技能実習生の日本語要件、2019年3月から緩和へ〜介護の技能実習生に必要なのは文法より聴解力

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技能実習生の日本語要件、2019年3月から緩和へ〜介護の技能実習生に必要なのは文法より聴解力

介護の技能実習、日本語要件を3月から緩和へ 1年後の「N3」撤廃 厚労省

技能実習制度のもと介護の現場で働く外国人に課している日本語要件の緩和について、厚生労働省がパブリックコメントの意見募集を始めた。期間は2月27日(水)まで。今年度中に告示を改正し実施に踏み切る方針だ。

技能実習生の日本語要件は、来日時が日本語能力試験の「N4」程度、入国1年後が「N3」程度。厚労省は今回、入国1年後の「N3」程度を撤廃することに決めた。引き続き日本語を学んでいく意思を明らかにしていること、実際に日本語の学習に取り組んでいくことなどを条件として、「N4」のままでも仕事を続けられるように見直す。

従来のルールでは、入国1年後までに「N3」程度に達しなければ帰国を余儀なくされる。このハードルが高く、円滑な受け入れを妨げているという指摘が出ていた。ベトナムやフィリピンといった送り出し国の政府からも、実習生のリスクに配慮して再考するよう求める声があがっていた。

厚労省の判断はこうした海外からの意見も踏まえたもの。一方、関係者の一部はサービスの質の低下を懸念した慎重論を唱え続けている。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg333.html

介護の技能実習生、日本語要件の緩和へ

厚生労働省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室が1月29日にパブリックコメント「意見募集中案件」を開始した。

意見募集内容は、介護の技能実習生の入国1年経過後の日本語要件の改正についてであり、これまでの日本語能力試験N3に達していなくても、一定の要件を満たせば引き続き(最大3年間まで)在留が可能となるよう緩和するという内容だ。

介護職には利用者や家族・多職種と連携を図るためコミュニケーション能力が必須であり、これまで入国2年目からは日本語能力試験N3(*1)程度の日本語能力が必須とされていた。
しかし日本人の介護職離れによる人手不足や送り出す側の国との調整もあり、改正を検討しているとのこと。

(*1)日本語能力試験N3言語知識問題例
https://www.jlpt.jp/samples/pdf/N3-mondai.pdf

介護職で一番必要な日本語能力とは

入国2年目の介護技能実習生における日本語能力について、日本語能力試験だけでは計り知れない。
それは日本語能力試験の問題文の問題の意図を理解できなければ正解を出すことが難しいからである。
また、問題の内容が文法や言葉の言い回し・文章を読んで答える読解力が半分以上を占め、聴解力はわずかである。

勿論介護職には記録を付ける業務もあるため、ある程度の読み書きはできないといけないが、文法は必要だろうか。
略語を使って話をする者や、言い回しが下手な日本人もいる。
挨拶ができない日本人も沢山いるではないか。

介護職で一番必要な日本語能力は聴解力だ。
相手の言っている意図が汲み取れて相手の話を親身に聴く傾聴ができれば、利用者とのコミュニケーションは図れる。

技能実習生側も勿論相手の言っていることが分からない時には、日本人の職員を呼んで理解をすることを重ねながら勉強をしていくことが必要だが、在留に関する線引きを日本語能力試験N3にするのはあまり意味がない。

聴解力を学べるようなシステムを導入してはどうか

介護現場には様々な業界からやってきた多種多様の人間がいる。
それこそニコリともせず利用者の家族を不安にさせる者がいるのも現実である。
そのような日本人より、気持ちよく挨拶が出来て話を良く聴いてくれる技能実習生の方がコミュニケーション能力ははるかに上だ。

決意を持って日本へやってきた技能実習生たちが、介護の仕事に熱意を持ち続けながら仕事に取り組んで行けるようにするためには、試験を突破しなくてはいけない不安を取り除き、現場での知識を増やすことに集中できるようにする事だと考える。

今回の改正案、私としては大賛成であるが、意見としては、技能実習生が聴解力を学べる学習システムや働きやすい環境を、それこそICTなどを活用して行うのは如何か。
また、日本人職員も技能実習生達が日本語を耳で学べるように積極的に声掛けを行い、コミュニケーションをとって頂きたい。

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