自民・厚労部会PT「100年時代を見据えて取り組むべき改革」提言〜本当に人員基準の緩和に繋がるか?

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自民・厚労部会PT「100年時代を見据えて取り組むべき改革」提言〜本当に人員基準の緩和に繋がるか?

テクノロジの活用で介護の人員基準を緩和すべき=自民・厚労部会PT

従来の発想の壁を超えた新しい“令和モデル”へ進化させていく − 。そうした姿勢を前面に打ち出している。

社会保障の今後について検討してきた自民党・厚生労働部会のプロジェクトチームが16日、人生100年時代を見据えて取り組むべき改革を提言する報告書をまとめた。

介護の提供体制の見直しも柱の1つとなっている。

より効率的に展開していけるよう、タブレットやウェアラブル、センサー、ロボットなどをフル活用すべきと指摘。サービスの質を確保することを前提として、「人員配置基準や施設基準などの緩和を行うべき」と踏み込んだ。テクノロジで利用者の安全を確保したうえで、最低限必要な介護職員の数を減らしていくことなどが念頭にあるとみられる。

近く厚労部会で了承される見通し。

施設などの運営基準をめぐっては、官邸が主導する経済財政諮問会議の民間議員も「大胆な規制改革を推進すべき」と求めている。根本匠厚労相も「より少ない人手でも回る現場を実現する」との意向を示しており、2021年度に控える次の改定に向けて議論が加速しそうだ。

もっとも、「本当にサービスの質が確保されるのか?」などと懐疑的な目を向ける現場の関係者も少なくない。厚労省は既に、ロボットやセンサーなどの導入が現場に生んだ効果を検証する調査を進めている。その結果でどこまで説得力のあるデータが出てくるか − 。これが1つの重要なカギとなりそうだ。

□「付加価値の高いサービスに」

高齢者が急増していく一方で現役世代は急減していく − 。PTの提言はこうした問題意識に基づいており、「伸びゆく介護需要に見合うサービスを供給できるかどうかが問われている」との危機感が明示されている。より効果的・効率的に運営して制度の持続性を高める観点から、

○ 介護報酬の体系を、現行の人員配置に連動する仕組みからサービスの質に応じた成果・実績払いの仕組みへ見直す
○ 将来的には介護事業の規制を、施設基準や人員配置基準などに基づく事前規制から、サービスの質を担保する事後規制に転換する

などの構想も盛り込んでいる。また、「将来の介護サービスは、テクノロジとデータを最大限活用しつつ、老後の安心を支える付加価値の高いサービスとすることを目指す」とのビジョンも描いている。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg554.html

テクノロジーのフル活用で人員基準の緩和へ

2019年4月16日に、社会保障の今後について検討してきた自民党・厚生労働部会のプロジェクトチームが、人生100年時代を見据えて取り組むべき改革を提言する報告書をまとめ、近く厚労部会で了承される見通しとのこと。

報告書の内容は介護ロボットやAIをフルに活用して介護職員を最低限必要な数に減らし、いずれは介護報酬の体系を人員配置に連動する仕組みから、サービスの質に応じた成果・実績払いの仕組みへ見直すとのことだ。

それに加え、 将来的には介護事業の規制を施設基準や人員配置基準などに基づく事前規制から、サービスの質を担保する事後規制に転換するなどの構想を盛り込んでいるようだ。

この構想案を目にして、正直日本の介護現場は一体どうなるのだろうかと不安に駆られるのは自身だけだろうかと考える。

介護ロボットやAIの導入、かえって人員が割かれてしまう?

介護報酬の体系をサービスの質に応じた成果や実績払いへ変えるのは良い案だが、それには人員が必要だ。
人員の変わりに、サービスの質を確保したうえで介護ロボットやAIをフル活用するというが、安全性の面やメンテナンスなどの稼働に携わる人間の確保、または職員への研修が必要である。

また、仮に介護ロボットやAIが故障した際や利用者の急変時などで急に人員が必要となった時の対応も、ギリギリの人員で運営している場合困難をきたすことが予想される。
それとも介護ロボットやAIが病院へ付き添いなどができる時代がやってくるのだろうか。

現在でも人員配置基準の介護職が少なく規定されているため、その人数に対して設定されている報酬が少ない・人手が足りないと言っている介護現場。
今の時点で最低限の必要不可欠な人員で運営しているのだと考えるが如何か。

介護ロボットやAIは、人員換算して一体何人分の活躍ができるのか知りたい。

優先順位を明確にした上での改革を

また、自民党の厚生労働部会のプロジェクトチームは15日にも、介護の現場を悩ませているペーパーワークの負担を軽減していくため、自治体ごとに異なる書類の形式を統一させる検討を行うよう厚労省に要請したとのこと。(*1)

(*1)介護の書類、自治体間の形式の統一を検討 負担軽減へ新WG設置へ 厚労省
https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg553.html

介護現場のケア記録などについてはタブレットやスマホの導入で効率化を図るとし、コスト面の支援を強化していくことも注文したとのこと。

もし本当に、最終的に介護職員の人員を減らしていく方向にしたいのなら、まずはこのコスト面の支援からはじめ、介護職員の負担を軽減、現在の人員で運営、介護ロボットの導入、サービスの質の向上、自治体ごとの書類の統一、介護職員の数を減らす。

上記の優先順位でじっくり時間をかけて行うのが、介護職員にとっても負担がなく一番良いと考える。
優先順位を一つ間違えれば現場は崩壊してしまう。

また、介護事業の規制を事前規制から事後規制に転換するとの構想については、質の良いサービスを提供するには相応の施設の設備や人員が必要であり、全て取り払われてしまうのは怖い。
せめて施設基準だけはそのまま残さなければ、安全性の面や衛生面で最悪な事態が起こると予測する。

大きな構想も必要であるが、日本の介護現場はまだ小さな問題も解決されていないのだ。諸外国と比較してそれに倣おうというのではいけない。

まずは介護現場で働く者の味方になってほしい。国も介護現場を3日でよいから体験すれば、少しは介護現場の実情が本当の意味で見えてくるのではないだろうか。

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