能サービス開発や、中核都市以上向け介護サービス情報プラットフォームの提供などを行っているウェルモが、新たに7社の追加増資を実施した。
これを受け、2020年にリリース予定のケアマネジャーのケアプラン作成業務を支援するAIエンジンCPAの連携・強化がはじまる。(*1)

(*1)ウェルモが11.7億円の追加増資を実施、あいおいニッセイ同和損害保険やコニカミノルタなどとのアライアンスを締結
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000018462.html

ケアマネジャー向けケアプラン作成支援サービスCPAは、ケアマネジャーの知識の差を補うことで、ケアマネジメントの質向上を目指す。日々変化する社会資源の情報や介護・看護・リハビリ職の知識・経験を学習して、ケアマネジャーの学習コストや事務作業コストを減らし、スキル向上を支援する。(*2)

(*2)ケアマネジャー向けケアプラン作成支援サービス
https://welmo.co.jp/service/cpa/

アセスメントは11項目からなる全社協方式に準じた内容となり、直接入力またはアップロードなどが行える。介護業務システム経由からの入力も可能とあるため、請求管理などを行う基幹システムと連携していれば2度手間にならずに済む。

CPAはケアプランの第2表の作成で活躍

CPAが活躍するのはケアプランの第2表、利用者のニーズと解決に向けた長期目標と短期目標、援助内容を作成する部分である。ニーズに沿ったケアプランの候補が表示され、それを選択・編集していくと、内容に合う介護サービスの情報を提案してくれる。

ケアプランの作成には、情報収集・ニーズの把握・的確なアセスメント・適切なサービス選定が欠かせない。その情報収集の部分と目標達成のための適切なサービスを選定する部分が、CPAにより軽減されることになる。

個人的には小さな社会資源の情報と、薬の効能や副作用、疾患別の特徴が知りたい。理由は小さな社会資源の場合、事業所側が営業に来てくれる、もしくは地域ケア会議などで顔を合わせない限り把握が難しいからだ。

薬の効能や副作用については、効能を知ることで罹患している病名の推測ができるため、アセスメントしきれていない部分の発見になる。「この薬を服薬しているなら〇〇の疾患があるのではないか」と気付きになり、改めて利用者や家族、主治医に聞く機会に繋がりアセスメント情報がより正確になる。

また副作用の情報が得られれば、禁止食などが分かるほか、副作用による頭痛やめまい、喉の渇きや頻尿といった身体状態を把握することができる。疾患別の特徴も薬の副作用と同様に、利用者の身体状態を正確に把握するために必要だ。

ケアマネのみならず利用者や家族へのメリットも期待

CPAはケアマネジャーの支援のために開発されているが、それだけではない。適切なサービスを受けられる利用者はもちろん、その影響で自立度が高くなり介護量が軽減する家族、内容の濃いケアプランによってサービス提供がしやすくなるサービス事業所など、多くの者が恩恵を受けられる。

今後はさらに連携の幅を広げていく予定のCPAの本格始動が楽しみである。

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