
厚労省、介護施設の業務切り分け本格化 パイロット事業から全国展開へ
厚生労働省は来年度から、特養や老健などの施設で介護職員が担っている業務を整理・分類する取り組みを本格化させる。
ベッドメイキングや清掃、配膳など、必ずしも高度な専門性を必要としない業務を切り分け、地域の元気な高齢者などに任せていく構想。深刻な人手不足の解消やサービスの質の向上につなげたいという。自治体などと連携してパイロット事業を始める。そこから全国に展開していく計画だ。
14日に開催した「介護現場革新会議」で方針を確認した。来月に開く会合で「現場革新プラン」をまとめ、パイロット事業の基本戦略とする。
「サービスの質を落とさずに人手不足に対応するためには、現場の業務を洗い出したうえで、業務の明確化と役割分担を行う」。14日に公表したプランの骨子案にはそう書き込んだ。認知症サポーターに活躍してもらう案も出している。
厚労省はパイロット事業を全国10ヵ所程度で実施する考え。周辺業務の切り分けとロボット、ICTなどの活用をセットで進め、生産性の向上に結びつけたいとしている。
老健局の担当者は、「関係団体と連携して前へ進めていく」と話す。「介護現場革新会議」には、全国老人福祉施設協議会や全国老人保健施設協会なども参画・協力しており、業界が一致して推進していく取り組みとなりそうだ。
介護職員の負担減に介護助手の導入を
介護現場が今後も持続可能であり続けるために2019年2月14日に行われた第2回介護現場革新会議において、2040年の介護ニーズの増大に向けた骨子案を取りまとめた。(*1)
(*1)介護現場革新会議骨子(案)
https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/000479607.pdf
骨子案では平成31年度について、都道府県(又は政令市)と関係団体が協力しながら取り組むことが効果的と考えられることから、全国数カ所でパイロット事業を実施し全国展開につなげるとしている。
パイロット事業の主な内容は、
- 人手不足にも介護サービスの質を落とすことなく対応する運営モデル
- ICT・ロボットの活用
- 介護業界のイメージ改善と人材の確保
- 備品の補充
- リネン類の収集
- 庭木の手入れ
- 手作業の提供や指導
- 演奏や催し物の披露 など
-
である。
その中で介護サービスの質を落とすことなく人手不足に対応するためには、介護現場における業務の洗い出しをした上で介護職員がケアに特化できるよう介護助手を導入すれば、介護職員の専門性の向上とその周辺業務からの解放につながるとしている。
簡易的に思われる業務でも、細かな目配せが必要
利用者にとって施設は生活の場である。家庭の主婦に休日がないのと同じように介護職員も24時間365日休む間はない。
また変わらないように見える日常でも、少しずつ毎日違う時間が流れている。
介護業務の明確化と役割分担を行い、業務を整理して介護助手に任せる事は介護職員の業務量が軽減され有効であり必要であるのは十分理解できる。
しかし骨子案でいう配膳・ベッドメイキング・清掃などを介護助手に任せる場合、申し送りを念入りに行い報告などもしっかりしてもらうようにしなければならないと考える。
一見簡単な単純作業だと思われるこうした業務にも、重要なことがある。
例えば配膳業務の場合、利用者の名前と顔が一致している・利用者の状態を把握している・利用者のその日の食事内容を把握しているうえで配膳を行わなければならない。
たとえば、食事トレーにのっている利用者の名前が書かれている食札が間違えていることがある。
または、早食いや食事介助が必要なため、最後に配膳をすると決まっている利用者がいる。
もしくは、その日の体調が思わしくなく食事内容の変更依頼をしていたが、提供された食事内容が変更されていないこともある。
奏氏も高頻度ではないが、こういった場合、間違いに気づく視点が必要である。
また、ベッドメイキングや清掃などを行った場合に、薬が一粒落ちていた・食べ物がベッドの隙間から出てきた・血痕がシーツについていたなどということも報告をする必要がある。
どの業務を介護助手に委任するかが課題
ただ単調に流れていくように感じる作業の一つ一つにも、介護職員は気を配りながら行っているのだ。
そてし、そのような少しの変化も記録に残し明日の業務に繋げている。
介護助手に地域の元気高齢者を活用する場合ボランティアとして行ってもらうのであれば、万が一の場合に重要な事態に繋がらない次のような事柄が良いと考える。
毎日の備品の補充やレクリエーションのアイデアを考えるのは介護職員にとって大変な業務である。
また、地域の高齢者にとっても楽しく行える業務の方が長続きし、「また手伝いたい。」という気持ちにもなるのではないかと思うが如何であろうか。