日産自動車、完全自動運転の送迎車の実現へ〜介護人材不足対策なら7人乗り自動車を

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日産自動車、完全自動運転の送迎車の実現へ〜介護人材不足対策なら7人乗り自動車を

通所介護の送迎も完全自動運転に 2020年代半ばには実用化 日産役員・伊藤氏

東京ビッグサイトで開催されている「CareTEX2019」で7日、日産自動車の常務執行役員の伊藤由紀夫氏が講演した。

伊藤氏は通所介護などの高齢者の送迎について、「さらなる高齢化や介護人材の不足でドライバーの確保が一段と困難になる」と指摘。「完全自動の無人運転による送迎、これが最も究極の解決策。そんなの夢でしょうって思われるかもしれないが、かなり近づいてきた。2020年代半ばには実用化される」と述べた。

日産は既に、完全自動運転サービス「Easy Ride」の開発をDeNAと進めている。スマートフォンの専用アプリで車両を呼んだ利用者を、ドライバーなしで目的地まで運んでいく。横浜市で実施した昨年の実証実験は、約300組の一般モニターも参加して大きな注目を集めた。

伊藤氏は講演で、「誰でも、好きな場所から自由に移動できるサービスを提供していく。高齢者や障害者なども安心・安全に外出でき、移動中の時間を有効に活用できる環境を作る」と説明。「いわゆる交通弱者、買い物難民の問題も解消する。我々はテクノロジーで、イノベーションでチャレンジしていく」と語った。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg351.html

「完全自動の無人運転による送迎」に向けて

日産自動車では、高齢者の送迎に完全無人化の自動運転ができる車両の実用化が2020年半ばを目途に実用化されるとしている。
2月7日に東京ビッグサイトで開催された「CareTEX2019」において、日産自動車の常務執行役員の伊藤由紀夫氏が講演した。

その中で伊藤氏は、介護人材不足の対策として「完全自動の無人運転による送迎」これが最も究極の解決策だと述べた。

そこで、無人化自動運転EasyRideのPR動画(*1)を拝見した。

(*1)Easy Ride │もっと自由な移動を
https://easy-ride.com/

300人のモニターが試乗し、スムーズで安全な運転に好感触のようだ。
しかもアプリで呼び寄せれば迎えに来てくれる便利なシステムである。

いずれにせよ介助者の同乗は必要

この無人化自動運転EasyRide車両を介護人材不足の観点から考えてみた。

PR動画ではアテンダントが同乗しているが、介護施設の送迎で利用する場合も介助者が同乗しないと実用には難しい。
その理由は下肢筋力の低下や麻痺などがあり、介助者がいないと乗車できない利用者が多くいるためである。

送迎車が自宅前まで迎えに来てくれたとしても、利用者だけでは乗車することができないし危険だ。

また、送迎車両に利用者を乗車させる際に、施設側は考えを持って座席の順番を決めている。
疾患に合わせて左右どちらのドアから乗車するか、後部座席か助手席かなどを考慮して送迎ルートも決めている。

更に左右どちらのドアから乗車するかにより、バックで自宅前に車両を着けることが可能か、Uターンできる場所があるかなども配慮している。
1人の利用者が休みになった時は送迎ルートを変え、送迎予定を一から組み替える場合もあるためアプリで場所だけ指定するのでは不完全だ。

これらのことから自動運転であっても乗用車タイプの車両では1人の職員の同乗が必ず必要であるため、人手不足を解消するには至らない。

ワゴン車タイプなら人材不足の解消にも繋がる?

しかし7人乗り程度のワゴン車タイプであれば、1人の職員が他の業務に回れると考える。
現状でも7人乗り程度のワゴン車タイプの場合、運転者と介助者の2名で送迎している事業所がほとんどであるからだ。

運転は自動運転にまかせ、介助者が乗降時の介助や急なルートの変更、停車向きなどの細かい指定を行いながら送迎をすれば良い。

ただひとつ懸念する事項は、介助者が送迎のため車両を離れた際に、車内に残っている利用者の状況把握ができないことである。
運転者と介助者2名で送迎するワゴン車タイプの車両には、職員の目が必ずあるように比較的不安定な状態の者が乗車している。

これは緊急時対応が遅れないようにするためだ。このあたりも解決されれば完璧である。

介護用の車両開発の際は、是非7人乗り程度のワゴン車タイプを起用していただきたい。
2020年の半ばに自動運転の送迎車が街中を走る風景が楽しみである。

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