ユニット数より人員配置基準を改めるべきでは?|介護報酬改定Q&A「併設施設の夜勤職員の配置」

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ユニット数より人員配置基準を改めるべきでは?|介護報酬改定Q&A「併設施設の夜勤職員の配置」

介護報酬改定Q&A第10弾! 従来型・ユニット型の併設特養の夜勤配置は?

これで第10弾。今回は特養の夜勤体制の話だ。

厚生労働省が今年度の介護報酬改定のQ&A(Vol.10)を新たに出した。介護保険最新情報のVol.710で周知している。

従来型とユニット型を併設している特養の場合、1人の職員にそれぞれの現場を兼務させることは基本的に認めない − 。厚労省の従来のスタンスだ。今回はこれを一部だけ緩和。夜間、人員配置基準で定められた人数を上回る数の看護職員が働いている時に限り、その過配分の看護職員のみ兼務が可能とした。

医療ニーズへの柔軟な対応を促す観点からメリットがあると判断したという。介護職員はたとえ加配していてもこれまで通り兼務できない。

今回のQ&Aは、2006年に出していた過去のQ&Aを加筆する形で修正したもの。厚労省は基本的な考え方を変えておらず、「併設施設については、ユニット型の部分と従来型の部分を分け、両方の要件を満たす夜勤職員を配置することが必要」との一文を残している。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg535.html

ユニット型施設における夜勤職員の配置について

2019年3月29日に厚生労働省老健局高齢者支援課より事務連絡が送付された。
内容は「平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.10)(平成31年3月29日)」 の送付についてだ。

今回のQ&Aは、介護福祉施設サービス・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護のユニット型施設の夜勤職員の人員配置に関してである。
問いにはこうある。

○夜勤職員【ユニット型施設】ユニット数が奇数の場合

問1 ユニット型施設には、2ユニットで1人以上の夜勤職員の配置が義務付けられているが、当該施設が従来型とユニット型の併設施設(以下「併設施設」という。)であったり、そのユニット数が奇数であったりした場合、どのように配置すればよいか。

※引用:厚生労働省老健局高齢者支援課「平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.10)(平成31年3月29日)」の送付について

少々偏屈な意見になってしまうが、この質問にはできるだけ夜勤人員を余分におかないような意味合いが含まれているように感じる。
質問者は介護職員の人数が不足している施設の事業主や経営陣ではないかと考える。

現場では夜勤職員が多ければ多いほど業務に対するストレスが減少し、ゆとりを持って業務を遂行することができるのだから、このような質問はしない。
質問によって人員配置が明確化され、これ以上夜勤職員の人数が減っては困るからである。

緊急時には職員数が手薄に。事故の危険性も想定した人員配置を

参考まで、私自身が勤めていたユニット型施設(10ユニット全100床)の主な夜勤業務は次のようになっていた。

・夕食の配膳準備、夕食介助、トイレ誘導
(このあたりまでは日勤帯の職員がいる)

・下膳、食事量確認、服薬介助、着替え、清拭、トイレ誘導、おむつ交換、口腔ケア
(消灯・途中まで遅番者がいる)

消灯を過ぎて、直ぐに眠りにつく利用者はあまりいない。

消灯後で照明が薄暗くなった時間帯でも多くの利用者たちがフロアーを歩いていたり、職員の傍で過ごしたりしている。またコールも頻回に鳴り、利用者の訴えに耳を傾け対応する。

そうこうしているうちに午前0時を回ってしまう。休憩時間は2時間あり、もう一人の夜勤職員と交替でとるのだが、2名が休憩を取っている4時間の間、実質1名で約50名(実際には看護師もいるので1.5名)の対応にあたっていた。

深夜の時間帯に夜勤職員は介護記録や排泄記録などの業務と翌日の準備などを行うのだが、この手薄になった時間帯に事故が起こりやすい。

救急搬送ともなれば、さらに介護士1名または状態により看護師と介護士の2名が病院へ付き添うことになってしまうのだ。更に業務は煩雑を極めるため、現場職員はもっと夜勤職員の配置を多くしてほしいと願っている。

しかし事業主や経営陣の言いたいことも理解できる。人員が確保できないうえに、介護報酬もゆとりある人員配置をするほど満足のいく単位数ではないということだ。

2019年10月から介護職員の賃金UPの新加算「介護職員特定処遇改善加算」が新設され、基本報酬も消費税UP分プラスになるが、国はゆとりある人員配置ができる基本報酬を設定し直し、全ての介護職員が働きやすい環境を作るべきであると考える。

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