ケアプラン有料化の前に、AI端末で自己ケアプランを作成することが可能か検討を求めたい

更新日:
ケアプラン有料化の前に、AI端末で自己ケアプランを作成することが可能か検討を求めたい

「ケアプラン有料化は邪道。間違っている」 ケアマネ学会・服部理事

日本ケアマネジメント学会の服部万里子理事が8日、東京ビッグサイトで開催された「CareTEX2019」で講演。居宅介護支援のケアプラン作成で新たに利用者負担を徴収する案について、「邪道だ」と批判した。

服部理事は講演で、「ケアマネジメントは排泄や入浴などの直接的な介助とは性格が違う。ご本人やご家族の状況、生活歴、地域との関係性など、多くの要素を踏まえて生活を継続できるようにする、その方の持てる力を活かしていくもの。あくまでもソーシャルワークだ」と説明。そのうえで次のように力説した。

「登校拒否になった生徒がスクールソーシャルワーカーに相談してお金を払うのか? 貧困状態にある方が子供の学費のことを相談してお金を払うのか? 地域包括支援センターでお金を取ったら誰が相談に行くのか? ソーシャルワークでお金を取ること自体が間違っている。体制を整えて相談の門戸をもっと広げることが必要だ。介護保険の給付費を適正化していくことを考えるにしても、ケアマネジメントに利用者負担を導入するのは邪道だ」

居宅のケアプラン作成に利用者負担を導入する案は、財務省や経済界などが繰り返し実現を求めてきた経緯がある。今年度の「骨太方針」にも「検討する」と書かれており、2021年度の制度改正をめぐる議論の大きな争点となる見通しだ。

□「介護の団体はまとまるべき」

このほか、服部理事は目下の深刻な人手不足について、「国はもっと介護職の評価を上げないといけない。人に向き合う人の価値を認めるべきだ。根本的には国が介護報酬を低く抑えることに対して戦わなければいけない。介護報酬に関してもっとものを言っていくべき」と持論を展開。「なぜ医療が戦えているのか? 医師会や看護協会が強いからだ。介護の団体は残念ながらいくつかに分かれている。1つにまとまるべきだ」と述べた。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg4538.html

ケアプランの在り方について再考を

2月8日に東京ビックサイトで開催された「CareTEX2019」の中で、日本ケアマネジメント学会の服部万里子理事がケアプランの有料化について邪道との意見を述べた。

2018年12月10日付けの新経済・財政再生計画改革工程表2018(原案)(*1)の「主要分野毎の改革の主な取組」の中の社会保障分野では、介護のケアプラン作成に関する給付の在り方の検討が骨太方針2018で新たに記載された。

(*1)新経済・財政再生計画 改革工程表 2018(原案) 概要 平成30年(2018年)12月10日
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/1210/shiryo_01-2.pdf

そこには「関係審議会等において第8期介護保険事業計画期間に向けて検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる。」とある。
第8期は2021年~2023年にあたり、次の介護保険法改正時期のことだ。ケアプランの有料化についてまだ具体化はされていないが、有料化された場合について考えてみた。

服部理事の述べた通り、ケアマネジメントはソーシャルワークである。
ケアマネジメント自体に料金が掛かることにより、経済的な理由で自立支援に向けた介護保険サービスを減らさなくてはならない者や、介護保険サービスの利用を躊躇する者も出てきてしまう。

自己ケアプランへの移行、AI端末の導入で解決?

しかしケアプランは文書作成だ。
綿密にアセスメントを行い利用者にあったケアプランを作成するわけだが、国が有料化しようと考えているケアプランの中にケアマネジメントは含まれているのだろうか。

ケアプランの作成のみに料金が発生するだけであれば、自己ケアプランに移行していけば良い話である。
利用者本人も自らが作成したケアプランであれば、介護保険サービスを利用する時に「やらされている感」が減少すると考える。

もちろん自己ケアプランを作成するためにケアマネが情報提供や支援・連絡調整を行うことが条件であるが、利用者本人も家族と意見が合わず言えなかったサービスを取り入れることができたり、自分の都合に合わせてケアプランを作成したりすることができる。
そのため本人のニーズに100%叶ったケアプランが出来上がる事は間違いない。

だからと言って利用者が手書きで簡単にケアプランを作成するのは難しい事であるのは承知している。
そこで活躍するのがAI端末だ。

介護団体が足並みを揃えるべき時期が来ているのでは

ケアマネ用ケアプラン作成AI端末などが今後普及されていくのであれば、それを利用者向けにも造るのは如何か。
自治体などがケアプランの原案作成の時やプラン変更の時に貸出しをすれば、自己ケアプランの作成も可能になると思われる。

介護支援専門員(ケアマネ)の倫理綱領の中に、すべての現行法に遵守するとある。
法改正で決定した後では手も足も出ない。
国には介護保険法でケアプランを有料制にする前に、多角的に見て仮説を立てながら最良の方法を考えて頂きたい。

しかし余談ではあるが、介護支援専門員は法が利用者に不利になると判断する場合には、正当な方法によって法改正を促す活動を行うことも倫理綱領の中にある。
服部理事の「介護報酬に関してもっとものを言っていくべき。」との発言にあるように、介護の団体も足並みを揃える時がやってきたのではないかと考える。

Designed by Freepik