消費税増税に対する新たな支給限度額と、あらためて考えたい基本報酬単位のあり方

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消費税増税に対する新たな支給限度額と、あらためて考えたい基本報酬単位のあり方

【介護報酬改定2019】厚労省、新たな支給限度額を公表 今年10月から適用へ

消費税率の10%への引き上げで嵩んでしまう事業者の出費を補填する − 。こうした理由で各サービスの基本報酬が今年10月から少しずつ引き上げられる。

13日の社会保障審議会・介護給付費分科会で新単価が正式に決まった。

これに伴い、在宅サービスの毎月の支給限度額(区分支給限度基準額)も変更される。基本報酬の引き上げにより、従来から使っていたサービスが受けられなくなってしまうことのないようにするため。要介護度ごとの新たな支給限度額は以下の通り(※引用元参照)だ。

利用者1人あたりの平均費用額が支給限度額に占める割合は、要介護度が重いほど高い。昨年4月の審査分でみると、要支援1は26.7%、要介護5は65.6%。支給限度額を超えるケースも重い人で多い。要支援1では利用者全体の0.4%にとどまるが、要介護4では3.8%、要介護5では4.9%となっている。

厚労省は今回、各サービスの基本報酬の上げ幅を反映させる形で新たな支給限度額を算出したと説明している。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg358.html

消費税増税によって生じる利用者負担を緩和するために

2019年10月1日から引き上げされる消費税率に伴い介護保険サービスの基本報酬が改定された。
これにより利用者の負担額が増えこれまで利用していたサービスが利用できなることを避けるため、介護度別による区分支給限度基準額も上乗せ対応されることになった。(*1)

(*1)2019年度介護報酬改定に関する審議報告 社会保障審議会介護給付費分科会 2018年12月26日
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000478370.pdf

2019年10月1日から適用される利用者の区分支給限度基準額(*2・P7)の上乗せ分は次の通りである。

  • 要支援1  290円
  • 要支援2  530円
  • 要介護1  730円
  • 要介護2  890円
  • 要介護3  1,170円
  • 要介護4  1,320円
  • 要介護5  1,520円

※1単位10円として計算

(*2・P7)2019年度介護報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000478355.pdf

利用者の区分支給限度額が上乗せされ、今までと同様のサービスを安心して利用できるのは良いことである。また、これまでに思うようなサービスを利用できていなかった者や、止むを得ず自己負担でサービスを利用していた者も僅かではあるが希望通りのサービスが区分支給限度内に収まる可能性も出てきた。

「介護度が高ければ介護が大変」とは言い切れないところも

しかし介護保険は何故全てにおいて介護度の高い者の単位が多いのか不思議だ。
区分限度支給額だけでなく利用料にしてもそうだ。介護度が高い者は介護保険サービスの基本利用料が高く設定されている。

確かに要介護5の寝たきりの者の介護は大変であるが、定時介護ができイレギュラーなことは起こりにくい。
排泄介助で例えると、「トイレに行きたい。」と1時間に5回言う要介護3の利用者に付き添い下衣の介助を行うのと、2時間に1度定時でおむつ交換が必要な要介護5の利用者の介護の場合、どちらが介護の手間がかかるか想像していただきたい。

軽介助で1時間に5回介助をするのと全介助で2時間に1度行う介助は、どちらも大変な事に変わりはないと思われるが如何か。

見守りにしても同様だ。
少し目を離した隙に何処かへ移動してしまう転倒リスクの高い要介護3の利用者と、ベッドや車いすから自ら移動することのない要介護5の利用者の介護ではどちらが介護の手間がかかるだろうか。

確かに、入浴の場合はあきらかに違いが出る。
全く動けない要介護5の者を入浴させる事は介護のコツだけでは足りず力も必要になり、介護する側も体力を消耗するほど大変である。

基本報酬の仕組み自体にも再考すべき点があるのでは

介護保険制度の区分支給限度基準額は介護度が重いと金額枠が多いのは分かるが、サービスの基本利用料については統一で問題ないと考える。
その分入浴加算など実際に手間が掛かる部分で単位数を多く設定すれば、区分支給限度額を超える介護度の重い者も減るのではないか。

毎日通所サービスを利用して毎回入浴する必要はないと思えば、週に2~3回など減らして限度額を超えないように微調整ができる。
現在の微調整は、通所サービスを休むか休まないかの選択肢しかないと言っても過言ではない。

今回は消費税率UPに伴う基本報酬の上乗せやそれに対する区分支給限度基準額の変更であったが、一から介護保険サービスの基本報酬について国は考えるべきである。

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