介護施設の変則3交替勤務の実態とは?過酷な勤務状況に辟易

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介護施設の変則3交替勤務の実態とは?過酷な勤務状況に辟易

休憩取れてる? 介護施設の夜勤、大半が16時間以上の長時間 多くが「ワンオペ」

日本医療労働組合連合会(日本医労連)が15日、介護施設の夜勤の実態を調べた最新の調査レポートを公表した。心身への負担が非常に大きい長時間の労働を引き受け、人手不足の現場を支えている介護職員が数多くいる − 。そうした実態が改めて報告されている。

調査は特養や老健、グループホーム、小多機などが対象。昨年6月に実施し、132施設、3646人から有効な回答を得たという。

それによると、夜勤が長時間となる2交替制のシフトをとっている施設は全体の85.5%。このうち、1回の夜勤が16時間以上に及ぶところが81.1%にのぼっていた。2交替制の夜勤を担う職員のうち、36.4%は月4回以上をこなしている。

夜勤手当の金額は雇用形態や職種によって異なるのが実情だ。支給方法も施設によって様々で、日本医労連は調査結果を“参考値”として紹介している。介護職員の平均額は正規職員で5747円、非正規職員で7296円。最高額が2万1000円、最低額が1983円だったとし、その幅が非常に大きいことも指摘している。

夜勤の体制をみると、小多機や看多機では全ての施設が「ワンオペ」。ユニットやフロアなど職場単位では、全てのグループホーム、5割超の特養が1人夜勤だった。夜勤明け翌日の勤務もある、と答えたところは全体の37.8%となっている。

「仮眠はおろか休憩にすら入れないケースも少なくない」。日本医労連はそう問題を提起。「長時間労働でかつ休憩も取れないような夜勤は、一刻も早く解消しなければいけない」と訴えた。加えて、「長時間の過酷な夜勤は健康リスクが伴い、利用者の安全リスクも生じてしまう」と改めて指摘。「長いこと改善の傾向がみられない」として、国に再考を呼びかけている。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg363.html

いわゆる「ワンオペ」勤務の実態が浮き彫りに

日本医療労働組合連合会(日本医労連)が2018年の介護施設夜勤実態調査をまとめた。(*1)

(*1)医療労働2018年介護施設夜勤実態調査結果
http://irouren.or.jp/news/f0967d59c463fcc4fbf0f03b1ad21af196965acf.pdf

今回の調査でも長時間夜勤や一人夜勤の厳しい労働環境が浮き彫りになったと、日本医労連中央副執行委員長の三浦氏は述べている。

2018年介護施設夜勤実態調査の夜勤形態では、2交替夜勤が88.7%であるとの結果が出ている。
職員の配置人数も十分ではない中で、労働時間が16時間に及ぶ2交替夜勤中に仮眠が十分に取れる体制も整っていない環境の施設が多い。

また、身体的に比較的楽な3交替夜勤を行っている施設は10.5%と少ない。
しかしその3交替夜勤にも変則3交替夜勤という形で職員不足を補っている施設もあるため、純粋に8時間勤務の夜勤だけを実施している施設は今回の介護施設夜勤実態調査より実際は更に少ないと考える。

一見クリーンな3交替勤務だが、実態は

夜勤明けに早番が組み合わされる勤務や、夜勤明けの日に遅番が組み合わされる勤務はもはや3交替とは言えない。
3交替勤務を装った完全不規則な変則勤務である。

夜勤明けと早番勤務の場合、通常8時間の夜勤を終える前に早番者と引き継ぎを行い一息付ける時間がやってくるはずだがそれがない。
朝の排泄ケアや配膳などの忙しい時間帯を一人でやりくりし、自分が記入した引き継ぎノートを自分に申し送るのだ。

さらに夜勤明けと遅番の場合は、家に帰って眠る時間はそうそうない。
家で寝ると寝坊するかもしれないと言って、休憩室で仮眠をとり夜勤を行う職員もいる。

またこの変則勤務、夜勤だけではなく日勤でも過酷である。
早番と遅番が組み合わされる勤務の場合は、早番終わりと遅番入りの間に数時間の隙間時間ができる。
自宅に帰るほどの時間もなく、かといって休憩するには長すぎる時間だ。
暇を持て余す職員もいれば、普段できないデスクワークや委員会活動などをサービス残業で行っている職員もいる。

過酷な労働環境も介護人材不足の原因の一つ

これらの変則勤務が、ほとんどの施設で日常的に行われている。
一か月に1度や2度ならまだしも、ただの日勤だけの日の方がはるかに少ないのが現状だ。
みな不満を漏らしながらも利用者のためになんとか勤めているが、精根尽きて辟易し辞めていく者も多い。

完全3交替勤務の職場へ転職した介護職員の話しでは、8時間勤務の夜勤は身体的に非常に楽であり、今までの変則的な体制の時の倦怠感などは嘘のようになくなったとのこと。
このような施設は巷で噂になり、介護職員が自然に集まってくる。

このことから、一度入所者を制限してでも勤務体制を整えて職員に優しい職場環境を整えれば、人材確保も今より容易になってくると思われるが如何か。

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