介護サービスの駐車場問題〜「訪問診療等」にケアマネは含まれない?

更新日:
介護サービスの駐車場問題〜「訪問診療等」にケアマネは含まれない?

介護サービスの駐車、禁止エリアでも許可が出ます! 警察庁が制度を周知

訪問介護などで駐車禁止のスペースに車を止めざるを得ないケースでは、決められた手続きを行うことで状況に応じて許可が下りる制度がある。警察庁が厚生労働省に対し、この制度を介護の関係団体へ広く周知して欲しいと依頼した。

地域の事業者に未だ十分に認知されていない、という問題意識があるという。

制度は訪問介護や訪問診療、訪問看護など幅広い在宅サービスが対象。訪問先や訪問時間などを警察署に申請し、必要性が認められれば駐車許可証の交付が受けられる。実際に駐車する際は、交付された許可証をフロントガラスの見えやすい位置に置いておくルールだ。

警察庁は全国の警察署に対し、「訪問の日時をあらかじめ正確に特定することは難しい」「緊急の場合もある」などと指導。駐車場所も含めて柔軟な対応を認めるよう指示している。

警察庁は厚労省に出した周知の依頼書で、申請手続きの簡素化・合理化、事業者の負担軽減に努めていると強調。訪問先が複数の警察署の管轄区域にまたがる場合も、1ヵ所で済むよう窓口の1本化を図っていると理解を求めた。申請手続きの詳細については、「管轄する警察署までお問合せください」と呼びかけている。

特別な駐車を許可するか否かは、訪問介護などの必要性と駐車規制の必要性とを比較して個別具体的に審査するという。警察庁は「地域住民の意見や地域の交通実態なども十分に踏まえて判断している」と説明している。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg369.html

訪問介護等の際、駐車場の確保に時間のロスも

2019年2月13日に、警察庁交通局交通規制課より厚生労働省宛てに「訪問診療等に使用する車両に係る駐車許可の周知について(依頼)」の文書が出された。(*1)

(*1)「訪問診療等に使用する車両に係る駐車許可の周知について(依頼)」
https://kaigonews.joint-kaigo.com/_src/13786/npa_homonshinryo_carpark_h310213%1D.pdf?v=1550798953023

文書の詳細は、訪問診療・訪問看護・訪問リハビリテーション・訪問介護等に使用する車両が訪問先に駐車場所がないために駐車禁止場所に駐車せざるを得ない場合、状況に応じて警察署長の駐車許可を受けることが可能となっているのだが、これが関係者に十分周知されていないため、今回改めて厚生労働省に対し、医療・介護関係機関団体への駐車許可制度及び簡素合理化の内容に関する周知を依頼したということだ。

訪問先の駐車場の確保は介護関係者の頭を悩ましている問題の一つである。
自宅にも近隣にも駐車場の無い利用者宅へ訪問する際は、早めに出て遠方に駐車するか自転車や徒歩で行くなどしている。

しかし訪問サービスを行っている介護関係者は、分単位で訪問先を回っているため出来るだけ時間のロスを避けたいところである。
近所に駐車できないとあれば、致し方なく駐車禁止エリアに許可なく駐車してしまうこともあるのであろう。

交通違反にならないように、許可申請をしていない「訪問診療等」に当てはまる介護関係者はすぐにでも申請を行うことがベストである。

「訪問診療等」の範囲に、ケアマネは含まれていない?

ここで気になるのは警察庁交通局がいう「訪問診療等」の範囲だ。頻回に複数の利用者宅へ訪問するケアマネは含まれていない。

緊急時など何かの時にはすぐに駆けつける要のケアマネが、何故「訪問診療等」に含まれないのか。

実際に、利用者宅へ訪問中に駐車違反のステッカーをつけられたケアマネを複数見てきた。
また、担当者会議で集まった複数の関係者が、皆一斉にステッカーを付けられてしまった場面を目撃したこともある。

いずれもその後は、所属事業所が反則金を負担してくれるはずもなく、皆自腹で10,000円以上の反則金(*2)を支払ったと聞いた。

(*2)違反するとこんな反則金が発生
http://wwwtb.mlit.go.jp/kyushu/content/000039704.pdf

ケアマネが「訪問診療等」に含めることができないのであれば、せめて事業所に1台の車両の許可申請を与えるのでも良い。
事業所に駐車禁止エリアに駐車可能な車両が1台あれば、駐車場のない利用者宅へ訪問する時に交替でその車両を使用すれば賄える。

地域の協力も不可欠、今後より理解が深まることを望む

他には、地域のスーパーやコンビニなど駐車場を備えた店舗や空き地を持つ個人の方、寺院や集会所などから訪問時の車両駐車に協力を得られることだ。
事業所の看板を背負った車両はすぐにクレームの電話が入るため、正直こうした場所にも駐車しづらいのが現状である。

駐車可能な場所の入口などに「駐車OK」の立札などを設置してくれれば、訪問の度に地図で駐車できる場所を確認したり、下見に行ったりする手間が省け非常に助かる。

今後こうした駐車場問題も、地域包括ケアシステムの「互助」のボランティア活動・住民組織の活動として活発に行われていくようになると望ましい。

Designed by Freepik