2019年10月1日からの新基本報酬が決定〜1単位上乗せで消費税増額分を補填できるのか?

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2019年10月1日からの新基本報酬が決定〜1単位上乗せで消費税増額分を補填できるのか?

【介護報酬改定2019】新たな基本報酬が正式決定! 気になる各サービスの単位数は?

来年度の介護報酬改定に向けた協議を進めてきた厚生労働省は13日、各サービスの新たな基本報酬を正式に決定した。今年10月1日から適用する。

資料は既にネットで全て公開されている。各サービスの新単価が分かるのは、審議会で使われた資料の「別紙」。「2019年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案」というタイトルのものだ。

(中略)

各サービスの基本報酬の引き上げ幅は、いずれも数単位程度と小幅にとどまる。例えば通所介護(地域密着型を含む)。引き上げ幅は最大7単位で、規模にもよるがサービスの所要時間が長いほど大きくなる傾向がみられた。訪問介護の引き上げ幅は最大2単位。所要1時間以上の身体介護以外は、すべて1単位だけのアップとなっている。特養はその類型・要介護度にかかわらず、すべて2単位から3単位の引き上げだった。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg357.html

消費税増税に応じた新たな介護保険報酬

厚生労働省が2019年2月13日に来年度10月1日から適用される新たな介護保険報酬を正式に決定(*1)した。各介護保険サービス毎の基本報酬の変更とベテラン介護士の処遇改善加算報酬が新設されたのだ。

(*1)2019 年度介護報酬改定介護報酬の見直し案
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000478377.pdf

各介護保険事業所では今日から事業所運営の方向性について話合いが始まり、来年度に向けて準備を進めていくことになる。

今回の基本報酬の変更は来年10月からの消費税引き上げに伴い事業所の負担を補填することが目的であるが、蓋を開けてみたら訪問介護事業所などはわずか1単位のUPのみであった。
介護保険サービスの利用は基本非課税(*2)であり、事業者は仕入れ消費税控除を受け取ることができないため基本報酬でカバーするのが通例であるが、果たして1単位で何がカバーできるのだろうか。

(*2)No.6201 非課税となる取引 |消費税 |国税庁
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6201.htm

サービス内容によっては負担増なケースも

厚労省は各サービスの課税費用の割合などから増税の影響を機械的に算出したと言うが、1単位は約10円である。(提供地域やサービス種別などにより変動あり)

例えば訪問介護員が片道5kmの利用者の自宅へ訪問する際に、使用する車両が1L=10km走行できるとし、ガソリン代が1L=140円だとしたら1単位ではガソリン代の消費税分にもならない。

このことから、平成30年度の介護基本報酬改定(*3)にて訪問介護では生活援助以外のサービスが0単位~11単位までUPしたため、今回はあくまで現行の消費税8%~10%の差2%のUP分を上乗せしたということになる。

(*3)平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000196994.pdf

通所系サービスは2単位~7単位のUPである。
通所利用時の電気・水道・通信・食材・リネン代などを考えると事業主も頭が痛いのではないだろうか。

悪い方に利用する事業者が増えないことを祈るばかり

今回の介護報酬改定の傾向として、サービス提供時間が長く介護度が重い利用者の単位数ほどUP度が高い。これまでも「介護度の重い利用者を集めてくるように」などと悪態をつく営利目的を全面に押し出している事業主などがいたが、今後もその風潮は変わらぬようだ。

また、サービス提供時間を延ばす事業所も増えると思われるが、介護士の負担を増やすようなことにならないようにしていただきたい。

この後、すでに来年度予算の大枠を立てていた事業所は事業所収益を含め、どのサービス提供枠で運営していくかなどについて様々な専門職で話し合いを行い決定していくであろうと思われる。
営利目的にならざるを得ない事業所運営と利用者主体という慈愛の精神の狭間で揺れる職員達の、介護という仕事に対する思いが冷めやらぬことを祈るばかりである。

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