管理者が主任ケアマネではない事業所が43.7%〜居宅介護支援の管理者要件、経過期間の延長を要望

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管理者が主任ケアマネではない事業所が43.7%〜居宅介護支援の管理者要件、経過期間の延長を要望

居宅介護支援の管理者要件の厳格化、ケアマネ協会が経過期間延長を要望

管理者を主任ケアマネジャーに限定する居宅介護支援の運営基準の厳格化をめぐり、日本介護支援専門員協会の小原秀和副会長は10日の審議会で、2021年3月までとなっている今の経過期間を延長するよう要望した。

「厳格化が決まる前から事業を行っている事業所の中には、努力しても実務経験の課題(*)を解決できないところがある」

*主任ケアマネになるには5年以上の実務経験と70時間の研修が必要

小原副会長はそう指摘。「経過期間の延長など柔軟な対応の方向性を決める必要がある」と意見した。

厚労省はこの厳格化を、ケアマネジメントの質の向上につなげることが目的だと説明している。2018年度の介護報酬改定をめぐる議論のプロセスで、3年間の経過期間をおいて2021年度から完全実施する決断を下した。ただ一部の現場の関係者は、「主任ケアマネを確保できない事業所もあるのでは」といった懸念の声をあげている。

厚労省は先月、全国5000の居宅を対象とした最新の調査結果を公表。管理者が主任ケアマネの資格をまだ持っていない事業所の割合は、昨年10月の時点で43.7%にのぼっているとした。主任ケアマネではない管理者の実務経験も調べ、残り2年の経過期間では資格の取得がどうしても難しいとみられる3年未満の人が、全体の17.2%いたとも報告している。

小原副会長の要望はこうした実情を踏まえたもの。地域で活躍できなくなる事業所が出ないよう、高齢者が不利益を受ける事態を生じさせないよう、一定期間の救済措置をとるよう注文した格好だ。厚労省は今後、主任ケアマネ研修の受講状況などを見つつ判断していくとみられる。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg546.html

居宅介護支援の管理者要件について、経過期間の延長を要望

2019年4月10日に行われた審議会において、日本介護支援専門員協会の小原副会長は、居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネに限るとする平成30年度の介護報酬改定について、期間の延長を要望したとのこと。

なお、現時点での主任ケアマネを管理者に限定する運営基準の経過措置は、平成33年3月までだとされている。

なお、平成 33 年3月 31 日までの間は、管理者として主任介護支援専門員以外の介護支援専門員の配置を可能とする経過措置を設けているが、指定居宅介護支援事業所における業務管理や人材育成の取組を促進する観点から、経過措置期間の終了を待たず、管理者として主任介護支援専門員を配置することが望ましい。

※引用:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(抄)

元々は、ケアマネの資の向上を図るために上記の改定が行われている。
未来の日本の超高齢化社会を担う要となるケアマネ達に、それだけ期待が寄せられているということである。

ケアマネ達の質を向上させ、地域包括ケアシステムの構築、すなわち地域・医療との連携や自立支援・重度化防止・健康寿命の延伸の支援を適切に行い、逼迫した社会保障費の財政状況をなんとか抑制したいという考えだ。

質の高いケアマネジメントの現場要件とは?

今回の社会保障審議会の参考資料によると、

○管理者が主任ケアマネジャーである居宅介護支援事業所における事業所内ミーティングの開催頻度は「週1回」が63.6%と最も多く、次いで「月に1回」が12.6%であった。一方で、管理者が主任ケアマネジャーでない居宅介護支援事業所は、「月に1回」が27.5%で最も多く、次いで「行っていない」が24.9%であった。

○また、管理者が主任ケアマネジャーである居宅介護支援事業所では、管理者が主任ケアマネジャーではない事業所と比較して、「事業所内事例検討会を定期的に開催している」「定期的に相談の時間を設けている」「訪問等へ同行し指導している」の全ての割合が高かった。

※引用:第170回社保審介護給付費分科会「居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査研究事業 (結果概要)(案)

主任ケアマネが管理者の施設では、上記のような取組が行われている割合が高く、質の高いケアマネジメントの推進が実施されているという調査報告であるが、それもそのはずである。

質の高いケアマネジメントを提供する事業所を評価する「特定事業所加算Ⅰ~Ⅲ」の算定要件には、主任ケアマネが1名~2名必要であり(加算Ⅰは2名・加算Ⅱ・Ⅲは1名)、なお且つ先ほどのミーティングや研修などを行う内容が含まれているからだ。

すなわち悪い言い方をすれば、特定事業所加算Ⅰ~Ⅲを算定するために主任ケアマネを配置し、その他のケアマネ人員を揃えて会議や研修を行っている事業所もあるのではと想定できる。
そのため特定事業所加算を算定し、事例検討や研修を受けていても質の低いケアマネはいる。

そもそも人員が満たない事業所では、優れたケアマネジメントを行っていても特定事業所加算が算定できず、時間を割いて主任ケアマネの研修を受ける必要もないと考えてしまう。

主任ケアマネにこだわりすぎないことも必要では

確かに経験の浅い1~2名のケアマネしかいない事業所では、効果的な質の高いケアマネジメントを行うにあたり、不足する部分も多いと考える。
しかし、そのために地域包括支援センターや地域ケア会議があり、医療や地域などと連携を図っていくべきではないのだろうか。

特定事業所加算のために主任ケアマネの研修を受けるというスタンスがどこかにあり、管理者要件の経過措置まで後2年になった現在でも、管理者が主任ケアマネではない事業所が43.7%もあるとも考えられないだろうか。

主任ケアマネがいるからといって、個人のケアマネの質が向上するとは限らない。
管理者の要件は主任ケアマネにこだわらず、一定の経験年数を経ている者なら可能にするとした方が良いのではないかと思うのだが如何か。

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