居宅介護支援事業所の先細りか〜居宅介護支援の管理者、その4割強が主任ケアマネの資格持たず

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居宅介護支援事業所の先細りか〜居宅介護支援の管理者、その4割強が主任ケアマネの資格持たず

居宅介護支援の管理者、4割強が主任ケアマネ資格なし 厚労省調査

厚生労働省は14日、今年度の介護報酬改定の影響を把握するために実施した最新の調査の結果を、専門家でつくる検証・研究委員会で明らかにした。

居宅介護支援に関する調査では、管理者が主任ケアマネジャーの資格を既に持っている事業所の割合が、昨年10月時点で51.2%だったと報告。「持っていない」は43.7%で、前回の2016年度(51.1%)から7.4ポイントだけ減っているとした。

居宅介護支援をめぐっては、今年度の改定で主任ケアマネしか管理者を担えないようにするルールの厳格化があった。現在は3年間の経過期間の1年目。2021年度から完全に適用されることとなっているが、「主任ケアマネを確保できない事業所もあるのでは」と懸念されている。

□「動向を注視していく」

今回の調査は全国5000の事業所が対象。その25.8%、1288事業所から有効な回答を得たという。結果は表の通りだ。

主任ケアマネではない管理者の業務経験年数をみると、5年以上が60.2%。3年から5年は19.5%となっている。

一方、残り2年の経過期間では資格の取得が難しい(*)とみられる3年未満は17.2%。こうしたデータの推移が今後の1つの焦点だ。

* 主任ケアマネになるには5年以上の経験と70時間の研修が必要

厚労省の担当者は、「今回は経過期間が始まって半年しか経っていない時点の数字。今後も引き続き動向を注視していく」とした。次期改定に向けて意思決定を行うタイミングの直前の状況を掴めるよう、次の調査を計画していくと説明している。

今回の調査結果ではこのほか、主任ケアマネが管理者を務める事業所はそうでない事業所と比較して、

○ 事業所内事例検討会を定期的に開催している
○ 定期的に相談の時間を設けている
○ 訪問などに同行し指導している

などの割合が高いとまとめられている。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg396.html

3年の猶予期間では対応できない事業所もあるのでは?

2019年3月14日に第17回介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会が行われた。
2021年に行われる介護報酬改定で「ケアマネ事業所の管理者は主任ケアマネが任務」が適応される予定だが、今回の調査では管理者が主任ケアマネ以外の事業所が43.7%(2018年10月時点)であった。(*1)

(*1)居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査研究事業(結果概要)(案)
https://kaigonews.joint-kaigo.com/_src/15261/keamane01.pdf?v=1552597796599

更に1事業所に勤務している常勤ケアマネの人数は平均して3.1人であり、主任ケアマネの研修を受講するために必要な実務経験年数5年を満たしていない管理者の事業所は36.7%だ。

2018年の介護報酬改定の際、次の改定までの猶予期間として3年間が設けられているがこれでは足りない。
主任ケアマネの受講資格が得られる必要実務経験5年や講習の頻度などを考えると、最低5年は猶予期間が必要であると考える。

現状で対応策として考えられるのは、複数人勤務している事業所であれば実務経験が5年以上ある者に主任ケアマネの講習を受けてもらい、管理者を交替する。
主任ケアマネを新しく雇い入れ管理者になってもらうということくらいだ。

最悪の場合、ケアマネ資格を得て1~2年で独立開業した一人ケアマネの事業所や、主任ケアマネを確保できかなった事業所は閉鎖を余儀無くされる。

質の高いケアマネジメントを提供するには…

また、ケアマネになって5年経過していても、サービス事業所の併設で行っているケアマネ事業所の中には他業務を兼務していて実務経験年数が足りないケアマネがいることも想定される。
今回の実態調査では、主任ケアマネの資格の有無と業務経験年数について施設ケアマネは数に含まれていないようだが、他サービス事業所に併設している居宅支援事業所では兼務もあり得る。

管理者を主任ケアマネに位置づけ質の高いケアマネジメンの推進を行うためというのは理解できるが、2018年からケアマネの受験資格も厳しくなり合格者数が激減したケアマネ業界の先細りを感じる。

○ 事業所内事例検討会を定期的に開催している
○ 定期的に相談の時間を設けている
○ 訪問などに同行し指導している

※引用:居宅介護支援の管理者、4割強が主任ケアマネ資格なし 厚労省調査

主任ケアマネがいる事業所では、上記の割合が高いとまとめられているが、現場感覚では必ずしもそうだとは言いきれない。

どんなにベテランの主任ケアマネがいる事業所であっても、無理難題を事業所に押し付ける、利用者の変化の情報提供を行ってもその後入院したことを知らせないなど、連携を図らない横柄な主任ケアマネはたくさんいる。

人材育成などに尽力している主任ケアマネが大部分だとは思うが、果たして居宅管理者に主任ケアマネを位置づけることで質の高いケアマネジメントになるのかどうか疑問が残る。

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