「介護保険対象サービス」利用者の負担額を計算してみた|福祉用具貸与も上限額改定へ

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「介護保険対象サービス」利用者の負担額を計算してみた|福祉用具貸与も上限額改定へ

利用者に説明する金額も変わります! 福祉用具貸与、上限額など改定へ

まだ少し先の話。具体的な金額を明示するタイミングは今のところ固まっていないという。

消費税率が8%から10%へ引き上げられる今年10月から、厚生労働省は福祉用具貸与の価格のスタンダードを改定する方針だ。現行の商品ごとの全国平均額と上限額は、税率8%時の請求実績に基づいて算出されたもの。これらに引き上げ分を反映させなければいけない。

厚労省は年度末に自治体へ通知を発出。「全国平均額と上限額に108分の110を乗じる」と正式にアナウンスした。介護保険最新情報のVol.709で周知している。

□全国平均額の説明は事業者の義務

福祉用具貸与をめぐっては、昨年10月からその価格に上限額が設けられることとなった。「不当な高値をつける悪質な事業者がいる」。そうした指摘を受けた厳格化で、給付費の適正化に結びつけていくことが目的だ。

上限額は「各商品の全国平均額 + 1標準偏差」。事業者にはレンタルの際、その商品の全国平均額を利用者へ説明する義務も課されている。全国平均額・上限額は、国がおおむね1年に1度のペースで改定していくこととなった。新商品については、おおむね3ヵ月に1度のペースで上限額が設定されていく。

消費増税を反映させた新たな全国平均額・上限額が公表される時期はまだみえない。厚労省は現在、1年に1度の通常サイクルの改定に関する検討もあわせて進めており、その進捗がスケジュールを左右しそうだ。

老健局の担当者は、「今年10月以降は新たな全国平均額を利用者へ説明してもらうことになる。できるだけ早くお伝えできるようにしたい」としている。

https://report.joint-kaigo.com/article-11/pg537.html

福祉用具貸与価格、消費税引き上げに対応へ

2019年10月からの消費税10%への引上げに伴う福祉用具貸与価格の上限等の取扱いについて、厚生労働省老健局高齢者支援課より通知がなされた。(*1)

(*1)厚生労働省老健局高齢者支援課「消費税引上げに伴う福祉用具貸与価格の上限等の取扱いについて(通知)」
http://www.care-mane.com/pdf/feature/q&a/vol709.pdf

通知の内容は、10月以降、貸与価格の上限に108分の110を乗じ、消費税引き上げ分を補うというものだ。

108分の110を乗じた福祉用具の商品一覧は別途通知され、福祉用具の値上げに伴う利用料金の増額については利用者へ説明を行うようにともある。

これによって、福祉用具を上限額で利用していた利用者の負担額が増えることになる。

本年10月から、介護保険の要介護度ごとの支給限度額が介護度により290円~1520円増え、低所得者の介護保険料の軽減強化も実施される予定(*2)であるが、サービス利用の負担額の方が大きく感じている家族や利用者の方が多いのではないだろうか。

(*2)厚生労働省老健局「介護保険法施行令及び介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令の一部を改正する政令等の施行について」
http://www.care-mane.com/pdf/feature/q&a/vol705.pdf

「国のやることだから仕方ない」と悲観的になる家族や利用者も見受けるため、実際にどの位の負担増になるのか計算してみた。

利用者負担はどう変わる?計算してみた

例えば要介護2(1割負担)の利用者が20,000円分の福祉用具を上限価格でレンタルしていたとする。

20,000円分の福祉用具に108分の110(101.85%)を乗じてみると20,370円
利用者は1割負担のため自己負担は2,037円で、10月から37円多く支払うことになる。

また、デイサービスと訪問介護のサービスも利用していたとしよう。

デイサービスは週に2回(月8回)、新しい基本単位は3単位増のため3×8で24円多く支払い、週3回(月12回)の訪問介護(生活援助)は1単位増のため12円多く支払う。
つまり、先述した37円を加算し、合計で73円、同様のサービス内容で多く支払うことになる。

これに介護職員の新加算Ⅰを算定するデイサービスと訪問介護の場合、デイサービス1.2%・訪問介護6.3%を利用料に乗じる。(*3 P2,P9)
※基本報酬単位のみで計算(他加算は含めていない)

(*3)2019年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000478377.pdf

デイサービス(6-7h)679単位×8回=5,432×1.2%=5,497円
訪問介護(生活援助45分以上)224単位×12回=2,688×6.3%=2,857円

2019年9月までの介護保険対象サービス利用料・・10,084円
2019年10月からの介護保険対象サービス利用料・・10,391円

計算の結果、差額は307円であり、利用者は10月から毎月307円多く支払うことになる。

上記の毎月307円増の利用者負担を、多いと捉えるか少ないと捉えるかは個人の考え方により違いがあるだろうが、利用者負担が増えることで、介護職人材・国の財政・介護保険料・事業所の存続、どれか一つでも明るい傾向に向かうことを願いたい。

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