2019年4月から訪問介護サービス提供責任者の任用要件が変更に〜考えられる影響は? 

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2019年4月から訪問介護サービス提供責任者の任用要件が変更に〜考えられる影響は? 

2級ヘルパーのサ責が完全に廃止されます! 訪問介護の運営基準、4月から改正

適用まで残りあと3日。介護福祉士など専門性の高い人材に担ってもらい、サービスの質の向上に結びつけていく狙いがある。

訪問介護の運営基準が4月1日から見直される。サービス提供責任者の任用要件が厳格化され、介護職員初任者研修の修了者、あるいは旧ホームヘルパー2級課程の修了者を配置することが一律で禁止される。

厚労省は今月に開催した政策説明会でこの改正を改めて周知。集まった自治体の担当者らに対し、「対応が必要となりそうな事業所への適切な指導・助言をお願いしたい」と呼びかけた。

2級ヘルパーらがサ責を務める事業所には現在、単位数を70/100まで減らすペナルティが課されている。この減算も今月いっぱいで廃止。来月からは2級ヘルパーらに任せること自体、例外なく認められなくなる。

厚労省は2018年度の介護報酬改定をめぐる議論で決断。1年間の経過期間を設け、今年4月1日から完全実施する方針を打ち出していた。

「訪問介護ではサ責の役割が非常に重要」。老健局の担当者はそう話す。今年度の改定では、利用者の服薬や口腔の問題などに関する気付きをケアマネら周囲の関係者と共有することについて、サ責の責務としてルール上明確にする措置も講じられている。

https://kaigonews.joint-kaigo.com/article-10/pg412.html

サービス提供責任者の任用要件が厳格化

まずはじめに、2018年3月22日に厚生労働省老健局から告示された「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の新旧対照表」(*1)では、2019年3月31日を区切りに訪問介護事業所のサービス提供責任者の任用要件が変更となり、これまで90/100・70/100と減算の対象になっていた事業所は運営規定から外れる内容となっている。

(*1)報酬告示(新旧対象表)指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/tuutitou/2_houkai.files/30kokuji_houmonkaigo.pdf

次いで同日送付された新旧対照表の「実施上の留意点」を見ていただきたい。

(10)介護職員初任者研修課程修了者であるサービス提供責任者を配置する指定訪問介護事業所の減算について

①平成30年4月1日以降、介護職員初任者研修修了者(介護職員基礎研修課程修了者、1級課程修了者又は看護師等の資格を有する者を除く。以下同じ。)はサービス提供責任者の任用要件を満たさなくなるところ、平成30年3月31日時点で指定訪問介護事業所においてサービス提供責任者として従事している者に限り、1年間は引き続き従事することができることとする経過措置を設けているが、介護職員初任者研修課程修了者であるサービス提供責任者を配置する事業所に係る訪問介護費は減算することとされているところであり、当該者を配置する指定訪問介護事業所は、経過措置期間中にこれらの者に十分な機会を与え、介護福祉士の資格取得等をさせなければならないこと。

※引用:介護保険最新情報 Vol.628 平成30年3月22日 厚生労働省老健局

上記の(10)の留意点以降の減算に関する項目は削除されている。
このことから、訪問介護のサービス提供責任者を経過措置が終了する2019年3月31日の時点で介護職員初任者研修修了者と訪問介護員養成研修2級課程修了者では従事できなくなる。

2019年4月1日からは・介護福祉士・介護職員基礎研修課程修了者・訪問介護員養成研修1級課程修了者・看護師の資格を有する者・実務者研修修了者が訪問介護事業所のサービス提供責任者として従事しなくてはならない。

もし利用していた訪問介護事業所が閉鎖した場合、どんな影響が?

訪問介護事業所のサービス提供責任者の任用要件に関する減算は2015年から行われているが、厚生労働省が2018年9月20日に開示した2017年度における全国の訪問介護事業所数(居宅サービス事業所)は36,564箇所であり、このうち活動中の施設・事業所数は35,311箇所。(*2)

(*2)厚生労働省「平成29年介護サービス施設・事業所調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service17/dl/gaikyo.pdf

活動休止中の1,253箇所はすでに事業所の継続を断念したのか気になるところではあるが、2016年の35,013箇所と比較すると、活動中の訪問介護事業所は298箇所増加している。

訪問介護事業所が増加傾向にあるということは、現時点ですでに殆どの事業所で任用要件を満たすことが出来ている、もしくは任用要件を満たす見込みがあると考えられる。
しかし、万が一利用している訪問介護事業所が閉鎖になった場合、どんな影響があるのだろうか?

一つ目は残った訪問介護事業所に利用者が集中し、希望に合った利用ができなくなることである。人気の曜日や時間帯は利用が難しく、空き枠に合わせて他のサービスなどの調整も行うことになる。

二つ目は信頼関係のできたヘルパーとの関わり合いがなくなってしまうことだ。利用者によっては「このヘルパーでなければ外出したくない。」・「このヘルパーしか家に入ってもらいたくない。」などということもある。

「やっとひきこもりがちな生活が改善してきた」・「必要なケアができるようになってきた」などのケースの場合は、ヘルパーが変更になるのは支援する側としては痛手だ。

三つ目はケアマネ事業所の集中減算である。A事業所が閉鎖し訪問介護事業所の数が地域から減ってしまった場合だ。既に集中減算に該当する割合ぎりぎりの範囲でB事業所を利用しているにも関わらず、他に実地範囲内に利用者が希望する事業所がない場合、B事業所に依頼するしかない。

この場合「正答な理由」として扱われればよいが、そうでなければケアマネ事業所は集中減算を算定しなければならない。

本来の意味での質の向上を

また、もともと訪問事業所の質の向上から始まったサービス提供責任者の任用要件の見直しであるが、介護保険制度の知識を持っていても実際のサービス内容と異なる報告を行う事業所なども存在する。

「平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項」では、サービス提供責任者の任用要件の見直しと共にサービス提供責任者の役割や任用要件等も明確化された。

ウ・訪問介護の所要時間については、実際の提供時間ではなく、標準的な時間を基準としてケアプランが作成される。一方で、標準時間と実際の提供時間が著しく乖離している場合には、実際の提供時間に応じた時間にプランを見直すべきであることから、サービス提供責任者は、提供時間を記録するとともに、著しくプラン上の標準時間と乖離している場合にはケアマネジャーに連絡し、ケアマネジャーは必要に応じたプランの見直しをすることを明確化する。【通知改正】

※引用:平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について

サービス提供責任者の任用要件が変わり、不正の数がゼロになることを願う。

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