介護保険部会、2040年までを展望〜介護保険の基盤整備「特定施設の考え方」も論点に

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介護保険部会、2040年までを展望〜介護保険の基盤整備「特定施設の考え方」も論点に

第8期の事業計画、2040年までを展望 厚労省方針 過不足ない体制整備が課題

厚生労働省は13日、次の介護保険制度の改正をめぐる協議を重ねている審議会(社会保障審議会・介護保険部会)の会合で、2021年度から始まる第8期に向けて自治体が策定する事業計画のあり方を俎上に載せた。

これまでは基本的に2025年までを見据えた内容としてきたが、今後は2040年までを視野に入れたものとしていく考えを説明。介護ニーズが拡大し続けるのかそうでないのか、地域によってそれぞれ異なる状況をきめ細かく反映させることを課題として提起した。

委員からは、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、特定施設入居者生活介護などの供給量も適切に把握し、過不足のない体制の整備につなげるよう求める声が相次いだ。厚労省はこれらに対応していくための具体策を引き続き検討していく方針。

介護保険は市町村が3年ごとに定める事業計画に基づいて運営されている。また、都道府県は同じサイクルで「事業支援計画」を用意して市町村の支援を行う。こうした自治体の計画は、厚労省が提示する基本指針に則って作られている。

制度がスタートしてから19年目の現在は、第7期(2018年度〜2020年度)の計画期間中。2021年度から2023年度が次の第8期となる。

事業計画の中身は多岐にわたるが、サービスの種類ごとの見込み量やかかる費用の額、見込み量を確保する方策などが1つのメインだ。2025年までにどのサービスをどれだけ整備していくか、という見通しも盛り込むことになっている。

(引用元より一部抜粋)

https://kaigo.joint-kaigo.com/article-12/pg936.html

2040年を見据えた事業計画へ

第81回社会保障審議会介護保険部会が2019年9月13日に開催された。(*1)

(*1)第81回社会保障審議会介護保険部会(令和元年9月13日開催)|WAMNET
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou/detail?gno=6594&ct=010010030&from=rss

第8期になる介護保険事業(支援)計画における取組みの方向性として、2025年にとどまらず、その先の2040年を展望して取組みを進めることが必要だとしている。介護保険の基盤整備と認知症施策の総合的な推進が主な議題として取り上げられた。

基盤整備では2040年までの介護サービス利用者数の推計において、利用者がピークを過ぎ減少に転じた保険者や、2040年まで増え続ける保険者など地域差が確認されたとのこと。特に都市部では2018年の利用者数と比較をすると、2倍超となる保険者も存在するとしている。そのため都市部では計画的な基盤整備を進めていくことが求められるが、どのような方法が考えられるかを、今後検討していく。(*2)

(*2)介護サービス基盤整備 令和元年9月13日 厚生労働省老健局
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000547175.pdf

多様な介護ニーズを満たす場としての有料ホーム

高齢者の住まいでは、特定施設入居者生活介護(有料ホームなど)の都市部での整備が進んでいる。サービス内容をみても、看取りや重度療養者を受け入れている施設が多く、介護ニーズを受け止めているとして、今後どのように有料ホームを考えていくかを論点のひとつとしている。しかし有料ホームは、付加価値としてのサービスや費用に大きな差がある。

費用面で言えば、数十万円から数千万円の前払金を必要とする施設がある一方、前払金は必要なく月々の費用も10万円代という施設もある。サービス面においても、独自の付加価値を売りにしている施設が多く存在しているのが特徴だ。

例えば、介護職員でも相談員でもないコンシェルジュが在籍している施設や、入居者のニーズにとことん答える夢のプロジェクトチームを配置している施設。施設に温泉を導入している施設などがある。そのほかにも国内旅行や海外旅行、芸能人を招いてイベントを行うなどさまざまだ。

入浴や居室清掃などの日常生活のサービスも、特定施設入居者生活介護費として実施している施設もあれば、30分単位で料金が発生する施設。入院した場合には、入院中の世話まで請け負っているところもある。

また、外部の専門家と共同で認知症ケアのパイオニアを目指して研究を重ねている施設や、オリジナル体操の考案や最先端のマシンを導入して介護予防に尽力している施設、独自のシステムでボランティアの受け入れを行っているところなど、取組みに関しても実にバラエティに富んでいる。

有料ホームの利点は自由度の高さに?

「今後どのように有料ホームを考えていくか」とは、具体的にどんなことが言いたいのか現段階では詳細が分かりかねるが、有料ホームは施設により差があるのが利点。自由に自分たちの思う付加価値のサービスを提供できるのが有料ホームである。

介護保険施設では味わえないサービスを求めて入居した者もいるため、むやみに型にはめ込まれないことを願いたい。

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