首相、施政方針演説で表明「寝たきり高齢者のオンライン診察」

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首相、施政方針演説で表明「寝たきり高齢者のオンライン診察」

「介護離職ゼロへ引き続き全力」 首相、施政方針演説で改めて約束

28日、第198通常国会が召集された。安倍晋三首相は施政方針演説で、「介護離職ゼロを目指し引き続き全力を尽くす」と改めて約束。サービスの充実や担い手の確保に努める意向を示し、「介護の受け皿を整備する。ロボットを活用するなど現場の負担軽減を進めるとともに、10月からリーダー級職員に月額最大8万円の処遇改善を行う」と言明した。

高齢者に偏りがちな給付を子ども・子育て世代や現役世代にも振り向ける「全世代型社会保障」を展開していく方針も改めて説明。「全世代型社会保障への転換とは、高齢者への福祉サービスを削減する、という意味では全くない。むしろ、高齢者に引き続き安心してもらえることが大前提」と理解を求めた。

安倍首相はこのほか、「時代遅れの規制や制度を大胆に改革する。寝たきりの高齢者などが、自宅にいながらオンラインで診療から服薬指導まで一貫して受けられるよう、関係制度を見直す」と表明。「人工知能は、あくまで人間のために利用され、その結果には人間が責任を負わなければならない。我が国がリードして人間中心のAI倫理原則を打ち立てていく」とも述べた。

安倍首相の施政方針演説など政府4演説に対する各党の代表質問は30日から始まる。政府・与党は今年度の第2次補正予算案を成立させたうえで、早期に来年度予算案の審議に入りたい考え。野党は毎月勤労統計の不正調査問題などを厳しく追求するとみられる。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg330.html

自宅にいながら診察から服薬指導を実現?

1月28日に行われた通常国会の中で、安倍総理が介護保険制度に関する方針演説を行った。
その一部で「時代遅れの規制や制度を大胆に改革する。寝たきりの高齢者などが自宅にいながらオンラインで診療から服薬指導まで一貫して受けられるよう、関係制度を見直す」と表明した。

確かに寝たきりの高齢者が病院へ行って受診を行うのは大変なことである。
身体を動かせない者を担ぎながら移動・移乗する動作(トランス)を安心・安全に行うにはそれなりの技術が必要なため、家族なら皆できるかと言ったらそうではない。
特に老老介護や介護する家族にも身体的疾患がある場合などは困難を極めるであろう。

そのような家庭は医療保険を使った訪問診療や、訪問看護・居宅療養管理指導などの介護保険サービスを利用することになるが、訪問診療を行っている医師の専門外の診察を受ける必要がある場合はどうしても外来受診をしなくてはならない。

現状の病院受診はかなり大がかり

実際に寝たきりの者が予約時間のある病院受診を行う日の朝は大騒動である。
朝の身支度などの準備を家族が行い、予め予約をしておいた介護の資格保有者がいる介護タクシーを利用しベッドから車いすへの移乗と病院への移動を行う。

家族が病院の付き添いをして帰りはまた介護タクシーを利用するといった具合だ。
病院が混雑していて予約時間通りに診察が行われなければ1日がかりになるため、介護者が会社勤めをしている場合など有給休暇はあっという間に使い果たしてしまう。

このように、寝たきりの高齢者を病院に連れてくことが困難なため、家族だけが病院へ行き医師に本人の身体の状態説明を行い、薬を処方してもらっているという現状もある。(初診以外)

実現されれば当人や家族の大きな負担減に

今回の方針演説で安倍総理が表明したように、自宅にいながらオンラインで医師の診察が受けられれば本人の移動や待ち時間の負担が減る。
家族も仕事を1日休む必要がなくなり会社に対して無駄な神経を使わなくても良い。

加えて身体の状態説明は訪問看護師が行えば、的確な診断が下されるのではないだろうか。

後は病院と担当医がどこまで協力してくれるかと、オンライン診察に使用する端末の支給が国や自治体から行われるのかどうかであるが、それらが整えば直ぐにでも出来そうな案件である。
また、処方箋もデーター送信で自宅の最寄の薬局と通信できれば完璧だ。

一つ問題があるとすれば介護タクシーの需要が減ることだろうか。
需要が減り介護タクシーの事業所の数が減少してしまった場合、他の用事で利用したい時に予約が取れないなどの支障が出ることは避けたいところだが、本人や家族にとっては最良の案件であると考える。

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