単独世帯の高齢者、2040年には30%以上に増える見通し〜1人で暮らせる介護レベルはどこまで?

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単独世帯の高齢者、2040年には30%以上に増える見通し〜1人で暮らせる介護レベルはどこまで?

在宅生活どう支える? 1人暮らしの高齢者が急増 初の2040年推計

1人暮らしの高齢者をサポートする施策の重要性がますます増していく − 。担当者はそう指摘している。

国立社会保障・人口問題研究所は19日、2015年の国勢調査などを基にした「日本の世帯数の将来推計」を公表した。

今から21年後の2040年には、世帯主が65歳以上の高齢者世帯が全世帯の44.2%まで増える。高齢者世帯に占める1人暮らしの割合は40.0%へ上昇。高齢者人口のうち1人暮らしの割合は22.9%となり、最も高い東京都では29.2%に至る。世帯数の2040年までの推計は今回が初めてだという。

高齢化の進行や未婚の増加が背景にある。社会保障制度を支える現役世代は急激に減っていく見通し。サービスを担う人材の確保もさらに難しくなるとみられ、地域での生活をいかにして支えていくかが問われている。

今回の推計によると、2025年には全ての都道府県で1人暮らしが最大の世帯類型となる。2040年の1人暮らしの高齢者世帯は896万世帯。2015年(625万世帯)から43.4%増加する。

2040年の75歳以上の1人暮らし世帯は、2015年(337万世帯)から52.1%も増えて512万世帯に。訪問介護や困りごとの解消など在宅サービスのニーズも大きく拡大するとみられる。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg558.html

2040年には65歳以上の“単独世帯”が30%以上に?

国立社会保障・人口問題研究所が2019年4月19日に、「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」を公表した。(*1)

(*1)国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」を公表します~世帯数は2035年までに46都道府県で減少を開始~
http://www.ipss.go.jp/pp-pjsetai/j/hpjp2019/yoshi/yoshi.pdf

【推計結果のポイント】によると今後単独世帯が最多になり、なかでも世帯主が65歳以上の単独世帯が2040年には全都道府県30%以上になるとしている。
約3件に1件は高齢者の独り暮らしの家があるということだ。

そうなると、要介護状態になっても自宅で過ごしたいという者も増えると思われる。

今回は、要介護状態になった独り暮らしの高齢者が安心で快適な暮らしを送るためには何が必要か。
また介護保険サービスなどを利用する上での困りごとなどについて考えてみたい。

自宅で独り暮らしをする場合、要介護1~2が限界?

まず自宅で独り暮らしを続けていく場合、要介護が1~2程度まででなければ難しいと思われる。

要介護3以上では日常生活のほとんどに支援の手が必要になり、全てを介護保険サービスで賄うのは実際困難になるため、安心で快適な暮らしを送るには家族の支援が必要不可欠である。
近隣に家族がいる者は良いが、そうでない者は不自由な暮らしを強いられると予測する。

具体的には、通院や家事全般はもちろんであるが、自宅内の移動も思うようにいかずトイレに行くことも間々ならなくなり、不衛生な状態になってしまう。
またお腹が空いた、喉が渇いたなどと思っても、手に届くところに食べ物や飲み物が無い場合は我慢するしかないのだ。

理想は、24時間細かいところまでの支援が受けられる介護保険サービスであるが、現状24時間行っている介護保険サービスは定期巡回随時対応型訪問介護看護や夜間対応型訪問介護などである。

しかし18時以降は定期的な排泄介助や体位交換・服薬管理など以外では、緊急的要素がある場合に随時訪問することになっているため、ちょっとした困りごとの時には後日ということになる。
やはり安心で快適な暮らしの全体をカバーできるのは家族の力である。

要介護3でも自立した生活を送ることはできるか

自身がこれまでに関わったなかで、家族と疎遠の要介護3の独り暮らしの男性と女性がいたが、どちらも施設への入所を拒み、利用できる介護保険サービスや自治体が独自に行っているサービスを目いっぱい利用していた。

一つの例として、彼らが利用していた介護保険サービスや自治体のサービスなどは次の通りである。

  • 週6回訪問介護
  • 週に4回通所介護
  • 夕飯の配食サービス
  • 理美容
  • 通院介助と介護タクシー
  • 週1回安否確認サービス
  • 緊急通報機器の設置

しかし体調が悪くなり、訪問介護員が朝訪問した時に動けない状態になっていることが増え、入院という形になってしまったのだ。
両者とも要介護2から3になって、半年から1年の間であった。

そこで訪問介護員やケアマネの話を聞くと、

  • 家事は訪問の度に行うが時間が足りず全て行えない。
  • トイレに間に合わなかった下着などが放置されているため、部屋には悪臭が沁みついてしまっている。
  • 緊急通報装置には手が届かず倒れた時にボタンを押すことができない。
  • 配食サービスやデイサービスで摂る食事以外は菓子パンなどを食べていた。
  • 薬も一人でいる夕方は飲んでいなかった。

などの様子であったとのことだ。

この例からも、要介護3以上になっても大好きな自宅で生活するためには、現行のサービスだけでは難しいことが分かる。
自宅で独り暮らしをしている要介護3以上の者については、介護保険利用限度を増やすことが必要だ。

介護保険の利用限度額が増えればもっとサービスが利用できるようになり、要介護3以上の者でも少しは安心で快適な暮らしができるのではないだろうかと考える。

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