SOMPOケア「仕事付き高齢者住宅」の実証開始〜いずれ通所サービスにまで広がることを望む

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SOMPOケア「仕事付き高齢者住宅」の実証開始〜いずれ通所サービスにまで広がることを望む

SOMPOケア、“仕事付き”高齢者住宅の実証を開始 入居者がアクセサリー製作

SOMPOケアが“仕事付き”高齢者向け住宅の実証プロジェクトに乗り出した。

自社で運営する介護付きホーム「SOMPOケア ラヴィーレ多摩川」で、希望する入居者に有償の就労機会を提供する試みを今月からスタート。参加者には1回につき、日用品の購入など施設内で使える500円相当のポイントを支給する。来年1月まで、月2回程度の頻度で実施していく計画だ。

まだまだ仕事に挑戦したい − 。社会の役に立ちたい − 。そうした想いの実現を後押しし、楽しみや生きがいのある生活を送ってもらう。交流の活性化、継続的な社会参加、健康寿命の延伸につなげる狙いだ。

希望する高齢者にできる範囲で働いてもらう取り組みは、先行する優良事例が既に複数生まれている。厚労省も来年度から介護保険の地域支援事業で推進していく方針を示しており、これからさらに関心が高まっていくとみられる。

SOMPOケアは今回、ケア介護ファッションブランド「KISS MY LIFE」を展開するTOKIMEKU JAPANと提携。入居者に介護用品向けのアクセサリーを作ってもらい、「KISS MY LIFE」の店舗やオンラインショップ、ラヴィーレ多摩川内などで実際に販売していく。対価として支給するポイントは、月に1度のパンやお菓子などの移動販売でも利用できるという。

持続可能な事業モデルの構築を目指す − 。今後についてはそう説明している。取材に応じた広報担当者は、「まずは実証を通じて活動状況や課題などをみていく。好評が得られれば横展開を図っていきたい」と話した。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg368.html

仕事を通じて張りのある入居生活を

介護運営会社のSOMPOケア株式会社が、介護付きホーム「SOMPOケア ラヴィーレ多摩川」で仕事付き高齢者介護付きホームの実証プロジェクトをスタートさせた。

入居している利用者は希望によりアクセサリー作りなどの仕事を行うことができる。仕事の報酬は施設内で使用できる500円相当のポイントが支給されるとのこと。

要支援から入居できる介護付き有料老人ホームでは、まだまだ社会の役に立ちたいと思っている利用者も多い。利用者自らが仕事をして生きがいを持って生活していくことは、健康寿命も延びるというSOMPOケアの考えに賛同したい。

実際に手作業が得意でプロ並みの小物や編み物、工作物・芸術作品などを作成する利用者は多い。かつての人生の中で、その道のプロとして活躍してきた利用者もいる。

現状だと、入所施設でそういった利用者達が作成した作品を通して活躍できる場は、年に数回行われる施設の文化祭や自治体のイベントなどに作品を飾り、訪れた者達に披露する程度である。
これが仕事であれば活躍の場が広がり、参加している利用者達も入居生活に張りが出ると思われる。

通勤が難しい利用者の社会復帰にも

また通所サービスを利用している若い利用者では、「仕事はしたいが通勤ができない。」という者もいる。

私が出会った要介護2の軽度の失語症と左半身麻痺がある40代の利用者は、社会復帰を希望していた。ケアマネや理学療法士・作業療法士などと連携しながら就職できる場所を探したが、その利用者に合致する職場は見つからなかった。受け入れてくれそうな職場は県内に2~3ヶ所あったが、どこも遠方で通勤が難しかったからだ。

他にも利用者達に定期的にアンケートを実施していたのだが、「仕事があったらまた働きたいか?」の質問にほとんどの利用者は「こんな身体じゃ働けない。」と、始めから希望を捨てているような返答をする利用者が多かった。

そういった利用者の多くは通所サービスを利用している者であったが、自分が仕事をすることで家族などに余計な迷惑をかけてしまう。これ以上家族の手を煩わす事はできないと、自分の気持ちより先に一緒に生活している家族のことを考えるようだ。

こういった前向きな取り組みが当たり前になる世の中に…

個人的には今回のSOMPOケアのような仕事付き介護サービスを、いずれ通所サービスでも行っていただきたいと考える。介護施設に通うのではなく「仕事に行ってくる」という感覚が、利用者の家族に迷惑をかけているという後ろめたい気持ちを和らげてくれるのではないだろうか。

最後に懸念事項があるとすれば、仕事の手順などを教えるために通常の業務が手薄にならないか、仕事を希望しているが不器用な者は参加できずに疎外感が生まれないかである。これらを踏まえ今後利用者の仕事の場や機会、仕事の種類の選択肢が増えて、利用者が自由に選べるくらいになっていくことを望みたい。

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