福祉用具貸与の新たな上限額を公表〜不当な高値以外に、不要な福祉用具を貸与しているケースも?

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福祉用具貸与の新たな上限額を公表〜不当な高値以外に、不要な福祉用具を貸与しているケースも?

出ましたっ! 福祉用具貸与の新たな上限額 今年10月から適用へ

現行の金額が使えるのは今年の9月貸与分までとなる。利用者に対する説明も変える必要があるので要チェック。

福祉用具貸与の価格について、厚生労働省は24日に新たな商品ごとの全国平均額と上限額を公表した。従来と同様にエクセルファイルを公式サイトで配布している。適用は今年10月貸与分から。介護保険最新情報のVol.725で周知している。

今回の全国平均額・上限額の変更は、消費税率の8%から10%への引き上げに伴うもの。全て機械的に108分の110をかけて算出された。

貸与価格の上限額は、「各商品の全国平均額 + 1標準偏差」で設定される決まり。事業者にはレンタルする際、その商品の全国平均額を利用者へ説明する義務も課されている。こうしたルールが導入されたのは昨年10月から。一般的な水準とかけ離れた不当な高値をつけることができないようにし、給付費の適正化に結びつける狙いがある。

厚労省はもともと、全国平均額と上限額をおおむね年1回の頻度で改正すると説明していた。今年度の見直しは10月の1回だけで、来年度以降のタイミングについては改めて検討するとしている。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg568.html

福祉用具の新しい上限が公表

2019年10月1日から適用される消費税引き上げ分の、福祉用具の全国平均貸与価格と貸与価格の上限が公表された。(*1)

(*1)福祉用具|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html

これにより、福祉用具業者は新価格を掲載したパンフレットや利用者への説明を順次行っていくこととなるが、毎年見直しをする予定であった既存商品の価格については今年度見送りとし、新商品の上限設定と消費増税分のみとなる。

福祉用具業者も少しは手間が省け、胸を撫で下ろしているのではないだろうか。

介護が必要な者にとって、福祉用具は日常生活にかかせない必需品である。
その種類は多岐に渡り、めったに使用されない商品や次々発売される新商品など数えきれないほどだ。

昨年度より国は法外な価格設定を防ぐために、利用者への平均価格の説明の義務付けや上限額を設定していくことで走り出したが、利用者にとって不要な福祉用具を貸与するケースもある。

今回は不要な福祉用具レンタルについて考えてみた。

その福祉用具、実は不要かも?

例えば、レンタルする者が多い介護ベッド。

介護ベッドは介護度によりレンタルできる機能が定められているので不要な貸与はないように見えるが、付属品は如何か。

ベッド柵や備え付けるテーブルなどは、付属品として介護ベッドとは別でレンタルするのだが、果たして適した利用者に適したベッド柵がレンタルされているだろうか。

食卓まで移動できる者にベッドテーブルをレンタルしては、介護保険制度の基本理念である自立支援に相反する。
理由はベッドテーブルがあることにより、ベッド上で食事をとるなど離床する時間が減ってしまう可能性があるからだ。

また、ベッド柵についても何本設置するかにより自立度が変わってきてしまう。
つかまりやすい手すりがあれば自力で立ち上がれる者にL字柵を1本レンタルするのではなく、通常の柵を2本貸し出すのでは意味がない。

何故なら柵と柵の隙間が少なく、誰かに柵をどかしてもらわなければ立ち上がれない。
本人に意欲がなく、柵をどかすことに誰も気づかなければ、そのまま臥床時間が増えていくだけである。

利用者や家族にも福祉用具貸与への正しい知見を

続いて歩行補助具である。

最近は自動でブレーキが掛かるものや体重をかけてブレーキをコントロールするものなど機能が多彩で、デザインも豊富である。

そのため、まだ歩行補助具の必要のない者も物珍しさからレンタルを希望する場面を見かけるが、使用するのは初めのうちだけで物置にしまったままになっているケースもある。

福祉用具のレンタル料は殆ど半月毎での計算になり、いつでもレンタルでき、いつでも引き上げてもらう事が可能であるのに、物置にしまってある歩行補助具を引き上げてもらおうとしない利用者や家族もいるのだ。

福祉用具業者の不当価格でのレンタルは問題であるが、利用者や家族も不要なレンタル品にも税金が使われていることを改めて認識してもらうよう、周知していくとこが必要である。

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